『弁護士懲戒手続の実務と研究』⑪ 調査の公開・非公開・閲覧・謄写等 

 第2章 弁護士会の懲戒制度  

 4 綱紀委員会の調査手続

(2)調査の公開・非公開・閲覧・謄写等

(イ)綱紀委員会の議事等の非公開

綱紀委員会の議事及び議決は、事案の真相解明を図るためには委員相互の自由な議論を保障する必要があることから原則として非公開とすべきである。調査期日も対象弁護士及び関係者のプライバシー保護のため非公開とすべきであるが、場合により綱紀委員会の認める者に傍聴させることは許されるだろう。ただその場合でも弁護士会の会長等が出席して意見を述べることを認めることは、綱紀委員会の独自性を害し、審理の公正を疑わしめるものであって許されないと解される。

(ロ)記録の謄写・閲覧

 

記録の閲覧・謄写については、綱紀委員会の議事録そのものは委員会の合議に関する記録という性格上、何人にも閲覧・謄写を許すべきではない(同旨、昭和60年7月5日及び同月24日付け日弁連会長回答)

その他の調査期日調書、証拠書類等は対象弁護士等に対しては適正手続の保障の見地から閲覧、謄写を許すべき場合が多いであろうが、懲戒請求者に対し閲覧・謄写を許可すべきかどうかは、綱紀委員会の裁量に任されていると解される。したがって、この場合、懲戒請求者が対象弁護士等の弁解に対する反論や異議の申出の目的を有する限度においてのみ閲覧・謄写を許可することも許されるであろうし、許可の際に謄写した書類について右の目的以外の使用を禁止するといった条件を付することも許されるであろう。

 

平成3年3月4日付日弁連事務総長回答は、懲戒手続において審査を受ける弁護士には審査期日調書、証拠書類及び証拠物の閲覧、謄写権が与えられており、異議申出人には懲戒委員会の裁量により記録の閲覧、謄写を許すことができると述べている。この点に関して平成6年11月29日付日弁連事務総長回答は、懲戒請求人らが報道機関に被懲戒請求人の答弁書の内容を開示したことにつき。弁護士会が綱紀委員会の個別、具体的要請により懲戒請求人、その代理人弁護士ないし雑誌編集者等に対して事実関係に関し調査を行うこと、調査結果に基づきこれらの者に対して注意、勧告ないし警告等を行うことは法31条1項により可能であると述べている。

(目的及び法人格)弁護士法第31条 弁護士会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位 を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士 法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。