弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」に公告として掲載される弁護士懲戒処分の要旨、処分の理由の中に「控訴期限徒過」「上告期限徒過」があります。事件放置ともいえますが、これは一審判決が不当であると依頼者から控訴を依頼されて忘れた?という処分理由、処分はほとんどが「戒告」です。
特に大阪弁護士会が多いのが特徴
控訴をしなかった理由は
①GWや正月休みで控訴状の提出期限が間に合わなかった。
②依頼者と報酬などでもめてわざと出さない。
③戦法として(死刑求刑の裁判)
④やってもムダだから
書庫は書きかけです。新たな処分が出れば更新します。
上告忘れられ服役、弁護士に賠償命令 大阪地裁 産経2020年1月25日
覚せい剤取締法違反罪で有罪となった男性が、弁護人が上告手続きを怠ったため服役を余儀なくされたとして、大阪弁護士会所属の男性弁護士に500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は24日、40万円の支払いを命じた。石上興一裁判官は「弁護人が上告を失念したとみられる」と指摘した。 判決によると、男性は覚醒剤を持っていたとして2014年に起訴された。無罪を主張したが、大阪地裁は15年に懲役3年の判決を言い渡し、大阪高裁も16年に控訴を棄却した。男性は弁護人に最高裁への上告を依頼したが、期限までに申立書が提出されず、実刑が確定。刑務所に服役し、既に出所した。 判決は「上告は被告に保障された権利で、男性の苦痛は軽視できない」と指摘。弁護士側は「条件だった報酬の支払いがなかったため上告しなかった」などと主張していたが、手続きを忘れていたと結論づけた。 この弁護士の事務所は「コメントはしない」としている。産経https://www.msn.com/ja-
被懲戒者は、懲戒請求者の刑事弁護人であったところ、懲戒請求者についての控訴棄却判決のあった2016年6月16日、懲戒請求者との間で上告申立ての委任契約が成立し、また、被懲戒者において上告申立を行う責務が発生していたにもかかわらず、上告期限までに上告申立を提出しなかった。処分が効力を生じた日 2020年11月10日 2021年3月1日 日本弁護士連合会
被懲戒者は、懲戒請求者から依頼を受け、訴訟代理人となっている事件において上告兼上告受理申立書を提出したが、上告理由書及び上告受理申立理由書の提出期限である2020年2月18日を徒過し、同月21日、上告及び上告申立てが却下された。4処分が効力を生じた日 2022年12月23日 2023年4月1日 日本弁護士連合会
(1)被懲戒者は、懲戒請求者株式会社Aが2014年8月11日にBから提起された訴訟事件及び2015年7月14日にCから提起された訴訟事件につき、被懲戒者が代表社員である弁護士法人Dが懲戒請求者A社と委任契約を締結しており、被懲戒者自身も懲戒請求者A社から訴訟代理権を授与されていたところ、懲戒請求者A社に対し、上記各事件についての判決の言渡しがあったことを報告せず、控訴期間についても具体的な説明を行わず、その結果、懲戒請求者A社は控訴する機会を逸した。
(2)被懲戒者は、2014年9月24日に懲戒請求者A社の代表者であるEがCから提起された訴訟事件及び懲戒請求者A社がCから提起された上記(1)の訴訟事件につき、弁護士法人Dが受任するに当たり、委任契約書を作成しなかった。4処分が効力を生じた日 2022年3月22日 2022年9月1日 日本弁護士連合会
被懲戒者は、懲戒請求者から損害賠償請求訴訟の上告審に関し受任し、2018年9月6日付けで上告理由書案を懲戒請求者にFAX送信したものの、提出期限である同月27日までに上告理由書を裁判所に提出せず、期限経過後の同年10月2日にこれを提出し、その結果、上告却下決定がなされた。処分が効力を生じた日 2020年3月3日 2020年8月1日 日本弁護士連合会
被懲戒者は受任していた第1審訴訟事件について2009年3月19日に一部敗訴の判決正本を受領していたのに判決到達日を同23日と誤信し控訴期間満了後である同年4月6日に控訴を提起した。 2010年11月12日 2011年2月1日 日本弁護士連合会
