2023年5月6日 東京で「~連れ去りが逮捕起訴がないなら連れ戻しも同じ?~」

「連れ戻しに関する」セミナーを開催しました。

離婚前に子どもを連れ去って行方不明になる。しかし次の日に弁護士から委任状や調停の呼出状が届く。連れ去られた側は初めての経験でどうしていいかわからず右往左往して、しばらくしてようやく事態の概要がわかる。

これは、子ども連れ去り事件だと警察に告訴状を提出するが、当会の知っている限り、告訴状は受理して捜査はするが、逮捕起訴はない。当会は現場の警察官から次のように回答をいただきました。

なぜ(子どもの連れ去り)逮捕起訴がないか

・民事裁判で子ども面会交流調停で応じないからと警察に逮捕してくれと申し出ても民事介入はできない。

・仮に連れ去り親を逮捕して子どもの面倒は誰が看る。連れ去られた親に戻すなどできない。

・連れ去り親に弁護士も代理人に就任しており公判が維持できない。

・警察の判断では現在の刑法224条での起訴は無理と考えている。

・連れ去りから時間が経ってからの告訴ではなく、今子どもを連れ去っている。110番通報であれば対処ができる。

・子どもにとって次の環境はどのように用意されているか、

・連れ去った場所で近隣から子どもを虐待している等という通報があるか

告訴が遅れても出すことに意味はある

・告訴状が受理されれば警察は捜査に着手する。連れ去り側からの事情聴取は行う。どこに連れ去ったか警察は調査をし連絡をしてくれます。どのような生活をしているかの報告があります。この後、子ども引渡し命令、強制執行となって執行が執行しても警察とは良好な協力関係を作っておくこと。実際に子ども連れ戻しが可能になった例がいくつかあるようです。ただし警察を敵にまわすような態度は取らないこと、

以上が5月6日セミナーの極々一部の内容です。当日、資料として配布させていただいたものをご紹介致します。

投稿者はハンドルネーム「一人静」さんです。

(投稿者の意見をそのまま公開します。強調文字等若干編集をしています)

連れ去りとは・・・

連れ去りとは「他方親と子供の法益(法(特に刑法)が保護する、社会生活上の利益)、加え両者の間の法益侵害評価」。故に 224 条未成年拐取罪の保護法益として犯罪類型化された立派な犯罪です。 

人を略取若しくは誘拐する行為のうち、未成年者に対するもの、又は身代金、 国外移送、営利、わいせつ、結婚若しくは生命身体への加害の目的で行うもの、等について、刑法224条から229条で犯罪として定められています。 誘拐と略取をあわせて「拐取(かいしゅ)」と呼びます。 

※ (未成年者略取及び誘拐) 

224 条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。 ※ (営利目的等略取及び誘拐) 

225 条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した 者は、一年以上十年以下の懲役に処する。 

(身の代金目的略取等) 

225 条の

1 近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目 的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。 

人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。 

※ (所在国外移送目的略取及び誘拐) 

226 条 所在国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、二年以上の有期懲役に処する。(被略取者引渡し等) 

227 条 

1 第 224 条、第 225 条又は前 3 条の罪を犯した者を幇助(ほうじょ、わきから力を添えて手助けすること) する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿(ぞうとく、人に 知られないように隠しておくこと)し、又は隠避(いんぴ、犯人の発見、逮捕を妨げる行為のことで、隠れ場 所を提供する以外のいっさいの方法)させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。 

2 第 225 条の 2 1 項の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され又は誘拐された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は一年以上十年以下の懲役に処する。 

3営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、略取され、誘拐され、又は売買された 者を引き渡し、収受し、輸送し、又は蔵匿した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。 4. 225 条の 2 1 項の目的で、略取され又は誘拐された者を収受した者は、二年以上の有期懲役に処 する。略取され又は誘拐された者を収受した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する 者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、同様とする。 

(未遂罪) 

228 条 第 224 条、第 225 条、第 225 条の 2 1 項、第 226 条から第 226 条の 3 まで並びに前条第 1 項から第 3 項まで及び第 4 項前段の罪の未遂は、罰する。 

(解放による刑の減軽) 

228 条の 2 225 条の2 又は第227 条第 2 項若しくは第4項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。 

(身の代金目的略取等予備)

228 条の 3 225 条の 2 1 項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。た だし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。 

(親告罪) 

