弁護士自治を考える会
弁護士の懲戒処分を公開しています。「日弁連広報誌・自由と正義」2015年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・福井弁護士会・佐藤辰弥弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・受任契約書ナシ控訴や裁判の見通しなどの説明せず。裁判提起せず報酬を清算しなかった。
福井弁護士会では懲戒制度ができて通算4件目の懲戒処分となりました。
懲 戒 処 分 の 公 告
福井弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 佐藤辰弥
登録番号 16472
事務所 福井市春山1
佐藤法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は懲戒請求者から2008年5月29日に懲戒請求者敗訴の判決が言い渡された訴訟事件について上記判決を覆す方法の検討及び検討の結果得られた控訴申立て又は再審の訴えを含む方策について手続をとることを受任し同年6月11日、113万1000円を受領した。
被懲戒は上記受任に当たり委任契約書を作成せず、懲戒請求者に対し、弁護士報酬、費用等について適切な説明をしなかった。被懲戒者は上記判決の控訴期間の満了日頃、懲戒請求者に対し控訴申立てはせず再審の訴えの方向で進む旨告げて控訴申立てを行わなかったが、これに先立ち、事案の見通し、控訴申立てをしなかった場合の不利益等について懲戒請求者に十分な説明をせず控訴申立てをするか否か等について懲戒請求者と十分な協議をしなかった、被懲戒者はその後も懲戒請求者に対し、再審の訴えの概要、再審をした場合に上記判決が覆る可能性等について十分な説明をせず、懲戒請求者とに間で対応について十分な協議も行わず、2016年6月に委任契約が終了するまで、再審の訴えを提起しなかった。また被懲戒者は懲戒請求者から受領した113万1000円を清算しなかった。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第29条、第30条、第35条、第36条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた年月日 2015年2月6日
2015月5月1日 日本弁護士連合会
(受任の際の説明等)
第二十九条 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事 件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。
3 弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任 してはならない。
(委任契約書の作成)
第三十条 弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、これを作成する。
2 前項の規定にかかわらず、受任する事件が、法律相談、簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくもの であるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。
(事件の処理)
第三十五条 弁護士は、事件を受任したときは、速やかに着手し、遅滞なく処理しなければならない。
(事件処理の報告及び協議)
第三十六条 弁護士は、必要に応じ、依頼者に対して、事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、依頼者と 協議しながら事件の処理を進めなければならない。