弁護士の懲戒処分の要旨を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2016年7月号に公告として掲載された弁護士懲戒処分の要旨/愛知県弁護士会 杉本徳生弁護士の懲戒処分の公告
成年後見人を受任した弁護士の怠慢な事件処理これで戒告です。
懲 戒 処 分 の 公 告
愛知県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 杉本徳生
登録番号 29644
事務所 名古屋市東区泉1
いずみ総合法律事務所
2 処分の内容 戒告
3処分の理由の要旨
被懲戒者は2009年2月6日懲戒請求者の母Aの成年後見人に選任され裁判所から同年3月24日までにAの財産の調査等を行い後見事務報告書を送るようもとめられたもかかわらず2010年4月2日に後見事務報告書(1)を提出し同月10日に後見事務報告書(2)及び財産目録を提出するまで裁判所への報告を行わなかった。
被懲戒者は成年後見人に選任された際、裁判所から、本件の課題が2008年5月17日に死亡したAの夫Bの遺産分割及びAの財産の保全であること、懲戒請求者が懲戒請求者の弟Cに対し、CがAの預貯金を無断で引き出したとしてその返還を求める調停を申立てていることが記載された書面の送付を受け、また懲戒請求者からもAが脳梗塞で倒れて入院した2007年9月から2008年9月までの間に約877万円の預貯金が引き出された事実が記載された裁判所書記官作成の一覧表を渡され、CによるAの預貯金の不正出金について調査するよう依頼されたが2010年5月12日に各金融機関の取引履歴を入手するまでAの預貯金の調査を行わなかった。被懲戒者は2010年3月1日に1万3000円、同年4月1日に2万1000円がA名義の預金口座からキャッシュカードで引き出されたいたが後見終了後に懲戒請求者から問い合せがあるまで引出しに気付かず、通帳にはAの入院後から被懲戒者が後見人に就任するまでのシダにキャッシュカードによる多額の出金が複数記載されていたがCに対して上記口座のキャッシュカードを破棄したかどうか確認しなかった。
被懲戒者は2010年5月12日A名義の預金口座から後見事務費用として25万円を出金したが預り金として記録せず、後見事務費の支出も記録せず、最後の後見事務報告書を提出した際にも財産目録に計上しなかった。被懲戒者はAが成年後見申立て当時92歳と高齢で意識のないまま
入院している状態にあり、Bの遺産分割協議並びにCの不正出金の調査及び取戻しについて結論が出る前に死亡する可能性があったが、Aが2011年5月24日に死亡するまで2年以上にわたり一度もAと面会しなかった。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日 2016年3月5日 2016年7月1日 日本弁護士連合会