弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2010年1月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・愛知県弁護士会・鬼頭進弁護士の懲戒処分の要旨

懲戒処分・愛知の鬼頭弁護士、任意整理放置で8330万円損害

 愛知県弁護士会は29日、顧問先の会社の任意整理業務を放置し、会社に約8330万円の損害を与えたなどとして、同会所属の鬼頭進弁護士(60)=名古屋市=に退会を命じる懲戒処分を発表した。処分は27日付。退会命令が出ると、他都道府県の弁護士会に所属しないと弁護士活動ができなくなる。 同会が認定した非行内容によると、鬼頭弁護士は01年10月ごろ、名古屋市内の帽子製造会社の元社長から会社の任意整理を依頼された。11~12月に着手金など4900万円を受け取り、別に補助者として元社長に紹介した知人男性の預金口座に6760万円を預けさせた。ところが、鬼頭弁護士は任意整理を全く行わず、4900万円を返還しなかったほか02年2~4月、知人男性が口座から約3430万円を無断で引き出した。 元社長らは、鬼頭弁護士や知人男性を相手取り損害賠償を請求する訴訟を起こし1審は元社長らが勝訴。2審は被害額のほぼ全額を鬼頭弁護士側が支払う内容で和解が成立し被害弁償されたという。 元社長らは02年に鬼頭弁護士の懲戒請求を申し立てたが、和解成立に伴い請求は取り下げられた。しかし、同会懲戒委員会の審査に対し、鬼頭弁護士が全面否認し、非協力的な態度を取るなどしたことから同会は「被害弁償されていることを考慮しても厳しい処分は免れない」として退会命令の処分を議決した。鬼頭弁護士は処分を不服として日本弁護士連合会に審査請求する方針という 

 

懲 戒 処 分 の 公 告

 愛知県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 鬼頭進

登録番号 16539

事務所 名古屋市中区丸の内3 鬼頭進法律事務所

2 懲戒の種別  退会命令 

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は2001年10月ころ、懲戒請求者から同人が代表取締役を務めていたA社の任意整理を依頼され、同年11月27日から12月7日までの間に、着手金や債権者への返済資金等として4900万円を受領したほか、懲戒請求者に対して補助者としてBなる人物を紹介した上、懲戒請求者に指示してB名義預金口座に6760万円を預け入れさせた。また、被懲戒者は懲戒請求者からA社のゴム印や懲戒請求者の実印、権利証も預かった、ところがその後、被懲戒者は依頼されたA社の任意整理を全く行わず、同社が倒産した後、同社事務所に就いた際にも従業員らに対して懲戒請求者からは何も依頼を受けていない等の虚偽の説明をしこれにより懲戒請求者から預かった上記4900万円を自ら取得するとともに補助者であるBが2002年2月15日及び4月2日にB名義の預金口座に預け入れされた上記金員のうち合計3430万2068円を引き出す事態を招き、その結果、懲戒請求者及びA社に対して合計8330万2068円の損害を与えた。また被懲戒者は懲戒請求者から預かった同人の実印を無断で使用し2001年12月26日A社の取締役であったCが同社の代表取締役に就任した旨の虚偽の取締役会議議事録を作成する等して同年12月27日付けでCの代表取締役の登記手続を違法に行った被懲戒者の上記行為はいずれも刑罰法規にも触れる悪質な行為であり弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行にあたるところ、本件が計画的であること被害金額が多額であること等を考慮すると、懲戒請求者との間で和解が成立し懲戒請求が取り下げられていること、被害弁償がなされていること等を考慮しても厳しい処分を免れず退会命令を選択した、

4 処分の効力の生じた日  2009年7月27日 2010年1月1日  日本弁護士連合会