
日弁連広報誌『自由と正義』7月号から12月号に掲載された弁護士懲戒処分の要旨
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、懲戒請求者とその配偶者Aの子らについての監護者指定等申立事件について、2021年9月24日に家庭裁判所が審判したことに対し、これを不服とするAの手続代理人として、即時抗告を申立てたところ、懲戒請求者の手続き代理人B弁護士が懲戒請求者とともに同人の当時の勤務先事務所内に立ち入って勤務先の書類を持ち出し、窃取した事実は認められないにもかかわらず、同年10月20日付け抗告理由書に、あたかもB弁護士は窃盗を行ったような記載をし、これを裁判所に提出した。
(2)被懲戒者は、2022年6月16日、Aが申し立てた懲戒請求者を相手方とする面会交流調停においてAの手続代理人であったところ、医師が作成した長男の診断書を同年8月16日に懲戒請求者が証拠として提出したことについて、十分な事実調査を行わず、嫌疑をかけることを相当とする客観的根拠もないのに、同月22日、Aの代理人として、懲戒請求者を虚偽診断書行使の罪で検察庁に告発した。4処分が効力を生じた日 2025年2月28日 2025年7月1日 日本弁護士連合会
処分を受けた弁護士氏名 松井正広 登録番号 50303 松井法律事務所 懲戒の種別 戒告
処分の理由の要旨(1)被懲戒者は、2018年8月23日午後7時過ぎ頃から午後9時30分頃までの間、飲食店において、Aから不貞行為の事実関係を聞き出すに当たり、机をたたいてAを威嚇するなどし、さらに帰ろうとするAの前に立ち塞がり帰さないなどの行為を行った。(2)被懲戒者はAの父である懲戒請求者及びその妻Bに対し、2018年8月25日付け内容証明郵便により、法的根拠を欠くにもかかわらず慰謝料100万円等を請求し、これに応じない時は訴訟を提起するとともにAの勤務先にAの不貞行為の調査と懲戒処分を行うよう求める旨通知した。(3)被懲戒者はAの夫の母であるCらの代理人としてAとその不貞行為の相手とされるDの代理人E弁護士宛ての2018年8月26日付け文書により、法的根拠が認められないにもかかわらず、Aらの出勤停止を求め、また不貞行為に至る経緯や態様について回答を求め、回答がないときにはAらの勤務先に対しAらの不貞行為の有無等について文書で調査依頼する旨通知した。4処分が効力を生じた日 2019年7月3日 2019年11月1日 日本弁護士連合会
弁護士法第64条第63項の規定により下記のとおり公告します。
1 処分をした弁護士会 岡山弁護士会 2 処分を受けた弁護士氏名 横野崇司 登録番号 33485
事務所 岡山市北区中山下2-2-52 ナイジェル中山下301
横野崇司法律事務所
3 処分の内容 業務停止3月
4 処分の効力が生じた日 令和7年5月14日 令和7年5 月15 日 日本弁護士連合会
業務停止 2025年5月14日~2025年8月13日まで
1 処分を受けた弁護士氏名 岡崎崇司 登録番号 33485 事務所 岡山市北区中山下2-2-52 ナイジェル中山下301 ゆうあい法律事務所懲戒の種別 業務停止3月
3 処分の理由の要旨 被懲戒者は、AからBに対する養育費請求事件を受任し、2015年8月6日に合意を成立させ、この合意に基づき、同月26日、721万9742円が被懲戒者の預り金口座に振り込まれ、また、2016年3月2日、Aの代理人としてBに対する損害賠償請求を提起し、同年12月28日に和解が成立し、これに基づき、同年12月28日、200万円が被懲戒者の預り金口座に振り込まれたが、Aに送金しないまま、2017年9月25日から2020年3月15日にかけて、合計810万円を、本来の預り金の使用目的以外の目的で払い出し、被懲戒者の事務所の口座または被懲戒者が業務とは別に管理する個人口座に入金する等した。4処分が効力を生じた日 2025年5月14日 2025年9月1日 日本弁護士連合会
俺は裏社会の弁護士だ!
