令和7年ワ第15号

原告 杉山程彦弁護士 (神奈川)37300 プレミア法律事務所
被告 上野 晃弁護士 (東京)36203 弁護士法人日本橋さくら法律事務所 代理人 実田圭介

主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 被告は、原告に対し、337万5110円並びに内金300万円に対する令和5年1月27日から支払い済みまで年3%の割合による金員及び内金37万5110円に対する令和7年5月16日から支払い済みまで年3%の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は、弁護士である原告が受任していた民事訴訟について、控訴審から受任した弁護士である被告に対し、被告が原告に対し、弁護団として報酬支払い義務を負う又は被告が原告の成功報酬を受領する機会を奪ったなどと主張して、報酬支払い義務に基づく請求権又は不法行為に基づく損害賠償として37万5110円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めるとともに、被告が原告の業務を亡会し、名誉権を侵害したと主張し、不法行為に基づ損害賠償請求として合計300万円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求める事案である。
  略
 平成31年1月1日東京地方裁判所平成31年(ワ)20号提訴 杉山弁護士が原告代理人
 令和4年3月25日 110万勝訴
 令和4年ネ2429号 控訴
 令和4年8月9日 被告の事務所と委任契約
 令和4年11月29日口頭弁論、原告、被告、依頼者が出席
 令和5年1月26日、控訴棄却判決、被告と依頼者が記者会見
 令和5年12月19日上告棄却

第3 当裁判所の判断
1 前提事実に加え、証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
 (1) 平成30年12月25日、原告は、訴外Sとの間で、別件民事訴訟について、下記のとおり委任契約を締結した。
  ア 受任の範囲等
    訴外HТ子、同HТ、同SIを相手方とする損害賠償請求事件の東京地方裁判所における訴訟の処理
  イ 弁護士報酬
    着手金ゼロ円
    報酬金 回収した金額の30%
        子の引渡しを伴う和解ができたとき15万円
        ただし、別個契約の懲戒請求事件と共通
        報酬金の支払時期は、事件等の処理が終了したときとする。

(2) 訴外Sは、別件第一審事件判決後、別件第1審事件における原告の活動について、訴外Sとの連絡態様、訴外Sへの質問回答状況、裁判所への書面の提出時期等について不満を抱いていたため、令和4年1月1日に、原告に改善を促す旨のメールを送信した。
訴外Sが、口頭で確認したところ、原告が改善する旨のべたことから、訴外Sは、別件控訴事件について、原告に委任した。
その後、訴外Sは、原告が別件民事訴訟について控訴理由書を裁判所に提出したか否かやその内容等が不明であったが、原告と打ち合わせができないなことなどから、被告に、別件控訴事件について訴訟行為を委任することとした。

(3) 令和4年8月9日、訴外Sと被告が代表を務める弁護士法新日本橋さくら法律事務所との間で、下記のとおり委任契約が締結された。
   ア 受任の範囲等
     損害賠償控訴事件
     控訴審における追加の控訴理由書作成及び期日出廷業務
   イ 弁護士報酬
     弁護士費用22万円

(4) 被告は、別件控訴審事件について、控訴理由書を東京高等裁判所に提出した。被告は同控訴理由書を原告に見せていない。
(5) 別件控訴審第一回口頭弁論期日後、被告は、訴外Sの希望により、記者会見を実施することとし、日程調整等を行い、別件控訴審判決当日、訴外Sと被告が出席して記者会見を行った。
(6) 上告審で、第一審判決が確定したことにつき、被告は、原告に連絡していない。
(7) 令和6年7月24日、原告が被告に対し、成功報酬の支払の意思、別件民事訴訟の相手方からの債権回収の有無等を問い合わせたが、被告は回答しなかった。
(8) 同年8月頃、原告は訴外Sに対し、成功報酬の支払いを求める旨の請求書を送付した。
(9) 同月20日頃、原告は、東京弁護士会調停委員会に対し、被告を相手方として、別件民事訴訟に関する成功報酬の支払を求める紛議調停を申し立てた。
  同調停は、令和7年2月12日、不成立となり終了した。
(10) 原告は、訴外Sに対し、別件民事訴訟の成功報酬支払について訴訟を提起していたところ、令和和7年5月8日、〇〇地方裁判所〇〇支部において、原告と訴外Sとの間で、訴外Sが原告に対して解決金として46万3420円の支払い義務があることを認め、そのうち10万円を支払ったときは、原告は残額について支払い義務を免除する旨の裁判上の和解が成立した。
同月16日、訴外Sは、原告に対し10万円を支払った。

