弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2023年10月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・後藤孝典弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・顧問弁護士としての事件処理が不適切
同時に法人も処分されています。(別掲)
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 後藤孝典
登録番号 10584
事務所 東京都港区西新橋1-5-11 第11東洋海事ビル9階
虎ノ門後藤法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止3月
3 処分の理由の要旨
(1) 被懲戒者は、Aが登記簿上の代表取締役 であった懲戒請求者B株式会社から、 同社の民事再生申立てを受任し、懲戒請求者B社の事業は順調で資金繰りに支障はなく、 また、懲戒請求者B社のC銀行に対する約28億円の簿外債務につきC銀行が主張る 意向があることを事前に確認できない状況であったにもかかわらず、懲戒請求者D及び懲戒請求者Eの主張する懲戒請求者B社の株主権を否定し、Aらが懲戒請求者B 社の経営権を失うことを避ける目的で、 上記簿外債務が発生したとして、2018年7月 13日、懲戒請求者B社の民事再生申立てを行った。また、被懲戒者は、上記民事再生手続においてC銀行の懲戒請求者B社に対する債権届出額が約6億4600万円であり、上記簿外債務の存在をC銀行が主張しない ことが明らかとなり、 懲戒請求者B社には 会社更生手続開始原因が存在しないことが 客観的に明らかであったにもかかわらず、 同年8月21日 懲戒請求者B社の代理人として、同社の会社更生申立てを行った。
(2)被懲戒者は、上記(1)の民事再生手続に関し、弁済禁止の保全処分も出ておらず、懲戒請求者B社の資金繰りに問題はなく、弁済可能であったにもかかわらず、懲戒請求者B社のC銀行、 F金融公庫等に対する債務の弁済を一方的に停止して、懲戒請求者B社にC銀行及びF金融公庫に対する遅延損害金等として、合計約2392万円の支払を負担させた。
(3) 被懲戒者は,上記(1)の民事再生手続にお いて、C銀行が懲戒請求者B社に対する債権額を約6億4600万円と届け出ると、C銀行に対し、懲戒請求者B社の代理人として、 自ら約28億円の債務を自認し、期限の利益喪失を自認する旨の通知を送付した。
(4) 被懲戒者は、上記(1)の会社更生手続において、 2018年9月17日、 懲戒請求者B社の 債権者宛てに送付した書面において、懲戒 請求者Dらの家族である亡Gは指定暴力団の元構成員であり、亡G及び懲戒請求者Dは反社会的要求を繰り返しなどと記載し、懲戒請求者Dらの名誉及び信用を毀損した。
(5) 被懲戒者は、懲戒請求者Dらが2018年6 月26日に申し立てた懲戒請求者B社、Aらを相手方とする仮処分等につき懲戒請求者 B社の代理人であったにもかかわらず、上記仮処分等とその基礎をなす紛争の実体が同一である、懲戒請求者B社が2019年8月27日に申し立てたAらを相手方とする訴訟 につき、Aらの代理人となって訴訟行為を行った。また、被懲戒者は、上記(1)の民 事再生申立て等につき懲戒請求者B社の代理人であったにもかかわらず、これらの申立て等の是非を争点とする、懲戒請求者B社が同月27日に申し立てたAらを相手方とする訴訟につき、 Aらの代理人となって訴訟行為を行った。 さらに、 被懲戒者は、懲戒請求者B社の株主である懲戒請求者Dら が2018年6月25日付け書面をもって懲戒請求者B社に対してなした提訴請求等につい て、同社の顧問弁護士として、訴訟提起す る必要はないとの見解又は助言を与えていたにもかかわらず、これと同じ争点で同– の事件と認められる訴訟につき、 Aらの代 理人となって訴訟行為を行った。
(6)被懲戒者の上記(1)から(3)までの各行為は 弁護士職務基本規程第21条に上記(4)の行 為は同規程第6条に、上記(5)の行為は弁護 士法第25条第1号に違反し、いずれも同法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2023年5月18日 2023年10月1日 日本弁護士連合会