弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2024年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第二東京弁護士会・松本昭幸弁護士の懲戒処分の要旨

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処分理由・相続事件の不適切な事件処理

ベテランの弁護士で過去に処分歴が無く1回目の処分で業務停止が付いたのは珍しい

相続事件で多い処分「俺に全部任せとけ!」上手く処理できなければ処分になる

懲 戒 処 分 の 公 告

第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 松本昭幸 

登録番号 13688

事務所 東京都台東区東上野4-4-9-1311 朝日上野マンション

松本法律特許法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止1月

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、懲戒請求者及びAから同人らの弟である被相続人の遺産に関する預貯金の払戻手続、遺産分割協議の成立及び協議書の作成、不動産の管理並びに相続税の申告手続等の業務を内容とする委任契約を締結するに当たり、利害の対立が顕在化した場合における辞任の可能性その他の不利益を及ぼすおそれがあることを説明しなかった。

(2)被懲戒者は、上記(1)の事件につき、2016年5月26日付け書面にて委任契約が懲戒請求者から解除されたにもかかわらず、同年7月懲戒請求者の代理人として、相続税申告及び遺産である不動産の一部について賃貸借契約更新に関する手続を行った。

(3)被懲戒者は、上記(1)の事件につき遅くとも2016年10月7日、懲戒請求者が遺産である不動産の遺産分割を未了としてAを相手方として遺産分割調停の申立てを行う意向を被懲戒者に伝えた時には、相続人間の利害の対立が顕在化していたにもかかわらず、その後も依頼者の依頼者の一人であるAの代理人としてとどまり、元依頼者である懲戒請求者を相手方として遺産分割に関する交渉及び訴訟行為等を続けた。

(4)被懲戒者は上記(1)の事件につき、委任契約を解除され、懲戒請求者から依頼された職務のうち、相続税の申告については無権代理行為として行ったに過ぎず、不動産の登記手続を完了しているとも言えないにもかかわらず、懲戒請求者に対し報酬金として上記(1)の委任契約につき締結した報酬契約書の趣旨に基づく計算による満額である税込540万円の報酬を提示した。

(5)被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第32条に、上記(2)の行為は同規程第5条に、上記(3)の行為は弁護士法第25条に上記(4)の行為は同規程第24条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2024年3月27日 2024年9月1日 日本弁護士連合会

「双方代理」弁護士懲戒処分例 2024年10月更新 

相続事件に関する弁護士懲戒処分例(4)2024年10月更新