弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2004 年7月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・吉野正三郎弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・自賠責保険の交渉が怠慢

 

公 告 2004年7月号

 東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 懲戒を受けた弁護士

氏名 吉野正三郎

登録番号 21908

事務所 東京都渋谷区2丁目17番地3号  渋谷谷東宝ビル10階

ミネルヴァ法律特許事務所

住所 東京都文京区・・・・・・・

2 懲戒の種別  戒 告  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は、1999年10月2日、懲戒請求者より同人が受傷した同年3月12日の交通事故による損害賠償につき、加害者及びその任意保険会社との示談交渉を受任した。懲戒請求者はその後も通院治療を受けていたが2001年10月31日、症状固定の診断を受け、2002年5月8日、自賠責保険会社への被害者請求により後遺障害等級14級10号に該当するものとして、自賠責保険支払限度額である195万円から既払い金104万1450円を控除後の90万8550円を受領した。

被懲戒者は、受任後、加害者代理人弁護士に受任の通知をするとともに、懲戒請求者の症状固定までの間、損害保険会社との書面手配や協議等行ったものの、懲戒請求者の損害について資料に基づいて算定した上、これを同人に説明したことはなかった。また、自賠責保険会社が懲戒請求者の加害額を260万4055円と算出していることからすれば、上記自賠責保険金の受領後であっても、少なくともその差額の請求をすることができたというべきであるのに、被懲戒者は加害者側と何らの交渉をしなかった。

以上から被懲戒者が受任者として誠実に任務を遂行したとは到底認めることができず、その行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士の非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2004年4月8日

 2004年7月1日 日本弁護士連合会