処分を受けた弁護士氏名 服部保裕 登録番号 47715 服部総合法律事務所 懲戒の種別 業務停止2月
3 処分の理由の要旨 (1) 被懲戒者は、懲戒請求者株式会社Aとの間で締結した法律顧問契約に基づき、2016 年4月1日から2018年1月末日まで同社の顧問弁護士の地位にあったところ、 懲戒請求者A社からの依頼に基づき作成した同社の2016年9月16日制定及び同日施行の就業規則等の案文において、 就業規則の絶対的必要的記載事項である始業及び終業の時刻並 びに休憩時間について必要な記載を欠いたものを作成した。
(2) 被懲戒者は、2017年10月下旬、懲戒請求者A社の代表者Bに対し、別の顧問先C株式会社が金融機関から融資を受けられるようにするための見せ金として利用するため、500万円を被懲戒者の預り金口座に振り込むよう依頼して振り込ませ、これをC 社に提供した。
(3) 被懲戒者は、 2017年11月28日、 自己の法律事務所の資金繰りという個人的経済的利 益のため、 民事訴訟事件の依頼者である懲戒請求者Dから、30万円を借り受けた。
(4) 被懲戒者は、 2018年1月頃、 顧問先である懲戒請求者A社に対し、 投資に対するリ ターンが月利8パーセントという現実には存在しなかった投資話を、かかる投資話が確実に存在するという確証なく安易に持ち掛けた。
(5)被懲戒者は、懲戒請求者A社の女性従業員に対し、セクシュアル・ハラスメントに該当する発言をした。
(6) 被懲戒者は、懲戒請求者A社において、 自身のことを「裏社会の弁護士」と表現するなどし、反社会的勢力との関わりを示唆した。 4処分が効力を生じた日 2025年5月2日 2025年9月1日 日本弁護士連合会
国際ロマンス詐欺被害救済を謳い着手金を得る。NHKの詐欺被害の番組に顔を隠して登場
名義貸し、弁護士法違反で有罪 ロマンス詐欺救済巡り
恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取るロマンス詐欺を巡り、弁護士名義を貸して被害救済業務をさせたとして弁護士法違反(非弁護士との提携など)の罪に問われた「RMC法律事務所」(東京都千代田区)の代表弁護士竹原孝雄被告(83)に大阪地裁は11日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。 三輪篤志裁判長は判決理由で、被告は犯行を持ちかけられた立場ではあるが従属する事情はなかったと指摘。犯行は弁護士資格なくしては成立せず、重要な役割を果たしていたと判断した。 一方で被告が起訴内容を認め、妻が監督を約束していることを考慮し執行猶予付き判決とした。
処分を受けた弁護士氏名 竹原孝雄 登録番号 12575 SUN法律事務所 懲戒の種別 業務停止6月
処分の理由の要旨(1)被懲戒者は2015年4月14日、株式会社Aの破産申立て及びA社の代表者である懲戒請求者Bの債務整理又は破産申立てを受任し、着手金等241万8000円を預かり金789万2500円から充当して受領したところ、2018年11月23日に懲戒請求者Bから委任契約を解約されるまで、A社の破産申立てを行わず、事務処理の経過報告も行わず、その後2020年4月に懲戒請求者Bの代理人弁護士らから報告を求められたにもかかわらず報告をせず、委任契約が終了したにもかかわらず、同月8月5日時点においても預り金等の残金返還並びに破産申立て未了による着手金の清算及び残金返還を行わなかった。
(2)被懲戒者は2021年12月14日、マッチングアプリを通じて知り合った者から投資取引に勧誘されて被害を被ったCから詐欺被害事件を受任したところ、2023年3月31日にCと面談することも電話やその他の通信手段を利用して会話することもなく、事件の見通しや弁護士報酬についての説明を行わないままこれらを漫然と事務職員に行わせ、自ら処理方針を決定すべきであるにもかかわらずこれを怠った上、処理方針についてCに対する説明も行わず、また、上記詐欺被害事件につき、事務職員がCに対して他の依頼者に比べて回収可能性が高いなどと不適切かつ不当な説明を行わないように指導及び監督を行わなかった。処分が効力を生じた日 2025年5月15日 2025年9月1日 日本弁護士連合会
2025年除名はこの1件
処分を受けた弁護士氏名 岸本学 登録番号 42093 みせばや総合法律事務所 懲戒の種別 除名
処分の理由の要旨 (1) 被懲戒者は、 自ら運用していた弁護士名義のツイッターのアカウントにおいて、 地方公共団体の議会の議員が主張していた上記地方公共団体の長による性加害の事実及び上記地方公共団体の住民による上記議員の解職に関して、 2020年12月2日「気に入らない女性議員を排除したければ」、「レイ プすればよい」「こんなリコールがあるこ と自体、 権限 権利の濫用だ」等と投稿し、同月7日、上記地方公共団体について 「原発廃棄物の最終処分場にでもしてしまえばどうか」等の投稿を行った。
