業務停止1年6月と戒告処分を同日に出して、懲戒処分を軽くした? 東京弁護士会
2019年1月22日付け官報の懲戒処分公告に以下の処分が掲載されました。
少しマニアックではございますが弁護士会は懲戒を以下のように自由に取り扱って一般人には分かりにくくし弁護士を庇うという実例です。
 
懲 戒 の 処 分 公 告  (1月22日付官報)
弁護士法第64条の6第3項の規定により下記のとおり公告します。
             記
1 処分をした弁護士会     東京弁護士会
2 処分を受けた弁護士
  氏 名           張 學 錬
  登録番号          27297
  事 務 所         東京都新宿区新宿1269
                AITS法律会計法律事務所
3 処分の内容         業務停止16
4 処分が効力を生じた年月日  平成301225
5  平成301227日     日本弁護士連合会 
 
懲 戒 の 処 分 公 告   (1月22日付官報)
弁護士法第64条の6第3項の規定により下記のとおり公告します。
            記
1 処分をした弁護士会     東京弁護士会
2 処分を受けた弁護士
  氏 名           張 學 錬
  登録番号          27297
  事 務 所         東京都新宿区新宿1269
                AITS法律会計法律事務所
3 処分の内容          戒 告
4 処分が効力を生じた年月日  平成301225
5  平成301227日     日本弁護士連合会 
 
 
1225日という年末の仕事納めの忙しいどさくさの時期に業務停止16月と戒告の2件の処分を出した東京弁護士会いったい何がしたかったのか、どういう意味があるのでしょうか、
 
過去の例で検証してみましょう
1年に2回の懲戒処分を受けたケース
① 香川県弁護士会  西山司朗弁護士
戒告  処分された日     201732
戒告  処分された日     2017410
 
処分日が近く2件まとめて処分することも可能でしたが、香川県弁護士会は別々に処分をしました。2つまとめれば業務停止になるかは分かりません。
② 神奈川県弁護士会 鈴木軌士弁護士
戒告 処分された日    2015810
戒告 処分された日    2015107
 
これも処分日が近く2件まとめて処分することも十分可能でしたが別々に処分を出しました。
 
意味の無い懲戒処分もあります。業務停止中に戒告処分を出したケース
 
愛知県弁護士会  丹羽靖弁護士
業務停止2年   処分された日  2017328日 
戒 告      処分された日  20181227
 
業務停止中に戒告処分を下してもまったく意味がありません。
こちらも1227日というの御用納めのドサクサに、こそっと出した、愛知県弁護士会の懲戒請求在庫一掃セール
 
業務停止3月の処分中に業務停止1月を出して、停止期間を短くしたケース

第一東京弁護士会  宮本孝一弁護士
業務停止3月 処分された日 2011103日~201212日まで停止
業務停止1月 処分された日 20111219日から2012118日まで停 
業務停止3月の後に1月が出た場合、たして4か月になることはありません。3月の処分が明けて、次に1月が始まるのではありません、
1219日発布の業務停止1月は業務停止3月の中に含まれるので業務停止3月の処分明12日から16日間の業務停止で済むのです。こういう処分で弁護士を庇うのです、しかも1219日発布であれば正月休みもありますので業務にあまり影響でません。
   
これらの処分は、別々に出たものです。処分が有効になった日、処分日が違います、では過去に、今回の張學錬弁護士のように同日に2件の処分を受けた弁護士がいるでしょうか

 

同日に2件の処分を受けた弁護士はいるか
1人いますやはり、懲戒処分8回の宮本孝一弁護士(第一東京)だけです
 
第一東京弁護士会 宮本孝一弁護士
業務停止3月   処分された日  2011103
戒 告      処分された日  2011103
 
 
宮本孝一弁護士は2011年10月3日に2件の処分を受けました。
また【自由と正義】を編集する日弁連広報課まで、宮本孝一弁護士に特別に配慮しました、同じ日に処分された場合は同じ月の自由と正義に掲載するものをわざとずらしています。
 
