弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2008年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・山梨県弁護士会・八巻紀臣弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・同意を得ず取下げ

懲 戒 処 分 の 公 告

 山梨県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 八巻紀臣  登録番号 11368

事務所 山梨県甲府市横根町559

八巻法律事務所

2 懲戒の種別  戒告  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は1997年9月16日懲戒請求者からAに対する5000万円の貸金返還請求訴訟の依頼を受けて訴訟を提起し、1998年3月16日に勝訴判決を得た。そして1998年5月21日Aの賃貸不動産を対象とする強制管理の申立をした。
ところが、本件強制管理対象物件に根抵当権を設定していたX信用組合が同年7月8日本件強制管理物件の賃料に対する政権差押命令の申立をし、同月10日
債権差押命令が出されたので強制管理の実行性は全く失われた被懲戒者は強制管理の実効性が失われた段階で速やかに懲戒請求者に対して事件の報告及び協議を行い、取り下げを勧告するなどして事件の処理を行うべきであったところ、懲戒請求者と十分な協議をおこなわず懲戒請求者の同意を得ずに2006年10月24日本件強制管理を取り下げた。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定36条、第22条及び第35条の各規定に違反し、依頼者の自己決定権の侵害の程度や取り下げまでの期間の長さからして弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。しかしながら本件強制管理は結果的に取り下げざるを得なかったこと等を総合考慮し戒告とするのが相当である
4処分の効力の生じた日 2008年7月3日 2008年11月1日 日本弁護士連合会