弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2010年1月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・札幌弁護士会・奈良秦哉弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・離婚訴訟での説明不足、打ち合わせ不足。敗訴依頼人に連絡せず。依頼人を無視して控訴
札幌弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 奈良秦哉
登録番号 28400
事務所 室蘭市中島町2 奈良法律事務所
2 懲戒の種別 戒告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2004年7月8日ごろ懲戒請求者からその妻を原告とし同人を被告とする離婚訴訟を受任した。被懲戒者は2005年1月17日懲戒請求者から、手紙で答弁書の写しの送付及び双方の主張の要点等についての説明を求められたが、答弁書の写しを送付することも主張の要点等についての説明もしなかった。また被懲戒者は懲戒請求者に対し被告本人尋問期日を知らせた際、その1週間前くらいに打ち合わせをしたいとしていたのにもかかわらず、その3日前になってから尋問期日前日に打ち合わせしたい旨の電話連絡を行い、懲戒請求者が対応できなかったことから、結局、被告本人尋問の申請を取り下げた。同年11月18日被告本人尋問が行われないまま被告敗訴の第1審判決が言い渡されたが被懲戒者は懲戒請求者にそのことを知らせずに控訴した。被懲戒者は懲戒請求者と何ら打ち合わせることなく控訴審手続きを進め2006年3月24日控訴棄却判決が言い渡されたが懲戒請求者にそのことを知らせずに上告した。懲戒請求者は同年5月24日懲戒請求者が仮差し押さえを受けた旨の連絡をしてきた際、既に一審判決が言い渡されていることを初めて告げ、同月31日事務所で懲戒請求者と会い一審判決のみならず控訴審判決も既に言い渡されて上告手続き中であることを説明し判決書の写しを後日送付する旨を約束したが、結局送付しなかった。また被懲戒者は同年7月20日上告棄却決定を受けながら11月20日ころまでに懲戒請求者に報告しなかった。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するところ和解金500万円を支払い済みであること等を考慮して戒告とした