(2)被懲戒者は、2021年12月頃、懲戒請求者 Aから同人を被害者とする強制わいせつ被 疑事件の示談交渉等を受任し、2022年4月1 日、上記事件の示談を成立させ、加害者代理人弁護士から示談金400万円を預かったが、懲戒請求者Aに対し、これを引き渡さなかった。
また、被懲戒者は、懲戒請求者Aに対し、同月2日から同年11月8日までの 約7か月間、上記示談金400万円の引渡しに 関し 何ら具体的、合理的な説明をしなかった、さらに、 被懲戒者は、同月16日、懲戒請求者Aが上記示談金の引渡しを求めるために申し立てた所属弁護士会の紛議調 停事件において、 紛議調停委員会から依頼及び督促をされたにもかかわらず、答弁書を提出せず、2023年1月12日の上記紛議事件の期日に出頭しなかった。
(3) 被懲戒者は、2022年5月29日、 懲戒請求者Bの配偶者及び子から同人らを被害者とする盗撮被害事件の示談交渉を受任したが、委任契約書を作成しなかった。 また、 被懲戒者は、同年6月24日、上記事件の示 談を成立させ、 加害者代理人弁護士から 示談金100万円を預かったが、依頼者である懲戒請求者Bの配偶者及び子に対し、これ を引き渡さなかった。
(4) 被懲戒者は、 所属弁護士会から、2022年 9月22日に被懲戒者が登録する事務所に到達した通知をもって、預り金品の入出金の 明細等及び特定の事件について被懲戒者が受領した示談金の入出金の明細等を回答するように求められたが、これに回答しなかった。
(5) 被懲戒者は、 2022年7月頃、 Cから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任 し、 同年12月2日、 上記事件の示談を成立させ、同月5日には加害者代理人弁護士か ら示談金100万円を預かったが、Cに対し、これを引き渡さなかった。
(6) 被懲戒者は、2022年10月11日、懲戒請求者Dから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、遅くとも同年12月9日に は上記事件の示談を成立させ、 加害者から 示談金80万円を預かったが、懲戒請求者D に対し、これを引き渡さなかった。
(7)被懲戒者は、Eから同人を被害者とする痴漢事件の示談交渉を受任し、2022年12月 26日、上記事件の示談を成立させ、加害者 代理人弁護士から示談金200万円を預かったが、Eに対し、これを引き渡さなかった。
(8) 被懲戒者は、2022年9月3日、 Fから同人 を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、遅くとも2023年1月13日には上記事件の示談を成立させ、加害者から示談金86万円を預かったが、Fに対し、これを引き渡さなかった。
(9) 被懲戒者は、Gから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、2023年1月23日、 上記事件の示談を成立させ、同月25日には加害者代理人弁護士から示談金80万円を預かったが、Gに対し、これを引き渡さなかった
(10) 被懲戒者は、2023年1月16日、懲戒請求者Hから同人を被害者とするセクハラ事件につき書面の送付及び合意書の作成を受任し、同年2月9日、 上記事件の示談を成立させ、遅くとも同月17日には加害者から示談金60万円を預かったが、懲戒請求者Hに対し、これを引き渡さなかった。
(11) 被懲戒者は、 Iから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、2023年3月17日、上記事件の示談を成立させ、加害者代理人弁護士から示談金100万円を預かったが、Iに対し、これを引き渡さなかった。
(12) 被懲戒者は、Jから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、2023年4月3 日、 上記事件の示談を成立させ、 加害者代理人弁護士から示談金110万円を預かったが、Jに対し、これを引き渡さなかった。
(13) 被懲戒者は、遅くとも2023年3月31日以 降、自己の所属する法律事務所が日本弁護士連合会に登録された住所地に所在しなくなったにもかかわらず、その移転等を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出な かった。
