弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2005年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第二東京弁護士会・東松文雄弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・債権管理回収業務を営む会社の取締役として怠慢な業務遂行

懲 戒 処 分 の 公 告

 第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 東松文雄

登録番号 20877

事務所 東京都中央区京橋

法律特許事務所東松

2 懲戒の種別  業務停止3月  

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は弁護士会の推薦を受けて債権管理回収業務を営むA社の取締役に就任した者であるがA社は2003年9月16日から2005年1月13日までの間に3回にわたって法務省の立入検査を受け、取締役会の決議を経ずに借入等が行われており、取締役会の機能が十分に果たされていないこと等の業務運営上、法令順守体制上の不備について多数の指摘をされその改善を約している状況にあったが2004年6月16日開催の取締役会における第14期決算報告においては利益相反取引に該当する受入預託金名目での多額の借入金が2005年6月21日開催の第15期決算報告においては短期借入金名目での多額の借入金が計上されており、これはいずれも取締役会に付議すべき事項であるにも関わらず付議されていなかった被懲戒者はこれらが取締役会付議事項であることを認識できたのでるから代表取締役が取締役会の議決を得ることなく多額の借入金を借り入れしていることについて是正すべき処置をとるべきであったにもかかわらず何らの手続きもとらなかった

(2)A社は2006年2月1日から同年3月22日までに法務省の第4回立ち入り検査を受け前回同様の指摘を受けた上で同年6月14日に業務停止命令を受けるに至ったが、そのわずか40日後の同年7月24日に開催された臨時取締会において金2500万円及び3千万円の借入の承認の課題が上程された。これらの借入の利率は実際は90%あるいはそれ以上の高利であったが被懲戒者は支払い期日及び利率についての記述がないまま提案されていた上記課題につき何の疑問も持たずに議案を承認した

(3)被懲戒者は弁護士会の推薦を受け取締役に就任したサービサーの取締役弁護士であるから通常の取締役以上にコンプライアンスの維持に重い責任を負っているにもかかわらず、いずれの問題についても何ら違法状態の是正をおこなうことなく放置していたものであり取締役弁護士としての尽くすべき義務を果たしておらず義務違反の程度は著しいその後A社は債権管理回収等の許可を取り消されており社会的影響も大きいことから単なる義務違反にとどまらず所属弁護士会の信用を害する所為というべきであって弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に当たる

4 処分の効力の生じた日2009年1月14日 2009年5月1日  日本弁護士連合会

 

(サービサーとは)
サービサーとは、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」に基づき、法務大臣から営業許可を得ている民間の債権回収専門会社です。
サービサーは、金融機関などから債権回収業務の委託を受けたり、その債権を譲り受けて管理回収を行っています。
また、債権回収のほかにも個別に法務大臣の許可を受けて事業再生業務など、債権回収に関わる様々なサービスを提供しています。