229 条 第 224 条の罪、第 225 条の罪及びこれらの罪を幇助する目的で犯した第 227 条第 1 項の罪並びに 同条第 3 項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、営利又は生命若しくは身体に対する加害の目的による場合を 除き、告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、略取され、誘拐され、又は売買された者が 犯人と婚姻をしたときは、婚姻の無効又は取消しの裁判が確定した後でなければ、告訴の効力がない。 

刑法 224 条、未成年者略取誘拐罪の主体は、具体的に限定されているわけでなく、赤の他人だけでなく、別 居親、同居親、兄弟、友人、両親、親戚、国家権力機構、団体、企業、児相、も主体となり得ます。 

「拐取(かいしゅ)」とは、人を保護されている状態から引き離して自己又は第三者の実力支配下に置くこと を意味し、その保護法益は「子供の自由」であり「保護監督者の監護権」であって、一方の親権者が他方親 の権利を害することは可能であることから、親権者も「主体」足り得るとするのが通説です ※ 保護法益は、家庭裁判所の裁判官が言うところの、「子の最善の利益」だけではないのですよ。 

「略取」は、暴行・脅迫の他に、心神喪失、抗拒(こうきょ相手の(暴力的)行為をのがれようと抵抗すること)不能に乗じ、又は、心神喪失、抗拒不能に陥れることを手段とする場合も含めて解されているので す。

つまり、親権者による連れ去りは、それ自体が親権行使という強制力を伴う行為であって、且つ、例えば乳幼児などはまさに「抗拒不能」に乗じた略取行為です。 

次に、拐取の態様のひとつである「誘拐」です。誘拐の手段は、

①欺罔又は誘惑を手段とする場合があり、 欺罔とは虚偽の事実を告げて錯誤(さくご、その人の認識と客観的事実とが一致しないこと)に陥れること、 誘惑とか甘言をもって相手方を動かし、その判断の適正を誤らせることを意味し、十分ご承知と存じます。 しかし、誘拐は欺罔(きもう、相手を騙して錯誤に陥れることや、相手を欺く行為)誘拐だけではありません。 

誘拐の手段としては欺罔・誘惑だけではなく、

②知慮浅薄・心神耗弱に乗じ、又は知慮浅薄・心神耗弱に陥 れることを手段とする場合も含まれます。欺罔や甘言等は議論の余地もなく分かりやすいですが、例えば「お ばあちゃんの家に行こうね」の一言も、知慮浅薄に乗じた行為であって、立派な誘拐行為です。 

親の連れ去りは、主体が親が故に、略取・誘拐手段である暴行脅迫・欺罔誘惑の概念を狭く捉えていると「親の暴行脅迫って何?」とその擬律(裁判所が判決において法規を具体的な事件に適用すること)に混乱を来し ます。そもそも親権行使とは強制力を伴う性格で、他方親の同意なきことが既に法益侵害であって、無言で 連れ去ったとか等は手段評価に過ぎないのです。 

刑法 224 条は、拐取者は親だけではありませんし、自由と監護権への侵害犯罪ですから、相手方の権利を排除し実力支配下に置く手段としての文言は必要不可欠でしょう。但し、実子拐取は 224 条から抽出独立条文にするか、実子拐取処罰法の新設が分かりやすいと思います。 

「実子拐取は 224 条から抽出独立条文にするか、実子拐取処罰法の新設」した方が適用条件・範囲が明確に なると思います。(アメリカのコロンビア特別区では拐取罪の主体から親が除外されていて、別途、親による拐取罪が規定されています。) 

※ 告発状・告訴状は、書面でなければいけないわけではありません。口頭でも良いのです。さらに、犯罪が行われた所轄の警察署でなければいけないというわけでもありません。検察庁でも良いのです。私も私は直接は関係ない告発状・告訴状を持って検察庁に行ったら、書面に問題がないとして受理してくれましたよ。その後、東京地検の特捜部が読んで判断してくれました。担当の警察官が受理しようとしな いのは、刑法をよく知っていない、経験が無い、忙しくてめんどくさいと思っているからです。「家事案件」だと主張するのは逃げの一手です。警察の捜査資料が検察に送致され、その後検察官と話をしましたが、明白な証拠も私自身で既に提出していて、法に触れることだと強く確信していましたが、日本 は「起訴便宜主義」、99.6 %勝てないと検察官が自分の将来を考えているせいか起訴したがらないのです。これが最大のガンです。

