7月22日(水)東京地裁 706号号法廷 午前10時 第1回目
東京地裁民事40部令和2年(ワ)第4481号 著作人格権等侵害行為差止等請求事件
原告 高野隆弁護士に懲戒請求をした一般人
被告 高野 隆 弁護士(第二東京弁護士会)
日産のゴーン氏が海外に逃亡した事件で、ゴーン氏の弁護人でもある高野隆弁護士(第二東京)と他1名(東京)の弁護士に対し、弁護人として逃亡の責任があるのではないかという趣旨の懲戒請求が所属弁護士会に申立てられた。すると被調査人である高野隆弁護士は第二東京弁護士会綱紀委員会に弁明書を提出する前に自身が管理するライブドアブログに、①懲戒請求がなされた事、②懲戒請求書全文、③懲戒請求者の実名、住所を断りもなくネット上に晒した。
そもそも懲戒の審議は非公開であることが原則で懲戒請求者の個人情報を出す必要もない。また懲戒請求書は個人の著作物でもあるので被告に公開する権利が無い。SNSやネットで非行であるかないかのやりとりするなら綱紀委員会は不要である。(原告はSNSをせず)
被告には刑事弁護を得意とする6人の代理人が就任しています。
趙誠峰弁護士 38879 第二東京 早稲田リーガルコモンズ法律事務所
宮村啓太弁護士 29871 第二東京 あさひ法律事務所
井桁大介弁護士 38895 第二東京 井桁法律事務所
水橋孝徳弁護士 40245 第二東京 早稲田リーガルコモンズ法律事務所
小松圭介弁護士 41348 第二東京 高野隆法律事務所
坂根真也弁護士 31744 東京 東京デフェンダー法律事務所
7月22日第1回目の期日で原告、被告の意見陳述がありました。 当会会員が傍聴し陳述を聞き書きとってきましたが、全て書きとることはできませんでした。ご了承願います
著作権、人格侵害行為について私(原告)の承諾なしに自身のブログで紹介されました。その中には私のフルネーム、住所の一部が公開されておりました。近年、誤った正義感から氏名、住所がさらされた人が誹謗中傷を受けた事件や犯罪被害に巻き込まれたケースが多発しています。被告である高野弁護士は刑事弁護で有名で彼の信奉者もたくさんいます。現に本件の訴訟だけで6名の代理人弁護士が選任されています。
被告が所有しているライブドアブログへ私の氏名、住所を削除するよう請求しましたが、被告である高野弁護士が拒否しているため以前として私の個人情報が晒されている状態が継続しています。
高野弁護士は本件の懲戒請求をされたことにより名誉が侵害されたと主張するのであれば、当方の氏名はもちろん住所の一部を晒す必要はなくあきらかに私に対する嫌がらせであり報復する行為です。又、懲戒請求書は当方の著作物であり、これら文面全文をブログで晒す行為はこれも個人情報を晒す行為でもあります。著作権違反です。また近年デジタルタトーなどという言葉も流行っておりネットから完全に削除するのは大変難しい状況である昨今、原告である私は日々不安と恐怖と闘っています。
個人情報が晒されたことにより10件ほどの電話により当方を心配する声や私の古い知人から私を揶揄する連絡もありとても苦痛と不安が襲ってきました。現在も苦痛は変わりません。
私の名前でインターネットを検索すると本件ブログの検索ヒット数が多数該当しプライバシーが侵害されています。そして法曹界、及び刑事弁護の世界で著名な高野弁護士の様々な支持者、信奉者が相当数存在しており、いつ何時原告である私に対し何らかの危害を加えることも考えられるので早急に、私の個人情報の削除と損害を補償していただきたいと思います。
余談ですが被告である高野弁護士は、犯罪の嫌疑のある人が逮捕された場合マスコミなどが氏名等を公表するのに反対の立場です。
また被告である高野弁護士が所属する第二東京弁護士会の森氏という人物に対して当方の個人情報が晒されている事を告知しており第二東京弁護士会の方からの削除するように要請を高野氏にしました。しかし高野弁護士はライブドアブログのからの削除依頼請求、及び第二東京弁護士会からの削除要請を一方的に拒否しあえて意図的に個人情報を流布している状況が継続しています。
