音無ほむら(エコーニュース)@echonewsjp
弁護士から紛議調停の申立て!?
紛議調停の本来の目的は、依頼者が弁護士の事件処理や報酬に不満があり紛議調停の申立てをするものですが、最近は、受任した弁護士が紛議を申立てることがあります。
事件が終了したのに報酬を払ってくれない。報酬額を値切るので確定させたいというのが主な理由です。裁判までして取り立てることは費用対効果を考えれば先に紛議で解決しようということです。
なぜ杉山程彦弁護士(神奈川)は依頼者に紛議を申立てたのでしょうか
杉山程彦弁護士が3月29日から業務停止1月になり、依頼者は解任をした。払った着手金等を返還して欲しいと求めたようですが、逆に杉山程彦弁護士は紛議調停を出してきた。
被懲戒弁護士の業務停止中の遵守事項(指示書) 東京弁護士会
1 法律事件等の取扱い(3条関係) 抜粋
(1)委任契約の解除
業務停止を受けた場合は、すべての委任契約を解除しなければなりません。解除の対象となるのは、裁判所等に事件が係属するものに限らず、すべての委任契約です。裁判所、検察庁、行政庁に事件が係属する場合、被懲戒弁護士は辞任届の提出等の手続をしなければなりません。事件の利害関係人への連絡もする必要があります。
業務停止が1か月以内の例外
(1)にかかわらず業務停止期間が1か月以内の場合、依頼者が委任契約の継続を希望するときは解除しないことができます。ただしこの場合、被懲戒弁護士は依頼者に対して契約の継続を働きかけてはなりません。依頼者が自らその旨の確認書を受領し、その写しを本会に提出しなければなりません。
預かり金の清算
被懲戒弁護士は、依頼者からまた依頼者のために金員や物品を預かっていた場合にはこれを依頼者に返還しなければなりません。業務停止期間が1か月以内で依頼者の希望で委任契約が解除されない場合には返還を要しません。預り金については、委任契約の定めに従って適切に清算しなければなりません。
東京弁護士会の業務停止中の被懲戒弁護士の遵守事項(指示書)これから処分をうける方は必見、20のお約束
杉山程彦弁護士は、依頼者が継続を望まなければ契約を解除し預り金等を速やかに返還しなければなりません。
紛議調停を申立てたのは、推測ですが、紛議調停の場で話し合いを持ち、返還する金額を精査したい、値切りたい、月賦にしたい、できれば事件を継続して欲しいということでしょう。
依頼者から申立てた紛議に出頭しない弁護士はその後懲戒にかけられ処分となります。
杉山程彦弁護士のもう一つの狙いは、懲戒や不当利得返還請求訴訟になっても紛議で話し合いをしているところであり結論は出ていないからと述べたいのでしょう。懲戒を出させないためかもしれません。
紛議調停に出て行かなくても何ら問題ありません。
但し調停不調にし、懲戒請求を神奈川県弁護士会に出すか裁判で返還請求を求めれば良いのです。
もちろん申立人の主張を聞いて和解できるのであれば、それも一つの解決方法ですが・・・
【懲戒請求事案の審査開始の通知 】神奈川県弁護士会綱紀委員会3月29日付 杉山程彦弁護士 2024年4月13日
過去記事
過去にあったケース(大阪弁護士会)
相続事件で預金が1600万円、不動産(マンション)を所有していた。その預金通帳を預かった弁護士は受任早々事件の見通しもない時期に、この預金は弁護士報酬とすると紛議を申立てた。驚いた依頼人は大阪弁護士会に懲戒を申し立てた。綱紀委員会で「懲戒相当」の議決が出て、弁護士は預かった1600万円を依頼者に返還した。綱紀で懲戒相当の議決を出した大阪弁護士会は懲戒委員会で綱紀の議決に反し「棄却」とした。理由は預かった預金を返したから。
2016年9月14日