高齢女性が自分が亡くなった後の後始末につき相談したいと思い、知人の紹介でRМC法律事務所を訪れたものの、被告竹原は、高齢の原告に、委任契約の内容につき十分説明しておらず、原告は委任契約の内容を把握できないまま契約書に書面押印させられてしまった。支払った金員の返還を求めた裁判の訴状

令和五年ワ32357 号
原告 高齢女性 

代理人 原誠、井上順之、藤川祐士(原井上藤川)
被告 竹原孝雄(弁護士)、 代理人 鈴木信司
被告 N

● 2023年12月13日提訴
〇 3月6日3行答弁竹原
〇 3月13日3行答弁N
★3月13日
〇 5月15日準備1 竹原
〇 5月15日「答弁書」 N 「請求額は次回までに支払う」
★5月15日
★6月26日 2時

第1 請求の趣旨
1 被告竹原孝雄は、原告に対し、1936万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みまで年3分の割合による金員(ただし、1720万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みまで年3分の割合による金員の限度で被告Nと連帯して)支払え。
2 被告Nは、原告に対し、被告竹原孝雄と連帯してね1720万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、被告らの負担とする。
 との判決並びに仮執行の宣言を求める。

第2 請求の原因
1 当事者について
原告は、昭和19年7月生まれの高齢者である。
被告竹原孝雄(以下「被告竹原」という。)は、東京都千代田区で、RМC法律事務所を開設している弁護士であり、被告Nは、同事務所で働いていた者である。

2 委任契約の解除
 (1) 委任契約

被告竹原は、原告との間で、2019年(令和元年)6月4日付で「委任契約」を締結したことになっている。しかし、原告は、自分が亡くなった後の後始末につき相談したいと思い、知人の紹介でRМC法律事務所を訪れたものの、被告竹原は、高齢の原告に、委任契約の内容につき十分説明しておらず、原告は委任契約の内容を把握できないまま契約書に書面押印させられてしまった。
 (2) 債務不履行解除

のみならず、被告竹原は、同月5日ころに216万円もの高額の着手金を受領しておきながら、2,019年(令和元年)6月4日付で「委任契約・任意後見契約及び死後の事務処理契約書」を締結しただけである。

「委任契約書」及び「委任契約・任意後見契約及び死後の事務委任契約書」には公正証書の作成や遺言書の作成その他終活に関する一切の件が含まれているとされているにも関わらず、被告竹原はその後何の業務もしていない。
そこで、原告は、被告竹原の債務不履行と、被告竹原との信頼関係破壊を理由として各委任契約を解除する旨通知し、同通知は令和5年11月17日に到達した。よって、原告は、被告竹原に対し、本件委任契約解除による不当利得返還請求権に基づき、既払い着手金216万円の返還請求権を有する。
 
2 被告Nによる金銭等受領
 (1) 216万円支払いの経緯
また、RМC法律事務所で働いていた被告Nが、同事務所職員として原告宅を度々訪れ、通知人から金員や貴金属等を受領している。最初は、委任契約書記載の着手金につき、原告は当然手持ちなどなかったため契約時には払わなかったところ、令和元年6月5日頃、被告Nが原告宅を訪ねてきた。

被告Nが着手金の支払いを求めたのに対し、原告が手持ちの現金がない、金のインゴットならあるが、と答えると、被告Nは原告から金のインゴット「「徳力500g」1個を預かり、株式会社ネットジャパンに248万2,000円で売却した。その上で、被告Nは「お客様控え」を原告に渡して売却の報告をするとともにね被告竹原の領収書及び残金32万2,000円を原告に渡した。
 (2) 被告Nによる金銭、金インゴット等の受領
それに留まらず、被告Nは、原告に対し、何度も金銭や金インゴット等の交付を求めるようになった。
書面が残っているだけでも、被告Nは、原告から、
  ①令和元年9月19日 金のインゴット「徳力500×3 100g×1」及び記念硬貨
  ➁令和3年6月28日 1,000,000円
  ➂ 令和4年5月15日 20万円
と金銭や金インゴット等を受領している。なお、その他にも複数回、「借用」と称して金銭を受領している。
しかし、原告が再三返還を求めても、被告Nは、もう少ししたら返す等と繰り返すばかりで、一切の返還をしていない。

また、被告竹原は、原告から上記事情を聞くと、対応すると述べて原告から被告Nの釈賞を預かったものの、その後も金銭等の返還は一切ないうえに、原告に何の報告もされていない。
高齢の依頼者である原告からの借用などと称して複数回金銭等を交付させ、一切変換しないNの行為は、法律事務所で働く者としての責務に反する不法行為であり、また、被告竹原は、被告Nの使用者としての責任を負う。
なお、後述の事情などに鑑みれば、本件は竹原と被告Nによる共同不法行為とも評価できる。
 (3) 損害額(金の価格等)
記念硬貨については種類が不明であるため措くとしても、令和5年11月から12月12日までの間に金の店頭価格は1グラムあたり1万円を割り込んだことはないので、金合計1,600gの価格は、1,600万円を下ることがない。
よって、原告は、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、合計1720万円のは請求権を有する。

4 事情
原告から被告竹原に対する、委任契約解除と金銭等の返還請求をする通知書は、令和5年11月17日に到達したものの、期限を過ぎても被告竹原から一切連絡はなかった。
それどころか、被告竹原は、同年12月5日、大阪府警に弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕されたことがわかった。被告竹原は、過去にも非弁提携で弁護士会より懲戒処分を受けており、本件でも上記のとおりRМC法律事務所の職員として被告Nが原告から金銭等を受領していることから、本件も同様の事案であることから、本件も同様の事案であることが推察できる。

5 結語
よって、原告は、被告竹原に対し、本件委任契約解除による不当利得返還請求権及び上記不法行為の使用者責任あるいは共同不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告Nに対し、上記不法行為による損害賠償請求権に基づき、請求の趣旨記載の各金員の支払いをもとめる。

以 上

当会会員逮捕に関する会長談話 2023年12月05日

東京弁護士会 会長 松田 純一

本日、当会所属の竹原孝雄会員が、「国際ロマンス詐欺」と呼ばれる事件の被害者を救済するという名目で活動していた人物に自己の弁護士の名義を貸したとして、弁護士法違反の容疑で逮捕されたとの報道がありました。

被疑事実の真偽については、今後の捜査の進捗を待つことになりますが、報道された内容が事実であるとすれば、弁護士に対する信頼を著しく損なうものであり、重大な事態であると極めて厳粛に受け止めております。

当会としては、事実を確認の上、厳正に対処するとともに、今後も弁護士に対する市民の信頼確保のために全力で取り組んでいく所存です。

“国際ロマンス詐欺被害救済”被告に名義貸しか 弁護士逮捕   12月5日 NHK

引用NHKhttps://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20231205/2000080169.html