このように高野弁護士は意図的な意思により個人情報を晒し続けているものであり、不容易に誤ってさらしたのではなく意図的な確信犯的な行動であると考えられます。
(ネットでの被害をこの後詳細に述べる。検索数等、書き取れず)
ネット上で個人情報を拡散されるという状況は懲戒請求時点において想定していませんでした。高野氏のように気にいらない人間の情報は晒していいとするならば懲戒請求制度の〇▼〇?であり、弁護士の非行を善良な市民が監視することはもちろん、正当な権利行使が確保できず、弁護士自治制度の崩壊を招くことになるため、このような個人情報晒しは許されて良い訳がありません。5チャンネルにおいて〇△□??私の個人情報は2月7日の高野ブログから継続しています。これらは高野氏のブログから引用してきたものであり個人情報が拡散されて二次被害が発生しております、
高野氏側は名誉の回復と懲戒請求の反論のためブログを書いたと主張していますが名誉回復目的であればわざわざ実名をわざわざブログの冒頭でフルネームで、書く必要はまったくありません。個人情報を晒すことを目的とした非常に悪意のある行動です。このような高野氏による個人情報晒しによって私は常に戦々恐々としています。現在、高野氏のブログによって氏名住所の一部が晒されていることにとても困っています。
以上になります。
裁判長、それから両陪席裁判官、裁判の開始に当たって被告である私の口頭陳述の機会を与えていただいたことに感謝いたします。
私はおよそ40年間刑事弁護に携わってきました。刑事弁護士という職業は憲法で存在が保証された職業で警察や検察官から国家から犯罪者ということで訴追を受けている個人に対して資格のある弁護人が援助をしその権利をひとりひとりに保障することはこの国の基本的な行政であり、これは文明国の〇△?のひとつでもあります。その性質上、刑事弁護というものは個人に対して、その生命や自由や財産を守るために警察や検察官、そして時には裁判官とも対立しなければならない〇△?さらにこう、世の中全体、社会から個人を守るために社会全体と対決しなければならないからそうした事件もあります。
こうした状況の中で歴史を紐解きますと弁護人自身も犯罪者と同一視してあるいは犯罪者と共犯者の一部と同視して社会が〇△□〇政府が弁護士活動に対して攻撃をするという事例が繰り返し行われています。
そのもっとも悲惨な例を挙げるとルイ16世の弁護をしたマルセルブ卿でマルセルブ卿はルイ王朝の時代、ブルボン朝末期の司法官僚でした。彼はルイ15世それからルイ16世にも仕えます。彼は国務大臣ですけれども自由主義者です。ルソーとかベイルー、アランベルブ?とかいわゆる啓蒙思想家と親交があって彼らの著作の出版に尽力したりしています。時には王権と対立して何度も辞職したりしています。
革命政府によってルイ16世が逮捕されて裁判を受けるのですが誰も国王の弁護をする人がいませんでした。マルゼルフは弁護人をかってでます。裁判の結果、ルイ16世はご承知のようにギロチンで処刑されます。しかし処刑されたのは国王だけではありません。ジャコバン政権によって彼の王妃マリーアントワネットもギロチンにかかります。弁護人であるマルゼルフは本人もギロチンに掛けられます。彼だけではなく彼の妻、娘、そして娘婿、さらに孫まで裁判を受けずに処刑されてしまいます。
これはひとつの極端な例かもしれません。しかし刑事弁護人が犯罪者と同一視されて社会から攻撃を受ける政府から攻撃を受けるという例は繰り返されています。私自身も何度かその体験があります。