業務停止3月  2011103日  自由と正義 201112月号
戒 告     2011103日  自由と正義 20121月号
 
ここまで目立たぬようやっていただけるのです。
過去、日弁連広報誌「自由と正義」に処分の要旨が2件ならんで掲載されたケースはありません。これだけは避けたかったのでしょう。
 
複数の懲戒請求者から懲戒請求があった場合、普段は以下のように掲載します
 
懲戒処分の公告  (東京弁護士会)
1 懲戒を受けた弁護士氏名  菅谷公彦 登録番号 25567 弁護士法人菅谷法律事務所 2 処分の内容     除 名   
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は20139懲戒請求者Aから自己破産申立事件を受任し、着手金等合計287500円の支払を受けたが、2016224日までに懲戒請求者Aが上記事件の委任契約を解除するまで、上記事件に着手しなかった。被懲戒者は上記契約を解除された後、懲戒請求者Aから上記契約に基づき受領していた費用全額の速やかな返金を催促されたにもかかわらず、同年720日まで返金しなかった。
(2)被懲戒者は預り金口座から合計23824036円を引出して自己を相手方とする紛議調停事件の和解金支払のため私的に流用し、受任事件の相手方から上記口座へ入金された1500万円について依頼者に対し清算又は引渡しをしないまま上記口座の残高を43918円まで減少させ、20146月から20163月までの間、上記口座から被懲戒者の法律事務所経費等を支出し私的に流用し続けた。
(3)被懲戒者は、懲戒請求者Bが夫Cに対して申し立てた婚姻費用分担審判事件について20151030日になされた審判に基づき、懲戒請求者Bの代理人としてのCの預金口座に対する債権執行を行って332万円8698円を回収し、201637日懲戒請求者Bに対し上記回収金から弁護士費用を控除した2848046円を返金することを連絡したが、20175月まで支払を完了しなかった。
(4)被懲戒者は懲戒請求者Dから交通事故に関する事件を受任し20151218日懲戒請求者Dの代理人として、上記交通事故の加害者が加入する損害保険会社から示談金1700万円の支払を受け、201629日懲戒請求者Dに対し上記示談金から報酬金及び実費を控除した15399748円を返金することなどを連絡したが、支払を完了しなかった。
(5)被懲戒者の上記(1)の行為は所属弁護士会の預り金等の取扱いに関する会規第2条第2項並びに弁護士職務基本規程第35条、第36条及び第45条に上記(2)の行為は同会規第2条第1項及び第2項、第4条第1項並びに第7条並びに同規程第45条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分が効力を生じた年月日    2017712
   2017101日 日本弁護士連合会

今回、東京弁護士会は別々に処分をした理由を「は併合すべきでない事案」という発表ですが、
 
上記処分要旨では懲戒請求者A、懲戒請求者B、と分け、処分理由を(1)(2)という形で分けて掲載しています。懲戒請求者Aは自己破産 懲戒請求者Bは離婚調停、懲戒請求者Dは交通事故です。過去、東弁は別々の事案でも併合をしています。普段はやっているのです。
 
別々に処分をすれば、処分は軽くなります、合算で処分すれば厳しい処分がでるのは当然です。
 
どういう意味があるのでしょうか、この弁護士にだけ厳しい処分をできない理由がどこかにあるのでしょうか?わざわざ、処分された件数を1件増やしてまで庇う弁護士でもないと思いますが・・・・・
 
日弁連広報課は過去に1度もなかった「自由と正義」に2件並べて同じ弁護士の処分要旨を掲載するでしょうか、自由と正義4月号を楽しみに待っていましょう。並べて掲載しないと意味ないですよ
 
鎌倉九郎さんのブログ
文中の第一東京弁護士会 宮本孝一弁護士は弁護士登録を抹消しています。