弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2005 年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・吉野正三郎弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・預り金の保管が杜撰

公 告 2005年9月号

 東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 懲戒を受けた弁護士

氏名 吉野正三郎

登録番号 21908

事務所 東京都渋谷区2丁目17番地3号  渋谷谷東宝ビル10階

ミネルヴァ法律特許事務所

住所 東京都文京区・・・・・・・

2 懲戒の種別  業務停止2年  

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、2003年1月、懲戒請求者Aから会社の任意整理とこれに付随する事項を受任したが、預り金の明細を明らかにしないという理由で。同年10月28日解任された。その後、Aは被懲戒者に対して別の弁護士を通じて預り金の返還を求めたが、被懲戒者は双方の間で確認した争いのない預り金残金4927万2282円のうち同年12月1日に1500万円を返還しただけで、2004年9月に至るまで残金3427万2282円を返還しなかった。弁護士は、業務上の預かり金を自己の金員と区別して保管しなければならないところ、被懲戒者は正当な理由なく4000万円に近い預り金を他に流用しAから預り金返還訴訟を提起された後もその返還を拒んでいたものである。

(2)被懲戒者は2002年5月15日、懲戒請求者Bから債権の回収を依頼され、Bの捺印のある訴訟委任状等と着手金等226万円を受領し、訴状、不動産仮差押命令申立書、Bの代表者の陳述書を作成した。

ところが、同月30日から2004年3月12日までの1年10か月間合計11回にわたりBから事件の進捗状況についての問い合わせがあったにもかかわらず、被懲戒者は一切回答せず、保全申立手続も本案訴訟の提起もしないまま事件を放置した。被懲戒者はBが同月3日、当該不動産の所有名義が第三者に移転していることを知るに至り解任され、Bに着手金等として受領した226万円を返還したが、速やかに事件に着手する義務に違反して懲戒請求者に具体的不利益を与えたものである。

(3)被懲戒者の行為はいずれも依頼者の弁護士に対する信頼を裏切るものであり弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2005年7月4日

 2005年9月1日 日本弁護士連合会