弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2025年3月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・遠藤安夫弁護士の懲戒処分の要旨
日弁連広報誌「自由と正義」は毎月発行です。特集の読み物も充実しています。
あなたが取った懲戒処分の記念にぜひ1冊。お申込みは、日弁連広報課 自由と正義担当 03(3580)9840年間購読費12000円(税別)1冊でも購入可能です。
処分理由・中国人が当事者の不動産売買で本人確認が怠慢
中国人が日本の土地を買いあさっています。個人やファンドで物件を購入し、売却する場合もまた中国人に売却することも多いようです。この事案は売買の売主が登記識別情報(権利証書)が無いため本人確認が必要であるにもかかわらず他の手法でやったことが処分理由、
外国では印鑑証明もありませんので本国から書類を貰います。外国人の本人確認をスカイプではできません。
登記申請して登記ができたのでしょうか?普通なら取下げか訂正を求められる内容で懲戒まで出ないと思いますが、この売買の当事者の中国人が急いでやりたかった、何かそういう理由があるような処分要旨です。
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 遠藤安夫 登録番号 17272
事務所 東京都府中市四谷3-17-18
遠藤安夫法律事務所
2 懲戒の種別 戒告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2019年7月20日頃、不動産の所有権を中国人である懲戒請求者から取得したと主張する中国人Aから、A及び懲戒請求者の代理人として上記不動産の所有権移転登記手続を行うことを打診されその場で応諾し、その日のうちにAが登記申請に必要となる書類を預けていると伝えたB弁護士と面談し、同人から声明書は印鑑登録証明書と同じ効用を持つ文書である旨の説明を受けたところ、中国語の語学力は皆無であり、声明書を扱った業務を過去に一度も行ったことがなかったのであれば、懲戒請求者の署名及び印鑑は日本の不動産に関わる税務の支払に係る事項のみに使用される旨の条件が付されている声明書について、同日に初めて知り合ったAらの説明を鵜呑みにすることなく、自ら慎重に検討し理解することにつとめるべきであったにもかかわらず、上記説明書を精査、検討し、その記載内容の理解、把握に努めなかった上、知人である通訳人に対して意見を求めることすらせず、B司法書士が作成した申請書類の内容を自身で十分に精査することもせず、また上記不動産の登記識別情報が存在していないことも認識しており、権利義務者と直接面談しなかえればならないことを弁護士として当然に認識すべきであったところ、同25日、安易にAの提案によりスカイプを通じて本人の意思確認をしようと試み、画面に登場した人物が懲戒請求者であるとAが紹介したことを信じて、名前と形式的に売却意思と所有権移転登記手続に関する委任意思を確認したことはなく、懲戒請求者と被懲戒者との間に上記所有権移転登記手続に関する委任契約が成立していないまま、同年8月9日、本人確認情報を作成し、これを申請書に添付して、上記不動産の登記申請をするという無権代理行為を行った。
被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2024年11月13日 2025年3月1日 日本弁護士連合会
前回の処分