2 判断
 (1) 原告の被告に対する成功報酬請求権又は被告が原告の成功報酬受領機会をした事による不法行為に基づく損害賠償請求権について
  ア 前記認定事実によると、別件民事訴訟の第1審判決においては、原告のみが訴外Sの訴訟代理人となり、訴外Sの請求が一部認容される判決を得た。別件控訴審事件においては、訴外Sは、まず原告に委任し、その後被告にも委任した事で、控訴審の途中から原告及び被告がいずれも訴外Sの訴訟代理人として就任していた。上告審においては、訴外Sは被告のみに訴訟行為を委任したものである。
訴外Sは、控訴審及び上告審の訴訟行為を被告に対し、単独で委任したものであり、゛原告と被告が共同で訴訟追行することを内容とした契約は存在しない。。
 イ 訴外Sと原告との間の委任契約及び訴外Sと被告との間の委任契約の内容からすると、原告の別件民事訴訟における弁護士報酬は、訴外Sと原告との間の委任契約に基づき、訴外Sとの間に生じるものであり、被告が原告に対して報酬支払い義務を負うものではない。

また、原告主張の「弁護団」」の内容は不明確であるが、1件記録を見ても、被告に、訴訟の相手方から債権を回収して、原告に報酬を支払う義務を負わせるような契約責任が生じる事情は見当たらない。
  よって、被告が原告主張の弁護団としての報酬支払い義務を負うとの原告の主張は採用できない。
 ウ また、被告は、訴外Sとの委任契約に基づき、別件控訴審事件及び上告審に訴訟代理人として活動したものであるところ、原告が主張するように訴外Sをかどわかし、原告の悪印象を受け付けるなどして、原告に上告審を担当させないように仕向けるなどの行為をしたと認めるに足りる証拠は見当たらないことから、被告が原告の報酬債権を侵害したとはいえず、被告に不法行為は成立しない。
その他、被告に不当な目的があったという事実や、不当な介入と認められるような事情は見当たらず、原告の、被告の行為が弁護士職務基本規程に反する旨の主張は採用できない
 エ 以上により、原告主張の弁護団としての報酬請求権又は不法行為に基づく報酬額相当の損害賠償請求権は成立しない。

(2) 原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の存否及び額(上記(1)を除く)
 ア 前提認定事実によると、訴外Sは別件第一審事件における原告の訴訟活動等について不満を有していたものの控訴審についても原告に委任をしたが、別件控訴審事件においても原告の対応に不安を抱いたことから、被告に委任すすることになったものであり、被告は、訴外Sの依頼に応じて別件控訴審事件及び上告審で活動したものである。
かかる経緯のほかに、被告が、原告の主張するように、訴外Sの誤解を助長させるような行為をしたと認めるに足りる証拠はなく、被告が原告に対する業務妨害行為をしたとは認められない。
 イ また、訴訟当事者が複数の弁護士に訴訟行為を委任していた場合、依頼者の希望等から、依頼者と訴訟代理人のうちの1名が判決について記者会見を実施することを決したとしても、直ちに他の訴訟代理人を当該記者会見に立席させる義務が生じるものではない。
本件では、原告及び被告の両名が、別件控訴審事件において、訴外清水の訴訟代理人として活動していたものであるが、訴外清水の希望による記者会見を行うにつき、被告が原告に断りを入れ、原告を記者会見に招き、立席させる義務が生じるものではない。
よって、被告が本件記者会見を実施する際に、原告に断らなかったことにつき、被告に不法行為は成立しない。
 ウ さらに、第一審、控訴審の経過を経て、上告審において、いずれの弁護士に委任するかは訴訟当事者が決するものであるところ、訴外Sが原告に上告審の訴訟活動を委任しなかったことが、被告の不法行為とはなり得ない。また、被告が、上告審において、訴外Sが原告と委任契約を締結することを妨害したなどの事情も認められないことから、被告が原告に対する業務妨害行為わしたとは認められない。
 エ その他、本件全証拠によっても、被告の行為が原告に対する不法行為を構成するものと認めるには足りない。

第4 結論
 したがって、原告の請求はいずれも理由がないことからこれを棄却することとし訴訟費用の負担につき民訴法61条を適用して主文のとおり判決する。
  横浜地方裁判所横須賀支部  裁判官 宮澤 睦子 

原告は一審判決を不服とし控訴されました。

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