弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2011年2月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・群馬県弁護士会・増田智之弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・味方である弁護士が裁判の準備書面で依頼者を攻撃

2010年 10月の読売の記事  依頼人批判の書面提出

民事訴訟で依頼人の女性と対立し、女性に対する批判が主な内容の準備書面をいきなり裁判所に提出したのは不適切として、群馬弁護士会が弁護士法に基づき、増田智之弁護士(48)(前橋市)を戒告の懲戒処分にしていたことが、わかった。処分は20日付。女性は、増田弁護士は訴訟の当初から経過を報告したり準備書面を渡したりせずに訴訟を進め、女性を批判する 準備書面を出し、突然委任契約の解除を通告したなどとして、同会に懲戒を 請求していた。 それに対し、増田弁護士は「連絡は十分にとり、書面も渡していた」などと反論していた。 女性は、「一般の人は『弁護士なら任せて大丈夫』と普通は思ってしまう。裁判を勝手に進めることは信頼を大きく裏切る弁護士としてあるまじき行為」と批判し、「こちらの主張の多くが認められていない」と、日本弁護士連合会異議を申し出る方針。増田弁護士は「準備書面は、弁護人を辞任する背景を説明したつもりだったが弁護士会の判断は重く受けとめている。内容をよく確認して、処分の取り消しを求めるか検討したい」としている【 読売ニュース】 

 

懲 戒 処 分 の 公 告

群馬県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

1 処分を受けた弁護士氏名 増田智之

登録番号  25785

事務所 前橋市市川原 風の詩法律事務所

2 懲戒の種別  戒告 

3 処分の理由の要旨                     

被懲戒者は2008109日ころ動産等引き渡し請求事件の被告である懲戒請求者Aらから同事件の訴訟代理の委任を受けた。同事件において被懲戒者は裁判官の示唆を受け懲戒請求者Aに対し原告へ返還すべき物を返還することで円滑な訴訟進行が図れることを了解した。しかしその後被懲戒者の再三にわたる提出要請に対して懲戒請求者Aがこれに応じなかったことから同事件の正常な進行が阻害されるようになった、被懲戒者は2009324日その当時懲戒請求者Aとの信頼関係は喪失しておりその回復は困難であったのだから委任者全員にその事実を告げて辞任その他適切な措置を採るべきであったにもかかわらずいまだ受任中の懲戒請求者Aを批判することを主たる内容とする準備書面を裁判所へ提出した。被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第43条に違反し弁護士として職務を誠実に行ったとは認められず弁護士法第561項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日2010年10月23日 2011年2月1日   日本弁護士連合会
弁護士職務基本規定(信頼関係の喪失)第四十三条
弁護士は受任した事件について依頼者との間に信頼関係が失われかつ、その回復が困難なときは、その旨を説明し、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。