「禁止法規不存在」「運用が不平等」「立法の不作為!」との判断が最近裁判所から出ていますが、罪刑法定主義(ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令において、犯罪とされる行為の内 容、及びそれに対して科される刑罰を予(あらかじ)め、明確に規定しておかなければならないとする原則) で明白な刑法 224 条、225 条、226 条があるではないですか。裁判所の判断はは矛盾するでしょう。連れ去り禁止法規が不存在ならば、不存在法規の運用もないのですから!日本には連れ去り禁止法規は刑罰法規として存在しているのです。 

そもそも違法性阻却事由は、個々事案により具体的に擬律(裁判所が判決において法規を具体的な事件に適 用すること)されるべきもので、予め基準を示すにそぐわないものです。同様に連れ去りも、親の監護権を 侵害しても違法性を阻却する具体的合理的事由・妥当性・必要性、具体的危険の蓋然性等が擬律されるべき もので、それがなされていないことが問題です。 

加え、刑罰法規が不存在であるならば、連れ去りの告訴に対する現実に行われている警察受理・捜査・送付、 更に、検察における起訴猶予(容疑者が犯罪を犯したことは明らかであるけれども、起訴して裁判を受けさ せるまでの必要はないと検察官が判断した場合)処分等は、法規として不存在の犯罪→「罪刑法定主義」に反する極めて不当な公務執行であって、起訴便宜主義と共に、憲法が保障する人身の自由に違背するものとなりませんか。 

刑罰法規は 224 条で存在し、現実に別居中の連れ去りは検挙されています。同条の構成要件は、連れ去りの主体も態様も同居・別居の別はないのですから、法規の不存在ではなく、家庭介入の抑制等、捜査 機関の警察権行使の有り様に問題があります。連れ去り勝ちを強くした判示しています。 (いわゆる、連れ戻しは、様態がわかりやすく時間的に現場の警察官の警察権の行使が解りやすく、連れ去 りは、すぐに 110 番通報をする例が少なく、マスコミもほとんど報道していません。) 

刑事訴訟法 第 239 条 第 1 項 何人でも、犯罪があると思料(しりょう(あれこれ) 考えること)するときは、告発をすることができる。 

2 項 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。 

「国家公務員と地方公務員は、その職務中に犯罪と思われるものを発見した際(または犯罪行為が行われたのではないかと思った時)は、必ず捜査機関に告発しなければならない。」という意味 

同条の解釈について 

告発者について定めた刑事訴訟法第239 2 項では裁判官や調査官,書記官は,「官吏又は公吏(国家公務 員又は地方公務員)」にあたります。 

担当した手続きが,拉致の違法性を審理するものでは無くても,その犯罪があると思料できる情報を職務上 知り得ていたのなら,「告発をしなければならない」義務があります。 

告発義務を怠った罪を、国家公務員法 82 1 2 号で告発して懲戒請求をしましょう。 

82 条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停 職、減給又は戒告の処分をすることができる。 

2 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合 

今まで,実子誘拐を他人事として放置し続け,被害者弾圧趣味を満喫していた裁判官らや調査官らを告発し, 懲戒をさせ,日本の裁判所を浄化しましょう。さらに追い打ちをかけて国会の下級裁判所裁判官指名委 員会に言いましょう! 

実子誘拐被害者団体に,実子誘拐の告発義務を怠った裁判官や調査官を告発した情報を提供し,今後同じような被害が増え続けない為の抑止力にしましょう 

安富潔「刑事訴訟法」(三省堂,2009 年発行)の 76 頁によると、 

「告発義務については訓示規定とする説(青柳・上 339 頁)も見られ、同旨の下級審判例(略) もあるが、通説は「義務規定」と解し、その違反は国家公務員法 82 1 2 号、地方公務員 法 29 1 2 号の懲戒事由にあたるとしている。

当事者がみんなで実行したら必ず裁判所実務の運用を変える事に繋げられると考えています。 刑事告訴受理者達への援護射撃にも成る。 刑事告発と勘違いしている方が多い様だけれども 「裁判官らの告発義務違反の告発による懲戒請求」に繋がります。 

家庭裁判所においてもはっきりと、刑法224 条、未成年者略取誘拐罪であると強く主張することです。それで裁判官が無反応であれば、「裁判官らの告発義務違反の告発による懲戒請求」です。さらに国会の「下級裁判所裁判官指名委員会」のメンバーに通告しましょう。 例えば、連れ去りの告訴により起訴猶予が出る可能性があります。 

つまり、検察警察捜査行政は犯罪として扱ってくれます。 

告訴や処分が増えれば、裁判所は告発義務を黙認出来なくなります。 

おのずと、連れ去りに不利益を科す民事司法の道に寄与します。 

ハーグ条約(国際的な子の奪取民事上の側面に関する条約) で、「民事上の側面」はあくまでも国境を越えた子の誘拐に関する民事上の手続きという理解です。

https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4008 

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/ha/page22_001672.html 

英語: Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction Convention of 25 October 1980 on the Civil Aspects of International Child Abduction」 

フランス語: Convention de La Haye sur les aspects civils de l’enlèvement international d’enfants) 

Child Abduction 子どもの誘拐! 

