弁護士懲戒手続の実務と研究 ⑮
(目的)
第一 本規準は弁護士会及び日本弁護士連合会(以下弁護士会等という)から弁護士法(以下「法」という)第57条第2項に定める懲戒の処分を受けた弁護士法人(以下「被懲戒弁護士法人」という)の業務停止期間中における業務規制等について弁護士会等とるべき措置を定め、もって国民の弁護士・弁護士法人及び弁護士会等に対する信頼並びに懲戒制度の実効性を確保するとともに処分の適正・公平な運用を図ることを目的とする。
第二 弁護士会は処分の告知にあたり、被懲戒弁護士法人に対し以下の各号に定める事項及び弁護士会が別に定める規制措置について説明し、その遵守を説示しなければならない。
(事件等の取扱い等)
一 被懲戒弁護士の業務停止期間中における業務規制等について弁護士会及び日本弁護士連合会のとるべき措置に関する基準という第二の一から六までは「被懲戒弁護士―」を「被懲戒弁護士法人」と読み替えて被懲戒弁護士法人に準用する。
被懲戒弁護士法人の社員等は法30条の6に基づき選任された事件は、辞任しなければならない。ただし業務停止の期間が1か月以内の場合であって弁護士法人が当該事件を解除しないことができ、かつ解除しない場合はこの限りではないが弁護士法人の業務停止期間中は当該業務を行うことはできない。
(指定の取扱)
二 被懲戒弁護士法人の業務停止期間が1か月であって依頼者が指定の継続を求めるときは、被懲戒弁護士法人の社員は指定を継続して業務停止期間満了後に再び業務を行うことができる。
(複代理人等の監督)
三 被懲戒弁護士法人は、使用人である弁護士及び処分を受ける前に選任した複代理人に対し指示、監督をしてはならない。
(法律事務所の管理行為等)
四 被懲戒弁護士法人は法律事務所の管理行為、賃貸借契約の継続並びに使用人である弁護士及び従業者との雇用契約を継続することができる。
(法律事務所の使用)
五 被懲戒弁護士法人及びその社員等は、被懲戒弁護士法人の業務を行うためにその法律事務所を使用してはならない。
被懲戒弁護士法人の社員又は使用人である弁護士(以下「社員」という)が法30条の19第2項に抵触しない場合に被懲戒弁護士法人の法律事務所の使用することを妨げない。
(弁護士法人の社員等の汚職行為の禁止) 第三十条の十九 弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、 相手方から利益の供与を受け、 。 又はその供与の要求若しくは約束をしてはならない 2 弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、相手方から 当該弁護士法人に利益を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしてはなら ない
(法律事務所表示の除去)
六 被懲戒弁護士法人は直ちに法律事務所であることを表示する表札、看板等の一切の表示を除去しなければならない。ただし、被懲戒弁護士法人が業務の停止処分中であること及びその期間を弁護士会の指示する方法で表示することにより除去にかえることができる。
(名刺等の使用)
七 被懲戒弁護士法人の社員等は被懲戒弁護士法人の社員等として使用する名刺並びに被懲戒弁護士法人の法律事務所名を示した事務用箋及び封筒を自ら使用し又は他に使用させてはならない。
(弁理士・税理士業務・省令業務)
八 被懲戒弁護士法人は弁理士及び税理士の業務並びに法30条の5に基づく法務省令に定める業務を目的としている場合であっても業務停止の期間中はこれら業務を行うことはできない。
(弁護士の職務) 第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、 非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に 関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。 2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
(業務の範囲) 第三十条の五 弁護士法人は、第三条に規定する業務を行うほか、定款で定めるところ により、法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業 務の全部又は一部を行うことができる。
(社員等の個人としての法律事件等の取扱)
九 被懲戒弁護士法人の社員等は、業務停止の前から自ら受任(法30条の6に基づく選任に係る受任を含まない)していた法律事件及び顧問契約(以下「法律事件」という)の業務を行うことができる。
被懲戒弁護士法人の社員等は被懲戒弁護士法人が解除すべき、又は解除した法律事件を個人として引き継いで行うことはできない。ただし、法30条の19第2項に抵触しない場合であって、かつ依頼者が受任を求めるときはこの限りでない。この場合において当該社員等は依頼者に対して委任を求める働きかけをしてはならず、また受任する場合には依頼者から業務停止にかかる説明を受けて委任した旨の書面を受領しなければならない。
(法律事務所の設置等の禁止)
十 被懲戒弁護士法人は業務停止期間中は法律事務所を設け、又は移転してはならない。
(事件等の取扱)
被懲戒弁護士法人は業務停止に係る法律事務所が主として業務を行う法律事件等について依頼者との委任契約及び顧問契約を解除しなければならない、この場合は弁護士措置基準第二から三及び五は「被懲戒弁護士」を「被懲戒弁護士法人」と弁護士措置基準第二の四は「被懲戒弁護士」を「業務停止に係る弁護士法人の法律事務所」と読み替えて、被懲戒弁護士法人に準用する。ただし依頼者が弁護士法人の他の法律事務所が業務を行うこととして契約の継続を求める場合は解除しないことができる。この場合において当該弁護士法人は依頼者に対して契約の継続を求める働きかけをしてはならず、契約を継続する場合には依頼者から業務停止にかかる説明を受けて契約を継続する旨の書面を受理しなければならない。
業務停止に係る法律事務所を登録事務所とする社員等は法30条の六に基づき選任された事件は辞任しなければならない。
ただし業務停止期間が一か月以内の場合であって弁護士法人が当該事件を解除しないことができ、かつ解除しない場合はこの限りではないが、弁護士法人の業務停止期間中は当該業務を行うことはできない。
(以下 Aと同じ)