条解弁護士法第5版
(登録換等の請求の制限) 第62条 懲戒の手続に付された弁護士は,その手続が結了するまで登録換又 は登録取消の請求をすることができない。 2 懲戒の手続に付された弁護士法人は,その手続が結了するまで,法律事務 所の移転又は廃止により, 所属弁護士会の地域内に法律事 務所を有しないこ ととなつても,これを退会しないものとする。 3 懲戒の手続に付された弁護士法人は,その手続が結了するまで, 第36条の 2第4項の規定により所属弁護士会を変更することができない。 4 懲戒の手続に付された弁護士法人が, 主たる法律事務所を所属弁護士会の地域外に移転したときは,この章の規定の適用については,その手続が結了するまで,旧所在地にも主たる法律事務所があるものとみなす。 5 懲戒の手続に付された弁護士法人は、清算が結了した後においても,この とみなす。 章の規定の適用については, 懲戒の手続が結了するまで, なお存続するもの とみなす
【1】 本条の趣旨
本条は, 懲戒の手続に付された弁護士につき, その手続が結了するまで登録換え 又は登録取消しの請求を禁止することにより、 弁護士の懲戒逃れを防止し,もって懲戒制度の実効性を確保する規定である。
懲戒手続は,第1次的には弁護士会が行うから, 懲戒処分がなされるためには, 弁護士がその弁護士会に所属していることが必要である。 懲戒手続に付された弁護 士が,他の弁護士会に登録換えしたり,又は登録を取り消してその弁護士会の所属でなくなれば,懲戒手続を続行して懲戒処分を行うことができなくなる。 しかし、 このようなことを認めれば, 懲戒制度はその存在意義がなくなるので, 本条は, 弁 したものである。 護士が懲戒手続に付された場合には, 登録換え又は登録取消しの請求ができないとしたものである。
(中略)
【4】登録換え・登録取消の請求の禁止
本条第1項の「登録換え又は登録取消の請求をすることができない」とは、弁護士の登録換え・登録取消の請求を認めないということである。従って、本条に違反する登録換えの請求は、不適法であるから、当該請求を受けた弁護士会は、この登録換えの請求を拒絶することができるし、弁護士会においてこれを看過して進達をした場合には、日弁連は当該請求を拒絶することができるものと解する、法に、このような場合の規定は存在しないが、本条が、このような請求を禁止している以上、法12条、法15条から考えて、当然、弁護士会ないし日弁連に拒絶権があるものと解されるからである。また本条に違反する登録取消しの請求は不適法であるから当然請求を受けた弁護士会及び日弁連は、当然請求を受け付けることはできない。
以上 条解弁護士法第5版 525頁
上記の法の規定はありますが、書いてあるだけで懲戒が結了になっていなくとも登録取消はできます。
実際にいくつも行われています。成年後見人横領事件など弁護士会にとって大きな不祥事といわれる場合、懲戒があろうとなかろうと(請求)自己都合として弁護士をやめることはできます。弁護士会としても現役弁護士として登録して欲しくないでしょう。横領事件で報道された時、元弁護士として公表したいためです。弁護士法など自由に解釈できるのが「弁護士自治」です。
登録換えは懲戒が結了していない場合できません。登録換えの必要書類に懲戒の結了書が必要だからです。この場合も一旦弁護士登録を取消して、しばらくして他の弁護士会に登録すれば受けてもらえます。ただし懲戒請求者に見つかれば懲戒が再度申立てされます。何処に逃げても登録番号は変わりません。再登録しても前の番号です、
逃げたけれど見つかった例
日弁連と元会長が組んだ懲戒逃げ、大成功
【綱紀審査会】却下の議決書・懲戒の審査中に登録抹消・ほとぼりが冷めて日弁連元会長の事務所に登録・懲戒逃げ完成・
元役員は弁護士会が上手に逃がしてくれます
流用認めた内川寛弁護士退会=熊本2月7日読売 懲戒逃げを完成させた熊本弁護士会
逃がした京都弁護士会
成年後見人横領弁護士を逃がした京都弁護士会、登録換先は島根県弁護士会と判明、懲戒逃げ工作成功