弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2010年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・小室貴司弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・4417万の売買で1401万円の弁護士報酬しかも領収書は500万円しか出さず

懲 戒 処 分 の 公 告

 東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

1 処分を受けた弁護士氏名 小室貴司

登録番号 9185

事務所 東京都中央区銀座 小室・岡田法律事務所

2 懲戒の種別 業務停止4月  (2013月11日業務停止2月に変更)

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は2004年1月9日AからAが地主から借りていた借地及び地上のA所有の建物に関して建物の入居者を退去させたうえで対価を得て借地権を処分するという趣旨の依頼を受けた、その後被懲戒者は2005年5月16日Aの弟Bを代理してAに対する成年後見人開始の審判の申し立てを行い、同年6月27日成年後見人開始の審判がなされ、Bが成年後見人に被懲戒者が成年後見監督人にそれぞれ選任された審判に先立ち被懲戒者は2005年5月18日Aを代理してC株式会社との間で借地権の売買契約を締結し自ら手付金800万円を受領した。同年7月28日に売買残代金の決済が行われたが被懲戒者は借地権の売買代金4417万円から既払の手付金、地主への譲渡承諾料、仲介手数料、登記費用等を差し引いた残金を受領した決済後被懲戒者は受領した金員のうち1500万円をBに渡したものの適正妥当な弁護士報酬を提示する義務を怠って不適正かつ過大な報酬を提示し適切な説明に基づく合意のないまま既に受領していた手付金と合わせて合計1401万2000円をを報酬として受領した、また被懲戒者は借地権の売買代金から支払われた所経費、被懲戒者の報酬について適切な説明をせず2005年11月30日にBの妻から領収書の交付を求められた際にも、売買の所経費のうち一部の領収書を交付せず自らの弁護士報酬については実際の取得金額が1401万2000円であるのに額面500万円の領収書しか渡さなかった、
さらに2006年11月10日にはB及び被懲戒者の辞任が許可され懲戒請求者をAの新たな成年後見人とする旨の審判がなされたが被懲戒者はAの成年後見人となった懲戒請求者から報酬が過大であるとして返還を求められた際にも合理的な説明をしないまま返還を拒絶し続けた。
懲戒者の上記の行為は弁護士職務基本規定第24条及び第45条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力を生じた年月日 2010年5月11日 2010年9月1日   日本弁護士連合会