公益通報低調 京都1件、滋賀はゼロ 14年~15年度の内部受理
■京都弁護士会など24日に相談110番
公益通報者保護制度では通報者の範囲に退職者が含まれなかったり、通報対象事実に関して該当法律が限られるなど、通報しやすい内容にできるかが課題になっている。
2015年度に京都府の職員(府教育委員会と京都府警を除く)からの内部通報受理件数は1件、滋賀県は0件。また行政機関などによる不適切な対応も続発した。京都市でも、職員が外部窓口を通じて内部告発をしたが、氏名が了承なく市に伝えられたとされる問題が発生している。
消費者庁は検討会で、法改正の是非を議論しているが、京都弁護士会の公益通報者支援チームによると、「現状維持を望む事業者側の声があり、同制度の実効性を高められるか、正念場を迎えている」。
24日の110番では、公益通報に通じた弁護士が交代で、公益通報を考えている人の疑問に答えるほか、通報を行った結果、解雇など不利益な扱いを受けた人らに法的アドバイスを行う。午前10時~午後4時に、TEL0570(024)783で受け付ける。
京都弁護士会は、常設の公益通報相談窓口=TEL075(231)2378=を設けているが、年数件の利用にとどまっているといい、浅岡美恵弁護士は「今回の110番で、法改正の必要性を示す事実を集められれば」としている
弁護士自治を考える会
通報した職員名が京都市に伝わる 懲戒処分も
理事者だより
4月1日から1年間副会長を務めさせていただきます。
弁護士は、弁護士法上、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とするとされています。この使命を全うし、弁護士が、頼もしい権利の護り手であるとともに、信頼しうる正義の担い手たるには、個々の弁護士の意欲と活力が必要です。
しかしながら、弁護士業界は、司法改革の推進とともに以前と様変わりしており、必ずしも個々の弁護士が意欲と活力を十分に発揮できる環境にあるとはいえない現状です。
このような状況のもと、弁護士会は、個々の会員がそれぞれ弁護士の使命を実現しやすい環境を整えるべく、積極的に活動する必要があります。
弁護士・弁護士会が、その使命と責務を十分に自覚し、今後も皆様に信頼いただける存在であり続けるため、微力ながら、弁護士会の発展に尽力をいたす所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
公益通報相談のご案内
京都弁護士会では、公益通報相談専用電話を開設しました。
専用電話番号
受付時間 月~金 午前9時~正午、午後1時~4時
相談料 5,400円(消費税込)
※なお、ご相談をお伺いした結果、公益通報相談とは認められないケースは、一般の法律相談窓口をご紹介する場合があります。
公益通報とは何ですか。
企業や組織の内部の、公益にかかわる違法行為や不当・不正な行為を、内部にいる人が、企業や組織のトップ、行政機関、マスコミや消費者団体などの外部へ通報すること。
弁護士への相談では、通報者の秘密は守ってもらえるのですか。
弁護士は守秘義務が法律で定められているため、通報者の相談内容を漏らすことはありません。
実際にあった公益通報の例としては、どんなものがありますか。
旧運輸省に三菱自動車工業の社員と思われる人から通報されたリコール隠し
東京女子医大病院内部の人と思われる方から大学理事長に宛てられた、病院で行われた心臓手術ミスを隠すため、カルテ改ざんが行われたという通報文書
雪印食品の指示により輸入肉の産地偽装作業をしていた倉庫会社の社長が、兵庫県警に通報した、同社がBSE保管対策事業を悪用して、在庫輸入肉を国産肉と偽装して国に買い上げさせる詐欺を働いていたこと
弁護士以外の人に相談してもいいのですか。
法律は、企業内部への通報を原則としており、外部に通報すれば、公益通報者保護法の要件を満たさない限り保護されません(必ずしも他の法律で守られないわけではありません)。その結果、解雇などの不利益処分を受ける可能性があります。そして、通報するかどうかを検討するための相談自体も、外部への通報と位置づけられるため、同様の危険があります。しかし、弁護士への相談は、外部通報には該当しません。通報を行おうと考えておられる方が危険なく相談できるのは、弁護士だけです。