弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2009年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・笠井浩二弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・不動産取引で杜撰な事件処理

 

懲 戒 処 分 の 公 告

東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 笠井浩二

登録番号 17636

事務所 東京都港区西新橋1-21 笠井・角田法律事務所

2 懲戒の種別  業務停止2年 ⇒業務停止1年6月に変更

3 処分の理由の要旨

(1) 被懲戒者は1999年2月ごろ交通事故の被害者である懲戒請求者Aから損害賠償請求事件を受任し、その資料として診療費の明細及び収入の証明に関する資料を預かった。しかしその後、被懲戒者はこれらの資料を紛失したため損害立証のための資料として加害者代理人に提供できす交渉が中断されたまま2006年7月10日に解任されるまで事件処理を放置した、また被懲戒者はAの事件進行に対する問い合わせに対して資料紛失の事実を告げず、さらに解任された後も事件の顛末の報告及び預かり品の返却を怠った、
(2) 被懲戒者は2006年12月ごろ売買代金3億5500万円とする土地建物の売買契約について買主である懲戒請求者B社の代理人として関与したが、真の権利者が誰なのかということについて調査を怠ったため、売買代金支払い後、本件不動産について仮処分命令が発令され所有権の移転が不可能なことが判明するという事態になったそして被懲戒者は買主代理人であるにもかかわらず売買代金のデリバリー全体を把握せずまた売買代金のうち1億5500万円が地上げ業者Cに、1億円が担保権者D社に渡り残る1億円を懲戒請求者が預かる等、真の売り主に代金が支払われたとは言い得ない処理を行い、さらに、預かり金を預かった2006年12月18日当日、預かり金1億円のうち2000万円を関係者4人で分配し同月20日には5000万円をCに交付するなどしさらには、売買代金の決済についての領収書を受領していないことからBからの領収書を含む記録の返還要求に対してこれに応じることができない等、杜撰な売買代金の管理をした結果、被懲戒者はBへの売買代金の返還を困難にして重大な損害を与え、自分の預かり金も直ちに返還できなかった
(3) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第35条、同規定第36条及び同規定45条に抵触し上記(2)の行為は同規定第21条及び同規定第45条に抵触しいずれの行為も弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力の生じた日   2009年7月8日 2009年11月1日   日本弁護士連合会