日弁連が処分を戒告に変更 死刑囚の元弁護人

 オウム真理教の松本智津夫死刑囚(55)=教祖名麻原彰晃=の控訴趣意書を期限までに提出せず、所属する第二東京弁護士会から業務停止1カ月の懲戒処分を受けた松井武弁護士について、日弁連は24日までに、処分を戒告に変更した。 仙台弁護士会から戒告を受けていた松下明夫弁護士の処分は変わらなかった。両弁護士が懲戒処分を不服として日弁連に審査請求していた。 日弁連の懲戒委員会は議決書で「控訴趣意書を長期にわたって提出せず、死刑という重大な判決を確定させてしまい、被告の裁判を受ける権利を失わせた」と指摘。一方で「弁護活動は全体として『真摯な活動』だった」として、戒告処分が相当としている。 松井弁護士らは控訴趣意書を提出期限の2005年8月末までに東京高裁に提出せず、その後も高裁からの求めに応じなかったため、高裁は06年3月に控訴棄却を決定。その後、松本死刑囚の死刑が確定した。

                         

懲 戒 処 分 の 公 告

 第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
                 記
1 懲戒を受けた弁護士
氏名 松 井 武 登録番号 23111  第二東京弁護士会
事務所 東京都港区赤坂2
港合同法律事務所
2 懲戒の種別  業務停止1月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は他の弁護士と共同で殺人等被告事件につき第1審で死刑判決を受けた被告人の控訴審における私選弁護人となった高等裁判所は上記被告事件の控訴趣意書の提出期限を2005年8月31日と指定したが被懲戒者らは上記期限までに控訴趣意書を提出せずその後も高等裁判所から何度か書面や電話で控訴趣意書を提出するよう強く求められたがこれに応じなかった、そのため高等裁判所は2006年3月27日控訴棄却の決定をしその後被告人に対する第1審の死刑判決が確定した被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力の生じた日 2009年7月30日 2010年1月1日  日本弁護士連合会

松下弁護士の懲戒処分の要旨
         懲戒を受けた弁護士
氏名 松下明夫 登録番号 22933 仙台弁護士会所属
仙台市青葉区一番町2
仙台第一法律事務所
懲戒の種別  戒告
処分の理由の要旨
被懲戒者は地方裁判所で死刑判決を受けた被告人Aの控訴審の弁護人であったが控訴趣意書提出期限である2005年8月31日を遵守する事なく
期限までに控訴趣意書を提出することを怠り、控訴棄却という重大な結果を生じさせAにつき1審の死刑判決が確定した被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する処分の効力の生じた日
2008年9月24日 2009年1月1日    日本弁護士連合会