弁護士懲戒処分の研究・前回は事件放置についてレポートをしました。
今回は『非弁提携・名義貸し』について研究してみます。
弁護士懲戒処分の研究 ② 「非弁提携」
弁護士法第27条(非弁護士との提携の禁止)
弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
□非弁提携
弁護士の懲戒処分で事件放置などについて多いのが非弁提携です。
2000年からの処分数は約46件です(弁護士懲戒処分検索センター調べ)
戒告は1件で業務停止3~1年が最も多く退会命令も数件あります。
(戒告・熊本に進出した女性だけの法律事務所・開設当初は仕事がなく非弁グループ」からの過払い請求の斡旋をしてもらった。弁護士会から提携を止めるよう注意を受けていたが提携を続けた。若い女性弁護士に甘い処分を出した)
非弁提携とは、NPOなどを名乗る団体から過払い請求や債務整理事件を請負いNPOに報酬を与える。逆にNPOが仕事を受け弁護士に業務の下請けをさせるケースもある。
【非弁提携をするのは1人~3人程度の事務所です】
大きな事務所はありません。特に目立つのがベテランの弁護士です。バブル期に楽な仕事でぼろ儲けした弁護士。リーマンショック以後おいしい仕事が無くなって過払い請求しかできない能力のない弁護士がNPOと呼ばれる団体から仕事を大量に請け負うのです。また弁護士が大量に増えた時代でもありました。
NPOとはどのような団体でしょうか
過払いや債務整理事件を大量に取ってくることは団体ですがどのようにして集めてくるのでしょうか。地方の町に過払い請求や債務整理の相談のチラシが入る時があります。関係のない方はすぐにゴミ箱でしょうが、過去にサラ金や金融会社に高い金利で返済したことのある人が相談にいきます。そこで相談をして一面識のない東京の弁護士に事件が回されます。本来、弁護士は事件を受けるときには依頼者と面談して委任契約書を締結しなければなりません。
【顧客名簿】
過去にSFGCや旧武富士や中堅のサラ金の顧客名簿が流出しました。辞めた社員が顧客リストを持ちだしたのです。辞めた社員がNPOを設立しリストにある過払いがありそうな客に電話をかけます。『あなたにはまだ支払われる過払い金があると』
こうやって集められた過払い請求の依頼者は主に東京や大阪の一人二人の法律事務所に送り込まれます。依頼者は弁護士の名前などどうでもいいですからもっともらしい名があれば納得します。元々あきらめていた過払いを親切に教えてきてくれているのです。とにかく金が少しでも手に入ればなにも文句をいいません。
提携先の弁護士に送られた過払い請求事件を弁護士はせっせと処理をします。裁判によるものはなく金融会社に請求して交渉すれば過払いは戻ってきました。弁護士は1件いくらというものから月額報酬というかたちになって支払われるものがあります。金融会社を辞めた人間を取り込んでつくった組織。ほとんどが反社会系団体に関係するところといえば分かるでしょう。そのNPOが過払いで取ってきた金を依頼者にどれだけ支払うと思います?ほとんど支払いません。客に今回はA社の過払い請求をしたがお前はまだB社にも債務がある。借りた金は返さないといけない取ってきた過払い金はそちらに支払う。文句あるかと言えば何も言えません。悪質なのは顧客リストがある新たな客を拾って来い。そうしたら1人につき報酬をやると言われ自宅から電話をかけまくった被害者もいます。
【なかなか処分をしない弁護士会】
弁護士会は被害者救済は一切しないところですから、弁護士会に過払い金が戻ってこないと苦情をいってもなかなか処分しません。懲戒処分を出すのは、弁護士が儲けたあと。弁護士には退職金もありませんから大きく儲けたあとにようやく業務停止でも退会命令を出します。懲戒処分とは事前に非行を中止させるものではありません。非行が確定しなければ処分は出しません。まして仲間のことですから窮極の
ところまで目をつぶります。
【非弁行為で懲戒請求を出す被害者がいない】
過払い請求が始まってかなりの年月が経ちます。今NPOが集めてくる過払いの客は質のよい客ではありません。今まで何もしなかった人には事情があったからです。戻ってくる過払い金が少ないと弁護士会に懲戒請求を出すことはほとんどありません。懲戒請求や苦情はなかなか出ません。懲戒が出ないもので弁護士会は動きません。
【弁護士会が処分を出すのは内部告発か国税がNPOに入り非弁提携が分かってからやっと重い腰を上げるのです】
【弁護士会が非弁提携弁護士を庇う理由】
無能弁護士の救済です。請求しかできない弁護士に飯を食わせて会費を取るために目をつぶっているのです。除名処分や退会処分を受けた弁護士もなにか仕事をしなければメシが食えません。弁護士の潰しはききません。元弁護士がせっせと過払い請求事件処理をやっているのです。これも弁護士会は見逃しています。
無能弁護士救済・除名処分を受けた弁護士の救済ということで怪しい反社会団体と深いかかわりを持っているのが弁護士・弁護士会です。
口では反社会団体とかかわりを持つなといいますが自分たちがズブズブの関係をいつまでも断ち切れないのが実態です。
【非弁提携のNPOと無能弁護士どちらが悪質なのでしょうか】
弁護士のほうが悪質です。あんたらの仕事は受けない。できないと断ればいいのです。しかし断るどころかNPOから借金をしたり、たかりに行ったりしているのが弁護士です。NPOが弁護士に入り込むのはまず、過払い金の清算金や債務債務整理の証拠金を使い込んでいる弁護士に融資や立て換えをします。資金援助です。あとは弁護士に仕事をさせるか名義を借りるかです。
こんな非弁提携をやっている過払いかできない無能弁護士の事務所に離婚や相続などの事件を依頼して放置されているのです。