(1)審査請求人はAとともに、被告人Bに係る殺人等被告事件控訴審の私選弁護人であった(主任弁護人はA)が控訴趣意書を提出期限までに提出しなかったため控訴棄却がなされ結果として控訴審における被告人の実質審理を受ける機会を失わせ被告人に係る第1審の死刑判決が確定することとなったから原弁護士会は審査請求人を業務停止1月の処分にした
(2)審査請求人及びA(2名を合わせて「審査請求人ら」という)被告人の利益を最大限に図るためにあえて控訴趣意書の不提出を選択したものであり単に控訴期限を失念した場合と同列に扱えず弁護活動の適否の問題とはなっても品位の問題とはなり得ないと主張するしかし審査請求人らの上記選択は被告人の利益を図る目的のためといえ控訴趣意書の差出期間を長期にわたって徒過したと判断せざるを得ず、その結果死刑という重大な判決を確定させてしまい、被告人の控訴審における裁判を受ける権利を失わさせたものと評価せざるを得ないまた弁護士職務基本規定第46条には弁護士が「最善の弁護活動に努める」旨が規定されているところ「最善の」弁護活動とは「主観的に最善」と判断するもではなく、他の弁護士からみても「客観的に最善」と認められるものと解され、本件の控訴趣意書不提出が死刑判決確定という重大な結果を招いたことから判断すると「主観的最善」に著しく偏したものと言わざるを得ない
(3)もっとも審査請求人らの弁護活動を全体に見ると刑事弁護人として主観的には「真摯な活動」をしていたものであることは理解できるからその点を斟酌することができる
(4)主任弁護士はAとなっているが、本件刑事弁護人としての役割、仕事の分担及び活動について審査請求人とAとの間に軽重の差はないことが認定でき上記(2)及び(3)を踏まえ審査請求人に対する懲戒処分としてはAと同じく戒告とする。3 採決が効力を生じた年月日2010年3月17日 2010年5月1日 日本弁護士連合会
大阪弁護士会が2022年11月24日付けでなした 被懲戒者を懲戒しない旨の決定について、懲戒 請求者から異議の申出があった。 本会は、上記決定を取り消して、以下のとおり懲戒の処分をしたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する 規程第3条第6号の規定により公告する。
1 処分を受けた弁護士 氏名 青山友和 登録番号 37598 2 処分の内容 戒告
3 処分の理由の要旨
(1)原弁護士会懲戒委員会は、本件につき、、 第1に被懲戒者が異議申出人から訴訟を依頼された際に委任契約書を作成しなかった ことが弁護士職務基本規程第30条第1項に第2に同事件が一審で敗訴となり異議申出人から控訴を依頼されたのに、控訴期間を1日経過した後に控訴状を提出したた め控訴が却下されたことが同規程第35条に違反すると判断したが、異議申出人から被懲戒者に対して提起された損害賠償請求訴訟において和解が成立し和解金が支払われたことにより一切の紛争が解決されたと認められ、被懲戒者が反省していること等を斟酌すれば非行の程度が 「懲戒処分が相当な程度にまで至っているとは認められない」 として懲戒しないことを相当とする議 決をした。
(2)しかし、第1はともかく、第2の上訴期間 を過することは依頼人の裁判を受ける権 利を侵害するもので弁護士として重大な業 務の懈怠である上に、 上訴期間の把握と上 訴の手続は弁護士にとって容易に処理でき る初歩的な業務であるから、これを懈怠す れば原則として懲戒処分を相当とする非行 に当たることは、 同種事件の先例に照らしてもあきらかである
(3) ただし、上訴について依頼者の意思が明白でなかったなど上訴手続上に被懲戒者の責めに帰さない事由があった場合は、懲戒するまでの非行に当たらないと解される余地があるが、当委員会における被懲戒者の審尋結果からしても、当該事由を認めることはできない。また、事後に和解が成立し、異議申出人も被懲戒者を宥恕し懲戒請求の意思を放棄したなどの事由が認められる場合には、情状を考慮して 「懲戒処分が相当な程度にまで至っているとは認められ ない」と解釈する余地はあるとしても、異議申出人が現在も異議の申出をしてなお懲戒処分を求めており、和解金を支払っただけでは、 非行が治癒され懲戒処分を要しない程度に至ったと解するのは相当ではない。 (4) 以上のとおり、本件異議の申出は理由があるから、被懲戒者を懲戒しないとした原弁護士会の決定を取り消し、 被懲戒者を戒告とすることが相当である。4 処分が効力を生じた年月日 2023年10月27日 2023年12月1日 日本弁護士連合会