(14) 被懲戒者は、 2021年9月分から2023年10 月分までのうち15か月分の所属弁護士会の会費並びに日本弁護士連合会の会費及び特別会費合計金42万3500円を滞納した。4処分が効力を生じた日 2025年5月23日 2025年10月1日 日本弁護士連合会
刑務所の接見室でスマホ使用
処分を受けた弁護士氏名 片山律 登録番号 28306 wealth Management法律事務所 懲戒の種別 戒告
処分の理由の要旨 被懲戒者は、A、Aの配偶者であるB及びBの養親であるCから、刑事事件とは直接関係を有しない親子関係や養子縁組に関する事項についての意向確認や事務連絡等を依頼され、2020年11月17日、これを主たる目的として、接見禁止決定が付されているAと刑務所内の接見室において弁護人になろうとする者として接見した際、自身のスマートフォンでAを撮影し、撮影した画像データを接見禁止対象のCに電子メールで送信した。4処分が効力を生じた日 2025年8月8日 2025年11月1日 日本弁護士連合会
処分を受けた弁護士氏名 杉山雅浩 登録番号 52597 スピネル法律事務所 懲戒の種別 戒告
処分の理由の要旨 被懲戒者は、懲戒請求者株式会社A名義のアカウントにひも付くYouTubeチャンネルに被懲戒者が主演する動画を懲戒請求者A社が作成、編集しアップロードしていたところ、約200人のメンバーがいたLINEグループにおいて、2021年12月2日頃に、「お金を払ったのに、これまで作成した動画のデータ引き渡し拒否」「チャンネルを人質とし、自分に仕事を回せという脅迫に近い要求」「1本10マンの編集料吹っかけてくる」「契約書すらないのに、俺の著作権や肖像権は一切無視」等と懲戒請求者A社の代表取締役である懲戒請求者Bの社会的評価を低下させる投稿や、同23日には「詐欺師のクソ粘着」と懲戒請求者Bの名誉を著しく害する投稿をし、同月23日にはGoogleマップ上で表示される懲戒請求者A社に関するレビューとして「サービスは他の業者の半分以下の仕事で倍以上の値段をとる」旨、「編集だけやってやるから自撮りで撮影やれ」「お前に肖像権や著作権はない」等と告げられた旨等の懲戒請求者A社の社会的評価を低下させる投稿をした。処分が効力を生じた日 2025年6月13日 2025年11月1日 日本弁護士連合会
処分の理由の要旨(1)被懲戒者は、2023年10月5日、懲戒請求者との間で刑事事件に関する委任契約を締結したところ、同年11月頃から連絡が取りづらくなり、同年12月頃には懲戒請求者が被懲戒者に対し再三にわたって連絡をするも応答がなくなり、同月20日に苦情を述べる懲戒請求者のLINEに返信した後同年中の連絡は途絶え、2024年1月中に懲戒請求者から送信されたlineに対し応答しなかった。(2)被懲戒者は、上記(1)の委任契約を締結し、着手金33万円を受領したにもかかわらず、その後懲戒請求者が被懲戒者を解任した2024年3月5日までの間に何ら具体的な事務処理をしなかった。(3)被懲戒者は、遅くとも2024年3月15日には、懲戒請求者との間で委任契約解消に基づく着手金返還の合意が成立したのにもかかわらず、何ら説明もしないまま履行しなかった。4処分が効力を生じた日 2025年8月7日 2025年11月1日 日本弁護士連合会
処分を受けた弁護士氏名 上月健輔 登録番号 38058 東備前総合法律事務所 懲戒の種別 戒告
処分の理由の要旨
被懲戒者は、不同意性交等被告事件の国選弁護人であり、懲戒請求者A弁護士は上記事件の被害者である未成年者の国選被害者参加弁護士であったところ、2024年2月29日の公判終了後、懲戒請求者A弁護士の被害者参加弁護士としての訴訟行為に憤り、裁判所の駐車場において、懲戒請求者A弁護士に対し「子どもの権利をどう考えとんか」「それがお前の信念か」等と一方的に攻撃的な言葉で怒鳴りつけるように大声を出した。4処分が効力を生じた日 2025年9月1日 2025年12月1日 日本弁護士連合会
現役処分件数最多記録、業務停止月数85か月最多記録保持者
処分を受けた弁護士氏名 笠井浩二 登録番号 17636 街の灯法律事務所 懲戒の種別 業務停止3月
処分の理由の要旨 被懲戒者は2022年6月14日を効力発生日とする業務停止3月の懲戒処分を受けたが、受任事件の依頼者であるA株式会社及びBについて上記懲戒処分後も受任契約を解除しなかった。被懲戒者の上記行為は所属弁護士会の被懲戒弁護士の業務停止中の遵守事項にかんする会規第3条第1項に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4処分が効力を生じた日 2025年9月10日 2025年12月1日 日本弁護士連合会

