弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2005年3月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・下光軍二純也弁護士の懲戒処分の要旨
第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 下光軍二
登録番号 4195
事務所 東京都渋谷区代々木
下光家庭共同法律事務所
2 懲戒の種別 戒告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者と懲戒請求人のいずれかが受任者となるか明確ではなかった懲戒請求人は同月26日相続税申告書を作成し、また被懲戒者に対し相続税申告作成執務報酬として746万5500円を請求する旨の請求するとともに、同月27日所得税務署の受領印のある上記申告書控えを被懲戒者に交付した。
同日、被懲戒者はBらに対し、上記懲戒請求人作成の請求書は交付することなく、上記申告書控えと被懲戒者作成の「相続税申告手数料として(会計士の報酬を含む)736万円を請求する」旨の請求書を交付した、被懲戒者はその頃Bから736万円を受領したが懲戒請求人に対しては「100万円しか支払われなかった」と虚偽の事実を告げて100万円のみしか。支払われなかった
上記の相続税申告に関する委任契約が被懲戒者とBらとの間に成立し懲戒請求人は被懲戒者からさらに委任を受けた事になるのか、それとも直接懲戒請求人とBらとの間に成立し被懲戒者は単なる紹介者に留まるのかかはBらの認識においても明確でなく被懲戒者が受領し、懲戒請求人に交付していない636万円につき被懲戒者が横領したと断定する証拠はないしかしながら、懲戒請求人と被懲戒者との間で報酬の支払いに関しての紛議を生じたのは、Bらに対しても受任の趣旨を明確にしていないことに起因するものである。
また懲戒請求人が746万円余の請求をする意思であることを了知しながらそのまま放置ししかも虚偽の事実を告げたなどの被懲戒者の行為は金銭面の廉潔を欠くものであるうえ、紛議が生じた後も懲戒請求人代理人弁護士との交渉を拒むなど円満解決に努めなかった被懲戒者の上記行為は弁護士倫理第4条第5条第8条及び第29条に違反し弁護士法第56条に定める品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力の生じた日2002年11月25日 2003年2月1日 日本弁護士連合会
第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
懲戒された弁護士氏名 下光軍二 登録番号4195 第一東京弁護士会
懲戒処分 戒告
処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は受任した遺産分割協議及び相続税申告手続きのうち後者の手続きを長年にわたって協力関係にあった懲戒請求者A(公認会計士)に再委任したがAとの間で報酬額の配分や税務申告の過誤責任について紛争が生じ訴訟が係属した。そして被懲戒者は同訴訟の訴訟活動として必要もないのに2002年9月18日に行われた本人尋問中に過去にAの母親から受任した離婚事件について供述し同年10月17日に行われた口頭弁論期日にAの亡父等について言及した陳述書を証拠として提出し弁護士法第20条に違反した。また被懲戒者の作成した相続債務の範囲について過大に計上した遺産分割協議書に基づいてAが1998年8月27日に税務申告手続きをし、後に誤りに気づいて修正申告をしたものの依頼者が過少申告加算税及び延滞税を課されることとなり被懲戒者は2000年6月2日に依頼者との間で債務弁済契約公正証書を作成して和解したものであるが被懲戒者は被懲戒者自身も相続債務を正確に把握していなかったにもかかわらず修正申告書に添付した上記申請書及び上記公正証書において当初申告書の過誤はすべてAの独断専行によるものであるかのように虚偽の記載をし弁護士倫理法第4条及び同第8条に違反した
(2)被懲戒者は2003年受任した離婚訴訟の相手方である懲戒請求者Bから懲戒申請を受けそれに対して提出した答弁書中で「対象弁護士を叩き潰すという作戦にでた」「懲戒請求者の懲戒請求は本件離婚訴訟を有利にする方便として使われている」「常識人の判断ではない」「笑止の沙汰ではないか」などと弁護士としては激越すぎる表現の記載をして弁護士倫理法第5条に違反した
(3)以上の被懲戒者の行為は弁護士の品位を失うべき非行に該当する