関係者によると、登記が書き換えられた不動産は、本来の所有者の知らないところで売買が持ち掛けられていた。府警は、登記の書き換えは、本来の不動産所有者になりすます手口の一環で、両容疑者が「地面師」グループのメンバーとみて実態解明を進めている。
府警は昨年6月、大阪・ミナミで不動産取引を装って現金計約14億5千万円をだましとったとして、詐欺容疑などで福田裕被告(53)=1審懲役10年、控訴=らを逮捕したと発表した。今回逮捕されたのは、この地面師グループとは別のグループとみられ、地価の高騰が続く大阪を舞台に複数の地面師グループが活動していた可能性がある。
捜査関係者によると、2人は共謀し、昨年1月、大阪市北区の不動産の登記情報を、小鹿容疑者が代表を務める会社に所有権が移転したとする虚偽の内容に不正に書き換えた疑いなどが持たれている。
関係者によると、松本容疑者が司法書士の資格を悪用して、取引の際に必要な個人情報や書類などをそろえていたとみられる。昨年2月、松本容疑者が関わる不審な不動産取引に気付いた男性が府警に相談。府警が捜査を進める中で今回の事件への関与が浮上したという。1月14日産経https://www.sankei.com/article/20260114-Y2OA3KE2AZLJDLE5HBLRIVRXTM/
日司連懲戒処分の公表及び開示に関する規則に基づき、 懲戒処分事例について次のとおり公表する。
懲戒処分書
事務所 大阪市中央区南船場一丁目11-9 長堀八千代ビル8階 (阪神法務事務所)
司法書士 松本 稜平
上記の者に対し、次のとおり処分する。
主 文
令和7年8月8日から4か月の業務の停止に処する。
理 由
第1 事案の概要
本件は、 司法書士松本稜平 (以下「被処分者」という。) が、亡A (以下「被相続人」という。) の法定相続人の一人であるBから、 被相続人を所有権の登記名義人とする○県○市○丁目○番○ に所在する土地及び同土地上にある建物の相続登記 (以下「本件登記」という。)の代理申請業 務(以下「本件業務」という。)の依頼を受けたが、 1年を経過しても、本件登記の代理申請をしない上、Bから前払費用として受領した13万1400円を返還しないなどとして、 大阪司法書士会から、司法書士法第60条に基づく報告がされた事案である。
第2 認定事実
以下の事実が、 大阪司法書士会の調査報告書、 大阪法務局の調査結果及び被処分者の供述その他の一件記録から認められる。
1 被処分者は、平成29年11月1日、 司法書士となる資格を取得し、 平成30年5月23日付け登録番号大阪第○号をもって司法書士の登録を受け、同日、大阪司法書士会に入会し、司法書士の業務に従事している者であり、これまでに懲戒処分歴はない。
2 被処分者は、 令和4年5月○日、被相続人の法定相続人の一人であるBから、 本件業務の 依頼を受けた。
Bは、同日、 被処分者に対し、本件業務の前払報酬等として13万1400円を支払った。
3 被処分者は、同日以降、本件登記の申請の添付情報として必要となる戸籍謄本等を収集し たり、被相続人の法定相続人に遺産分割協議書の作成を依頼したりした。
同年9月○日、 本件登記の申請に必要な添付情報がそろった。
4 しかし、被処分者は、 その後、 Bからの連絡に応答しなかったり、Bに対して本件登記の申請をしている旨の虚偽の説明をしたりし、本件登記の申請をしないまま放置した。
5 Bは、やむを得ず、令和5年4月初め頃、他の司法書士に対して、本件登記の代理申請業務を依頼し、同月〇日、本件登記の申請がされた。
6 Bは、令和5年5月〇日、被処分者に対し、 上記2の前払報酬等の返還を請求したところ、 被処分者は、本件についての聴聞通知をされた令和7年4月〇日の時点においても、当該前払報酬等を返還していない
第3
7 (1) 上記2から5までのとおり、被処分者は、遅くとも、本件登記に必要な添付情報がそろってから相当期間が経過した令和4年9月○日までには、本件登記の申請をすること ができたにもかかわらず、これを放置し、同日からBが他の司法書士に本件登記の代理申請業務を依頼した令和5年4月初め頃までの約6か月間、正当な事由なく、本件業務を放置した。
(2)上記6のとおり、 被処分者は、 令和5年5月〇日、Bとの委任契約が解除されたこと により前払報酬等を返還しなければならないにもかかわらず、 令和7年4月○日の時点 においても、Bに対し、当該前払報酬等である13万1400円を返還していない。
処分の量定
1 上記第2の7のとおり、 被処分者は、正当な事由がないにもかかわらず、本件業務を約6か月にわたり放置し、 Bから本件業務の前払報酬等として受け取った13万1400円を委任契約解除後速やかにBに返還しなかった。 このような、被処分者の行為は、 司法書士法第2条(職 貴)、同法第23条 (会則の遵守義務)、 大阪司法書士会会則第90条 (品位の保持等)、 同会則 第98条(依頼事件の処理) 及び同会則第109条 (会則の遵守義務)に違反する。
2 本件業務を放置した点については、司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方 (処分基準)別表番号11の「受任事件の放置」 に該当し、 一般的な量定として、「戒告又は2年以内の業務の停止」 が相当とされている。 また、前払報酬等を直ちに返還しなかった点については、被処分者がBからその返還請求を受けた令和5年5月○日から長期間にわたっ てその返還をしていなかったことを踏まえると、被処分者が令和7年4月末日にBに対して、その返還をしたことを考慮したとしても悪質であるといわざるを得ず、 同表番号22の「その 他会則に違反する行為」 に該当し、一般的な量定として、 「戒告」 が相当とされている。
3 量定の重い 「受任事件の放置」 についてみると、 被処分者は、遅くとも令和4年9月末頃 までには、本件業務を履行することができたにもかかわらず、これを放置しており、 その放 置期間は少なくとも6か月に及ぶ。 その結果として、 Bは、本件業務を他の司法書士に依頼せざるを得なくなっている。
本件業務の遅滞についてBに帰責性は一切ない一方で、被処分者は、Bからの連絡にも十分に応対しておらず、 本件登記の申請を既にしている旨の虚偽の説明をするなど不誠実な対 応に終始しており、 非常に悪質である。
このことに加えて、被処分者が大阪司法書士会からの調査に応じないなどの不誠実な対応をしていたことも看過することができない。
以上によれば、本件は、受任事件の放置としては非常に悪質な部類に属すると言わざるを 得ず、1年半以上に及ぶ前払報酬等の未返還の事実があることも踏まえれば、 数か月の業務 の停止の懲戒処分をもって臨むべき事案である。
4 他方で、被処分者には、これまでに懲戒処分歴がないこと、 本件についての聴聞通知後に 前払報酬等を返還済みであること、 その後の聴聞期日において自ら各非違行為を認めて反省 の態度を示していることなど、 酌むべき情状もある。
5 よって、これら一切の事情を考慮し、司法書士法第47条第2号の規定により、 被処分者を 主文のとおり処分する。
令和7年8月7日 法務大臣 鈴 木 馨祐