離婚や子どもの面会交流調停などめんどうくさい事件ができる分けがありません。ましてや多くの処分のなかには自分が事件処理をしないで事務員に
させているのがあります。事務員に事件処理させて自分は世界一周旅行に出かけて処分されてもういいわと弁護士を辞めたベテランもいます。
『2000年から非弁提携で処分された弁護士一覧表』
この一覧を見れば処分された弁護士の状況が分かります
東京三会と大阪ばかりです。しかもベテラン弁護士が目立ちます。
1 関榮一 10321 二弁 退会命令 2000年10月
2 柿沼映二 7815 東京 退会命令 2000年12月
3 出口明良 19993 二弁 退会命令 2001年1月
4 堀尾和夫 5444 一弁 業務停止1年3月 2001年5月
5 高橋貞夫 11349 名古屋 退会命令 2001年6月
6 水本民雄 5885 二弁 業務停止2年 2001年8月
7 両角吉次 12712 長野 業務停止6月 2001年6月
8 青木達典 9386 二弁 退会命令 2001年10月
9 蒔田太郎 5599 東京 業務停止1年 2001年11月
10 成田哲雄 5898 東京 業務停止6月 2002年1月
11 中田茂春 20420 東京 業務停止2年 2002年5月
12 桑原時夫 15408 東京 退会命令 2002年9月
13 真下博孝 10527 東京 業務停止10月 2003年4月
14 長岡敏満 14252 一弁 退会命令 2003年5月
15 斎藤哲夫 16163 大阪 業務停止1年 2003年6月
16 中島俊行 21057 一弁 業務停止6月 2003年8月
17 蒔田太郎 5599 東京 退会命令 2003年8月
18 中川隆博 11860 二弁 業務停止2月 2004年3月
19 寺崎健作 9938 大阪 業務停止6月 2004年12月
20 村山幸男 8999 二弁 業務停止4月 2005年4月
21 黒田宏二 7835 大阪 業務停止3月 2005年8月
22 今井隆雄 8392 一弁 業務停止4月 2006年9月
23 中島敬行 19226 一弁 業務停止6月 2006年11月
24 畑井博 7851 大阪 業務停止6月 2007年8月
25 松野充 12901 二弁 業務停止3月 2009年5月
26 千川健一 22582 東京 業務停止4月 2009年7月
27 新谷勇人 11984 大阪 業務停止2月 2009年7月
28 江藤馨 7887 東京 業務停止6月 2009年9月
29 山崎陽久 13846 東京 戒告 2010年7月
30 川窪仁帥 14130 大阪 業務停止3月 2010年8月
31 松本徹 22527 大阪 戒告 2010年12月
32 花村哲男 11953 大阪 業務停止2年 2011年1月
33 保持清 9169 東京 業務停止1年 2011年2月
34 田中英雄 10594 東京 戒告 2011年8月
35 片山和英 10054 東京 業務停止1年 2011年10月
36 弁護士法人片山会 243 東京 業務停止1年 2011年10月
37 今井隆雄 8392 一弁 業務停止2年 2011年11月
38 中村俊夫 30273 二弁 業務停止2月 2011年12月
39 弁護士法人公尽会 154 除名 2012年2月
40 塩谷安男 21337 一弁 業務停止3月 2012年5月
42 高木紀子 30598 熊本 戒告 2013年10月
43 木谷康人 8390 一弁 業務停止3月 2013年11月
44 山下基之 20283 東京 業務停止10月 2014年2月
(報道から)
元NPO代表、無資格で債務整理=1.4億円脱税容疑で告発―東京国税局
時事通信 2月14日(金)12時31分配信
弁護士資格がないのに過払い金返還請求手続きなど多重債務者の債務整理をし、得た利益を申告せず所得税約1億4000万円を脱税したとして、NPO法人の小林哲也・元代表(48)=東京都港区=が、所得税法違反容疑で東京国税局から東京地検に告発されていたことが14日、分かった。既に修正申告を済ませたとみられる。 関係者によると、国税局は小林元代表が少なくとも弁護士7人に報酬を支払って名義を借り、債務整理をしていたと判断。東京地検特捜部は、無資格者の弁護士業務を禁じた弁護士法違反(非弁提携など)の疑いでも元代表や弁護士らを調べる。
無資格NPOと提携し債務整理、弁護士懲戒処分
借金返済のアドバイスを行うNPO法人から700件もの債務整理のあっせんを受けたとして、東京弁護士会は4日、同会所属の山下基之弁護士(55)を業務停止10か月の懲戒処分にした。
発表によると、山下弁護士は2010~11年、二つのNPO法人から紹介を受けて約700件の債務整理を手がけ、報酬を得たとしている。弁護士法は、無資格者が債務整理などの法律業務を行うことを禁じ、弁護士に無資格者と提携しないよう定めている。同会は「NPO法人の実態の確認を怠り、無資格者と提携した」と判断した。 (2013年12月4日19時32分 読売新聞)
非弁提携よりも悪質なのが名義貸しです。
非弁提携はNPOが集めてきた過払い請求事件の処理をします。
名義貸しは事件処理もしません。
次回は【名義貸し】について研究してみます。
2013年10月13日の報道
名義利用させた弁護士を懲戒へ 第一東京弁護士会
第一東京弁護士会は11日、東京都千代田区に事務所を置く同会所属の
松田豊治(とよじ)弁護士(51)について、懲戒処分の手続きを始めたと
発表した。貸金業者に過払い金の返還を求める業務で、すでに司法書士の資格を失っていた男性に名義を利用させたといい、同会は弁護士法違反(非弁提携)にあたるとしている。