弁護士の懲戒処分を公開しています
2011年2月 日弁連広報誌「自由と正義」に掲載された弁護士懲戒処分要旨
20091113日に沖縄弁護士会の佐竹道憲弁護士の戒告処分出ましたが懲戒請求者が戒告では処分が軽いと日弁連に異議申し立てして再審査し戒告から業務停止1月になったものです年にひとつあるかないかの珍しいものです、懲戒請求者の方
ご苦労さまでした
沖縄弁護士会 佐竹道憲弁護士の懲戒処分の変更の要旨 
【簡単な内容】
交通事故事件で自賠責の請求を忘れた、後遺障害の認定も忘れた被害者の賠償請求権が時効消滅させたが謝罪も弁償もしない弁護士
懲 戒 処 分 の 公 告 処分変更
沖縄弁護士会が20091111日付けでなし1113日に効力を生じた被懲戒者に対する戒告の懲戒処分について懲戒請求者から異議の申し出あった、日本弁護士連合会は上記懲戒処分を変更して以下のとおり懲戒の処分をしたので懲戒処分の公告及び公表に関する規定第3条第6号
の規定により公告する
               記
1 懲戒を受けた弁護士氏名
 佐竹 道憲 登録番号 13356 沖縄弁護士会
  事務所 那覇市久茂地   佐竹法律事務所
                  
2 処分の内容   業務停止1
3 処分の理由の要旨
(1)  被懲戒者は2001315日の交通事故によって負傷した懲戒請求か法律相談を受けるようになり20035月頃、後遺障害を含む自動車損害賠償責任保険(以下自賠責保険という)の請求手続きの委任(以下本委任という)
(2)  そして懲戒請求者は本件交通事故の後遺障害について被懲戒者に本件委任をする前の2003418日医師から症状固定の診断書を受領していた
(3)  ところが被懲戒者は自賠責保険の請求手続きをとらず2004430にそれまで所属していた事務所から独立した際に本件委任に関する書類を紛失しその後の事件を放置した
(4)  その結果被懲戒者は2006418日懲戒請求者の本件交通事による加害者に対する損害賠償請求権を時効消滅させた
(5)  被懲戒者は後遺障害の等級について「併合710」(一下肢に偽関節を残し著しい運動障害を残すもの)と主張している、これに対し被懲戒者は14級程度ではないかと主張しているがこれは前記の後遺症の診断書を検討した上での見解ではないかと供述している
(6)  本件交通事故については後遺障害の有無、等級について認定されてはいないがこれは被懲戒者が自賠責保険の加害者請求を怠ったことに原因がある
(7)  本件交通事故については被害者の過失割合も問題になるが自賠責保険の支払い基準では被害者に7割未満の過失があっても減額されない扱いになっている(7割以上の過失があってもその減額程度について考慮される)ちなみに20061023日付けの「損害賠償計算書」では被害者である懲戒請求者の過失割合は35%とされている
仮に懲戒請求者の主張するとおり同人の後遺障害の程度が7級に該当しその過失割合が7割未満程度であったとすると当時の自賠責保険による保険金額は1051万円とされており懲戒請求者は同金額の支払いを受けることができた可能性がある。ところが懲戒請求者は200776加害者と示談し傷害分の既払金のほかに180万円の支払いを受けているが前記「損害賠償金計算書」によると上記の180万円が後遺障害が存することが考慮されたのか傷害分の損害賠償金の既払金の残額なのか判然としない、いずれにしても懲戒請求者がこのような示談に応じざるを得なかったのは被懲戒者が懲戒請求者の代理人として自動車保険の被害者請求等後遺障害の程度について認定を受ける手続きを執らず懲戒請求者の加害者に対する損害賠償請求権を時効消滅させたことに原因がある
(8)   以上のとおり被懲戒者が受任した受任業務を速やかに遂行せず懲戒請求者の加害者に対する後遺症による損害賠償請求権を時効消滅させた行為(これが懲戒事由である)は依頼者である懲戒請求者に相当額の損害を与えた結果ではあるが今となっては懲戒請求者の後遺障害の等級を認定できない以上その損害額を正確に算出することはできない、しかし被懲戒者は少なくとも懲戒請求者の後遺障害による損害賠償金の支払いを受け得る期待権を失わせてしまったことは明らかである
(9)  ところで沖縄弁護士会は本件事案においては本件交通事故が懲戒請求者が国道の横断歩道でない場所を横断している際に発生した事故であり相当程度の過失相殺が予想されるものであったこと、懲戒請求者の加害者と示談が成立し傷害分の他に一定の金額(180万円)を損害補償として得ている事、被懲戒者は本件損害賠償請求を受任するに当たり着手金等の弁護士費用を受領していないこと等の事情が認められるとして被懲戒者についての懲戒処分を戒告とした
しかし本件事案において被懲戒者の行為の最大の問題点は懲戒請求者の後遺障害の程度についての認定を受ける手続きを時効消滅させることによって懲戒請求者の後遺障害を受けることの権利、少なくともその期待権を失わせたことにあるというべきである。この点において沖縄弁護士会の判断は本件事案の問題点を正確に把握したものとは認められず、また懲戒請求者が加害者との前記示談によって支払を受けた180万円も必ずしも後遺障害の存在を前提としないことは前記のとおりである
(10)そして被懲戒者は懲戒請求者に対しこれまで誠意を もって謝罪をしておらず被害弁償も全く行っていない
(11)以上を総合すると沖縄弁護士会の戒告処分は軽きに過ぎるのでこれを変更し被懲戒の業務を1月間停止する
4 処分が効力を生じた年月日20101222   2011年 21日日本弁護士連合会