懲 戒 処 分 の 公 告


処分を受けた弁護士   吉羽 真治 13125
東京弁護士会所属 東京都港区赤坂3
吉羽真治法律事務所
懲戒の種別   戒告

遺留分減殺請求

遺留分減殺請求とは、配偶者や子が遺留分に満たない相続額しか受け取れなかった場合、不足分を請求すること。
被相続人は、遺言書を作ることにより、法定相続人以外にも遺産を遺贈することができる。しかし、法定相続人には、相続できる最低額が権利として保障されている。その額は、子と配偶者が相続人の場合には、子が4分の1、配偶者が4分の1、配偶者が死亡している場合には子が2分の1、配偶者のみの場合には2分の1・・・などのように決まっている。それらの遺留分を持つ相続人が遺言によってそれ以下の遺産しか受け取れていない場合には、遺留分減殺請求をすることによって、遺留分を侵害している人から不足分を取り戻すことができる。

懲戒要旨の要旨


被懲戒者は亡Aの相続に関しAの妻Bの代理人として2003年2月4日遺言の検認手続きに出頭し、同月6日Bの依頼を受け、自らを候補者とする遺言執行者選任の申立てを行った。他方、いずれもAの他の相続人であってAの二女である懲戒請求者Dを申立人としBを含む他の相続人を相手方とする遺留分減殺調停が同年3月27日
に申し立てられていたが、被懲戒者は同年5月14日に遺言執行者に選任された上でB及び他の相続人Eの代理人として出頭し続けたさらに被懲戒者は上記調停継続中の同年5月31日Bの委任を受けて他の相続人を相手方とする遺産分割の調停を申し立てるなどした被懲戒者が遺言執行者に選任された遺言書にはAの相続人の一人を
相続から排除する旨の記載があり、被懲戒者には遺言執行人として推定相続人の廃除の請求手続きをする義務があったが、その手続きはなされておらず遺言執行者としての職務が終了していない事項に直接関係する紛争が相続人間で生じた場合に特定の相続人から当該紛争に関し事件を受任することは遺言執行者の解任事由ともなり得るのであるから遺言執行者にはこれを回避すべき職務上の義務があり、その一環としていずれの相続人に対する関係においても信頼関係上の距離感をもった中立的立場を保持する義務があるそれにもかかわらず被懲戒者はBらから遺留分減殺調停等の事件を受任したのは遺言執行者としての職務の中立性を害するものであり被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項の品位を失うべき非行に該当する
処分の効力の生じた日
2008年4月7日
2008年7月1日  日本弁護士連合会