弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。

弁護士に非行の疑いがあれば弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求を申立することができます。当事者でなくとも法律に詳しくなくとも誰でも可能です。懲戒請求者に何の制限はありません。毎年弁護士会に申立てられる件数は2700件前後だと思います(大量懲戒でここ2~3年正確なデータが取れません)

約4万3000人の弁護士におおよそ2800件前後の申立てがあり、所属弁護士会から処分されるのは約100件程度です。 

懲戒請求者は所属弁護士会が『処分しない』のは不当と思えば「異議申立」をすることができます。(日弁連綱紀委員会で再審査されます。)

被懲戒者(処分された弁護士)は『処分は不当』であれば「審査請求」をすることができます。(日弁連懲戒委員会で再審査されます。)

年間約100件の処分があり、ほぼ100人の弁護士が審査請求をします。審査請求を行って『処分取消し』『処分変更』になるのは年間に2件か3件です。『審査請求』が認められれば官報に公告として掲載され日弁連広報誌「自由と正義」に取消し理由が公告として掲載されます。

審査請求が棄却となった場合にも官報に「採決の公告(棄却)」が掲載され、「自由と正義」にも掲載されます。弁護士はこの後、採決の取り消しを求めて東京高裁に訴訟提起ができます。

 最近大阪の弁護士がSNSで依頼者を侮蔑する投稿をし大阪弁護士会から戒告処分を受けました。処分されたことが不当であると被懲戒弁護士はネット上で審査請求を行う、代理人を求める。カンパを集めるというツイートを見ましたが『審査請求』にお金は不要です、書面を必要枚数提出するだけです、本来代理人も不要です。代理人にカンパで金儲けさせるつもりでしょうか?

『処分取消』は一番ハードルが高い内容で年間1件あるかないか。業務停止3月が2月にという処分変更はたまにあります。ただし業務停止の期間が過ぎてからですから何ら得るものはありません。新聞報道もしません。当会だけが変更理由を記事にするくらいです。俺は業務停止が3月から2月に減ったんだと自慢しても何が違うの?と言われるだけです。1か月業務停止の期間が減ったのだからその期間で稼げた報酬を弁償しろと訴えた弁護士は今のところいません。

審査請求の理由は2つしかありません。① 処分は不当だ、徹底抗戦タイプ ② もうしません土下座タイプ、

(自由と正義 審査請求棄却例文)

  採決の広告(棄却) 

〇〇弁護士会が〇〇年〇月〇日に告知した同会所属弁護士〇〇会員(登録番号〇〇〇〇)に対する懲戒処分(戒告)について同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり本会は〇〇年〇月〇日、弁護士法第59条の規定により、懲戒委員会の議決に基づいて、本件審査請求を棄却する旨採決し、この採決は〇〇年〇月〇日に効力を生じたので、懲戒処分の公告及び公表に関する規程第3条第2号の規定により公告する。

〇〇年〇月1日 日本弁護士連合会

弁護士氏名   所 属    処 分   処 分 日    棄 却 日   効力が生じた日

秋田一惠   東京       戒告  2019年11月21日  2021年3月9日  21年3月12日  

秀平吉朗   大阪       戒告  2020年3月30日   21年3月9日   21年3月12日

能登豊和   第一東京     戒告  20年2月28日    21年2月9日    21年2月17日 

青木一雄   京都       戒告  20年1月14日    21年2月9日    21年2月17日 

杉山央    札幌    業務停止3月 20年5月25日    21年2月9日    21年2月17日  

吉澤雅子   東京    業務停止3月 20年4月20日    21年1月19日   21年1月22日 

丸山隆   第二東京   戒告     20年2月3日    21年1月19日   21年1月22日  

中谷誼   埼玉     戒告     19年9月19日   21年1月19日    21年1月22日 

佐藤光則  第二東京   戒告     20年4月1日    20年12月15日    20年12月18日 

安富真人  神奈川    戒告     19年10月2日   20年12月15日    20年12月18日 

野武興一  茨城   退会命令     19年6月18日   20年9月15日     20年10月7日 

守永真智子 東京    戒告     19年11月21日    20年10月13日     20年10月5日  

南 栄一  第二東京  戒告     19年11月20日   20年10月13日     20年10月15日  

大井琢   沖縄    戒告     19年11月20日  20年10月13日    20年10月16日 

中津晴弘  東京    業務停止1月  19年7月18日  20年8月18日     20年8月24日  

佐藤徳典  埼玉    戒告     19年7月31日   20年8月18日      20年8月24日 

若林祐   千葉    戒告     19年9月27日   20年8月18日      20年8月24日 

加藤善大  埼玉    業務停止2月  19年5月9日   20年9月15日      20年9月23日

以上はほんの一例です。

弁護士が処分を受けて不当であると日弁連に審査請求を申立てし、棄却されるまでおおよそ1年~1年半を要します。

棄却日を見てみましょう。2021年2月9日に日弁連懲戒委員会が開かれ3件の審査請求を棄却しています。また、2021年1月19日にも3件の審査請求を棄却しています。21年3月9日は第2火曜日です、20年12月15日第3火曜日、日弁連懲戒委員会は月に1回第2か第3火曜日しか開かれません、

1日3件から4件棄却しても1年で50件程度しか捌けません。審査請求の棄却は1年から1年半はかかるということになります、

 

「書庫」審査請求と異議申立、処分取消と処分変更例 2023年12月更新

日弁連懲戒委員名簿 2021年3月