弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2009年1月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・大阪弁護士会・鬼迫明夫弁護士の懲戒処分の要旨

懲 戒 処 分 の 公 告

 大阪弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 鬼迫明夫

登録番号 7856

事務所 大阪市北区西天満2

弁護士法人・なにわ共同法律事務所

2 懲戒の種別  戒告  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は1993年9月以来デベロッパーであるA社と法律顧問契約を締結していたが1999年8月不良債権処理等のための国策会社であるB社の代表取締役に就任し不良債権回収業務の最高責任者となったその後B社はA社の取引銀行等から同社に対する債権を譲り受けるなどし債権回収業務に着手した2003年12月20日A社の代表取締役Cは予め被懲戒者B社に関する事件は受任できない旨告げられていたが年末の挨拶と称して被懲戒者と面談しB社のA社に対する債権回収のやり方などに強い不満を述べ担当職員の態度が悪いなどと強く抗議した。これに対し被懲戒者は苦情相談室の存在を告げ具体的な助言は行わなかった。Cは上記苦情相談室に対し同月26日付の苦情申し出の書面を送付した。被懲戒者がA社と顧問契約を結び他方その債権者であるB社の代表取締役に
就任したとしてもその限りにおいては直ちに利益相反の関係に立つものではない。しかし被懲戒者がCと面談した2003年12月20日以降においてはB社とA社との間で実質的な利害の対立が顕在化しているのであるから、被懲戒者はA社との顧問契約を直ちに解消すべきであったのにその措置をとらずに顧問契約を継続して顧問料を受領し続け、また顧問契約の継続に関してB社の同意も得なかった被懲戒者がA社からの顧問料を引き続き受領してきた行為はそれによってB社の職務の執行が歪められたことはないとしてもB社が対社会的にも厳正、公正な不良債権処理業務等を果たすべきことが強く要請されていることからすればその職務執行に疑念を抱かせるものであるといわざるを得ず、また弁護士の資格を有したままB社の代表取締役に就任した被懲戒者は職務の公正に疑いを抱かしめるような行動を取らないことが格別に求められることに鑑みると弁護士法第25条第3号及び廃止前の弁護士倫理第26条第4号の規定に違反する行為であり弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4処分の効力の生じた日 2008年9月16日 2009年1月1日 日本弁護士連合会