とは、子の利益の保護を目的として、親権を侵害する国境を越えた子供の強制的な連れ去り や引き止めなどがあった時に、迅速かつ確実に、子供を元の国家(常居所地)に返還する国際 協力の仕組み等を定める多国間条約である。全 45 条からなる。 

ハーグ国際私法会議にて、1980 10 25 日に採択され 1983121日に発効したハーグ 条約のひとつです。 

未成年者が連れ出された国家、および連れ込まれた国家の両方が、条約加入国である場合のみ効力を有する条約である。 

外務省の HP 解釈は誤った解説で、肝心の犯罪捜査機関の解釈ではなく、これま で運用されてこなかっただけのことに過ぎない一方の親への「保護監督権侵害」 についての保護法益評価が欠如したもの。一昔前にあった弁護士の言い回し「違法とはされていないと言われています」と同じレベルの解説文です。

離婚手続き適正化法【実子等拐取行為処罰法(案)】 を制定しよう!

一方の配偶者による子供の連れ去りが頻発横行しています。 これを防止するため『実子等拐取行為の処罰に関する法律』を制定しよう! ※ 拐取 誘拐と略取をあわせて「拐取(かいしゅ)」と呼びます。 

誘拐(ゆうかい、英語: Kidnapping)とは他人を騙して誘い出して連れ去ること。「かどわかし」とも言う。 

略取(りゃくしゅ、力で奪い取ること。法律では、暴力的におどして連れ去ること。) 発信者:hitori sizuka 宛先:内閣官房長官 菅義偉(内閣官房長官)、 

現在、日本国内では、親権確保のための一方の配偶者、残念ではありますが、特に、女性(妻)による子供の連れ去りが頻発横行し、多くの親子が引き裂かれています。配偶者に よる子供の連れ去りを抑止しなければ、全国で断絶する親子が後を絶ちません。 

子供の連れ去りは、たとえ親権を有する父親や母親であっても、一方の配偶者の『監護 監督権』を不当に侵害する刑法第 224 条犯罪です。しかし、現行刑法第 224 条は同居中の 連れ去りに対応するには機動性と即応性に欠け、子供を連れ去っても犯罪検挙処罰規定が 役割を果たせず、犯罪行為が横行する原因にもなっています。 

皆様も、別居中の夫婦で、別居親が、子供と同居する親の同意なく子供を連れ去り検挙 されたとの事件報道に接したことがあるはずです。これは、まさに、同居親の同意なき子 供の連れ去りが、同居親の監護監督権を、別居親による不当な親権行使により侵害したか らこそ逮捕検挙されているもので、親権が有ろうが無かろうが、犯罪の成立に影響を与え ません。 

これが意味するところは、同居中の連れ去りであっても、保護法益の、一方の配偶者の 『監護監督権』には何らの変更も加えられていませんから、夫婦が相互に親権を行使して いても、一方の配偶者の同意なき不当な親権行使は、やはり、刑法 224 条犯罪を構成する のです。『同居中の子供の連れ去りは違法ではない』との解釈は誤りです。 

しかしながら、現状の同居中の連れ去りは、殆どか検挙されていません。それは何故か。

大きく三点の理由によります。 

①そのひとつは、別居中の子供の連れ去りは、別居中が故に、子供の監護監督権の行使 は、専ら『同居親が行使』しているところ、別居親による、同居親の同意なき子供の連れ 去り行為は、同居親の監護監督権を不当な親権行使により侵害したことが、外形的にも単純、明快、明白であります。

ところが、同居中の子供の連れ去りは、一方の配偶者の同意なきことが、即、不当な親権行使で監護監督権の侵害に当たるかと謂えば、必ずしも、同意なき=不当な親権行使=監護監督権の侵害=違法とは謂えず、その違法性の擬律判断に 時間を要するのです。そこが、別居時のような明白な事犯と相違するところです。 