1995年に地下鉄サリン事件が起こった時に私の事務所の電話はなりっぱなしになりました。そしてわたしに具体的な攻撃をするという脅迫状とかたくさん寄せられました。検察庁の幹部は私どもの弁護活動は捜査妨害である、あるいは違法な行為であると記者会見でも発表しました。
また別の事件では私や検察官側の証拠の同一性を争うために、それとそっくりな証拠品をだし、反対尋問をしたことがあります。それに対して検察庁は私に対して懲戒請求をしました。
今回〇〇氏(実名)が行った懲戒請求はこうした弁護活動に対する攻撃の一環であると私は考えています。
昨年、私はカルロス・ゴーン氏の弁護をしていました。昨年の暮れ彼は保釈の要件に反してこの国を密出国してレバノンに逃亡しました。世間は彼に対してこれは日本の刑事司法に対する恥辱的な行為、裏切りである。彼は犯罪者である極悪人であるという論調が確認されます。しかし私はその論調は間違っていると思います。
そこで私はブログの中で彼がいかに保釈条件を守ろうと努力していたのか、しかし妻とも会えない状況が長引くにつれて、彼は非常に憔悴していった。そして検察官側の意向によって公判前請求?繰り返ししていって裁判がおこるか行われるか分からない状況で、何度も私に対して、私は日本で公正な裁判を受けられるのだろうか、そういう事情を私はブログに書きました、
そうする必要がある。それによってこの国の刑事司法の現状を伝えること、世間に伝えること、そして私の依頼人であった人の事実を伝えることは必要な事だと、私は思っています。
これに対して〇〇氏(実名)は懲戒請求をしてきて、私のやった行為は犯罪を容認する行為である。そして弁護士としての品位を辱める行為であるとそう主張されました。
それに対して私は反論の必要があると思いました。もっとも公平公正な反論の仕方は彼が弁護士会に提出した懲戒請求書をそのまま明らかにして、それに対して私の反論である弁明の内容を明らかにすることだと考えました。これがもっとも公正かつ妥当な反論の仕方だと思います。
刑事弁護に対する攻撃、弁護人を犯罪者と同一視するというような攻撃に対して弁護士は反論すべきだ。それは弁護士の個人の名誉や信用を守るそういう意味もありますがそれだけではありません。この国の最も基本的な制度である刑事弁護の存在の意義を世間に知らせる必要があるからです。それを我々が手をこまねいてはいけません。そんなことをしていたら刑事弁護は委縮してしまいます。それはこの国の基本的な制度にあります。
この裁判の文脈によると〇〇さん(実名)と私は平等に扱われる必要があります。彼が市民であるのと同様に私も市民です。私は権力者ではありません。彼が私の実名を晒してマスコミに懲戒請求書を渡してそして私は彼の主張とおり彼の実名を
許されるのであるならば私も彼の実名を掲げて正々堂々と反論するそういう権利が保証されるべきである。私たち二人は法の前で平等に取り扱っていただけなければなりません。
私の祖父、はよく私によくこういっていました。七夕の時。陰にまわってひとの悪口を言ってはいけない。人を批判する時は正々堂々と本人の前ですべきだとこういいました。
私は、これは人間としてのもっとも基本的なモラルだと思います。
それで国がそして社会が存立する基盤だと思います。匿名の影に隠れて人を批判する。相手だけは実名で批判する。そのことが横行することが社会は決して健全な社会ではない。
最後にマルゼルフ卿は晩年に出版自由の本を出しています。その中で彼はこういっています。人類の発展のためにそして審理を発展するためには、今国民の間に自由な討論がなされなければならない。国民の自由な討論を保証するためには出版の自由が保証されなければならない。民衆はバスチーフ国を襲撃した年の一年前、彼がギロチンに掛けられる前の6年前のことでした。
ありがとうございました。
クレティアン=ギヨーム・ド・ラモワニョン・ド・マルゼルブ
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