弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2010年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・埼玉弁護士会・新井岩男弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・利益相反行為

懲 戒 処 分 の 公 告

 埼玉弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

1 処分を受けた弁護士氏名 新井岩男

登録番号 19458

事務所 川越市脇田本町   新井法律事務所

2 懲戒の種別  戒告

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は懲戒請求者を含む合計8名から2007年9月ごろ有限会社Aに対する未払い手数料の交渉事件を受任した懲戒請求者らの未払い手数料の合計金額は2千万円を上回るものであったが被懲戒者がA社と交渉した結果A社が支払える和解金は総額で2千万円であるとの回答を得た。上記回答の結果、懲戒請求者ら相互間において利害が対立する恐れが具体的に生じてきたにもかかわらず被懲戒者は懲戒請求者らに和解金の合計金額を報告して協議をおこなうこともなく、辞任その他の事案に応じた適切な措置を取ることもなかった。また被懲戒者は上記和解金の分配をめぐって利益相反することが明らかであるにもかかわらず,懲戒請求者らの同意を得ずに2008年3月3日BからA社に対する未払い手数料請求の交渉事件を受任し同年4月3日懲戒請求者8名にBを加えた合計9名を代理してA社との間で同社から2000万円の支払いを受けることなどし和解金の合計額、各委任者の和解金取得額等の説明すらおこわず、事件処理の報告、協議及び辞任その他の事案に応じた適切な対応を行わなかった。

被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第28条、第32条第36条及び第42条に違反弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4 処分の効力を生じた年月日 2010年4月21日 2010年9月1日   日本弁護士連合会