② 二つ 目 は、『 旧来からの意 識』 です 。 夫婦や家庭の問題 に 、 公権力である 警察権力が、 ズカズカ、ドカドカ、土足で家庭に入り込む社会は問題があります。離婚もそうでしょう が、夫婦家庭の問題等は、夫婦や家庭間での解決が望ましく、それによることが困難な場合には、家裁調停や民事訴訟等の民事による解決法が用意されているのでもありましょう し、それが基本だと思います。そんな背景の中、たとえば、子供の連れ去り側は『家裁に離婚調停を申し立ててあります』 とか、『 離婚調停 で 話し合いをします 。 或いは、 話し合いを始めた 』 等 の 説明 をします。 すると 、 そもそ も、『 刑事司 法 は抑 制 的 で あるべ き 』 との旧来からの意識があるところ、家裁調停事件となっているとのシチュエーションが重なり、警察や検察の捜査機関は、公権力たる警察権の行使に、必然的に躊躇、抑制する意識 強く働くことになります。 

③ 三つ 目 は、『 公権力行使の妥当性 』 判断です 。 前述のように、そもそ も 、 同居 中 の 連 れ 去り行 為 の 擬律判断 に は 時間を要するところ 、 更 に、『刑事司法は 抑制的であるべき 』 等の旧来からの意識に加え、家裁調停事件として、これから親権等の行方が決して行くシ チュエーションの中で、警察等の捜査機関の立場としては、国家権力たる警察権の行使に より、結果として、一方の配偶者に肩入れ、有利になることに繋がるのは慎重、避けようとし ま す 。 それが、『 公権力行使の妥当 性の判断 』で あり 、その 意識 が 働くの です 。 こ の『 妥当性判断 』 は 、 何も離婚事案だけではなく 、 例えば 、 民 事 が絡む財産犯罪 (不動産売買などは典型的 )等の事案 も 、常に検討考慮の範疇として判断されています 。 行政権の行使と限界の法理を理解している方なら分かるでしょう。 

ですから、大きく三点の理由を列挙しましたが、子供を連れ去られた親が、警察等に告 訴や被害申告に 赴くと 、『 警察を利用 するな 』 とか 、『 家裁でよく話し合ってください 』 とか、何だか、ちゃんとした理由でもない、訳の分からない理由で断られるのは、こうし た理由からです。 

この三点に、もう二つ加えるなら、三点の大きな背景の中で、

①警察や検察は、家事事件の実態など知らないのが実情です。例えば、家裁の、現実に子供と同居している親に親権を与える『監護の継続性の原則運用』は勿論、その運用と子供の連れ去りの相関性も全く不知です。

②加え、警察等の捜査機関の組織的俎上に載っていませんから、子供の連れ去り事案の犯罪性が組織的検討すらされていないのです。これでは子供の連れ去り犯罪は検挙どころかその抑止対策さえ今の国家(警察)に期待すら出来ません。 

色々と書きましたが、要するに、そもそも論として、子供の連れ去り行為は、刑法犯罪なのですが、その条文である刑法 224 条は、同居中の連れ去り行為には、機動性と即応性を有しない法の造りなのです。そこに、前述の大きな三点とプラス二点等が複合的に重 なり合います。 

ですから、『同居中の子供の連れ去りは違法性が問われることはな い 』 とか 、更に 、驚くことに 、子供を連れ去られた当事者 親世界においても、『 そもそも 、 日本の法律では 、 同居中の連れ去りは違法となっていない』などと、大きな、それはそれは大きな誤った解釈が蔓延する結果を招いているのです。

一方の親の同意無き子供の連れ去り行為は犯罪なのです。 

一方の親の同意無き子供の連れ去り行為は、親子の『魂』『心』への殺人行為なのです。 断罪されるべき非道な行為なのです。 

このままでは、家庭における法秩序も規律も、一方の配偶者による利己的な行動により 破壊され尽くします。 

こんなことを許してはなりません。 

ですから、警察等の捜査機関には、実態の的確な把握と対策を求めることは基より、子供の連れ去り行為に対応力がない、機能不全に陥った刑法 224 条に変わる法律を必要としているのです。 

そこで、下記法(案)を策定しました

未熟で稚拙な内容ですが、子供の連れ去りを抑止 するには、どうしても刑法第 224 条の特別法としての地位で、実子拐取は犯罪なんだと明記し、即応性と機動性を有したこんな法律が必要なのです。その意を汲んで戴き、今後多 くの方々が法案を具体的に考え、社会に制定を訴えていく活動の一助になれば幸いと考え掲出いたします。 

どうか、実子等拐取処罰法の制定に御力添えを賜りますようお願いします。 

「実子等拐取行為の処罰に関する法律(私案)」 

(略称 実子等拐取行為処罰法) 未定稿

我が国においては、人権尊重と両性の基本的平等の理念のもと平和で健全な家族共同 生活が営まれ子供を育んできた。ところが、近年、離婚に伴い親権・監護権を確保するため、一方の配偶者の同意を得ないまま、もう一方の配偶者による不当な子供の連れ去り引き離し事案が多発する深刻な事態に至っている。該行為は子供の自由を侵害すると同時に、一方の配偶者の監護権を不当に侵害し強制的に排除する悪質行為であり、その結果、親子の断絶まで生じている昨今の情況は、私生活における法秩序の破壊並びに本来的親子 関係及び子供の福祉を著しく害する反社会的暴力行為で到底容認されるものではない。 

一方の親の同意無き子供の連れ去りは、実子であっても刑法第 224 条に定める未成年者 拐取罪に抵触する行為である。しかし、同条は、別居中の連れ去り事案に関しては即応性 を有するものの、同居中の連れ去り事案に関して機動性を発揮せず実態として無機能状態 にある。それはとりもなおさず、国家において犯罪行為を放置する無法・無秩序状態と 断言しても過言ではなく、これが我が国における子供の連れ去り事案の多発を招いている要因でもある。 

そのような事態を法治国家として看過することは出来ない。 

よって、本法律は、刑法第 224 条の特別法と位置付け、同居・別居の差異なく、実子等 の拐取は監護監督権を侵害する犯罪行為であることを明確にし、もって法秩序の維持及び 家庭生活の安全と平穏を確保し、健全な夫婦関係並びに親子関係の発展に寄与することを 目的とし制定する。

第一条(定義) 

この法律において「実子等」とは、婚姻の届出をした夫婦の間及び婚姻の届出はしてい ないものの事実上の婚姻関係にある夫婦の間に産まれた血縁関係にある子、並びに養子縁組により親子関係を生じた子、継父・継母として実質監護権を行使している子を含む。 

第二条(行為) 

一方の監護権者の同意なくして実子等の未成年者を略取・誘拐した者は、3 月以上 7 年 以下の懲役に処す。未成年者の同意は本条の成立に影響を及ぼさない。 

第三条(共犯) 

共犯は前条によりこれを罰す。また、何人も前条の行為を口頭・文書・その他方法の如何に関わらず指導指南・助言する行為、行為者の委任・依頼による企画立案行為、経済的援助、行為者の実父・実母等親族により該行為を援助容易ならしめる行為等を含めこれ らを共犯行為と認め禁止し、これに違反した者は前条により処す。 

第四条(犯人蔵匿隠避・証拠隠滅) 

第二条の行為を犯した者、拐取された実子等 を蔵匿又は隠避、証拠隠滅した者は、2 年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処す。 

※ 蔵匿(ぞうとく。人に知られないように隠しておくこと。) 

※ 隠避(いんぴ。犯人蔵匿罪となる行為の一。隠れ場所を提供する以外の方法で、 犯人・逃走者の発見または逮捕を妨げること。) 

第五条(被害受理と原状回復) 

被害の届出に対しては、事案の緊急性に鑑み、これを速やかに受理して所要の捜査を実 施し、行為者の検挙、子供の保護と被害者の居所等への原状回復を行い、可及的速やかに 被害の回復に努めること。 

第六条(家庭裁判所等公務所の告発義務) 

第二条及び第三条に該当すると認めるに足る相当な理由がある場合、家庭裁判所及び事 情を認知した関係公務所は、被害者と協議同意を得たうえ、行為者を捜査機関に告発する義務を負う。 

第七条(関係機関・弁護士等への遵守義務特別要請) 

夫婦・親子関係・離婚等、家庭問題の相談及び家事手続き等に関与する弁護士・行政書 士等法律関係事業者・公務所を含む関係団体並びに個人は、本法律制定の趣旨を理解し、 相談等の初期過程から本法律遵守の義務を負う。 

第八条(未遂罪) 

未遂はこれを第二条により罰し、情状により減刑する。 ※ 情状(じょうじょう。(ある結果に至った)実際の事情。) 

第九条(細則) 

この法律の実施に関し必要な細則は別に定める。 

以 上 

(著作 一人静