国選報酬詐取、弁護士に有罪=接見回数を水増し-岡山地裁

 容疑者国選弁護制度をめぐり、接見回数を水増しして弁護報酬を過大に受け取ったとして、詐欺罪に問われた岡山弁護士会所属の弁護士、黒瀬文平被告(69)=業務停止中=の判決公判が21日午前、岡山地裁であり、田尻克巳裁判長は懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
 弁護側は「報酬が接見回数に応じて決まるとの認識がなく、故意ではない」
などとして、無罪を主張していた。
弁護士自治を考える会
岡山県弁護士会会長の的場会長は
「以前は『不正請求などするはずがない』という性善説が制度の根幹にあったしかしこの事件で、そうも言ってはいられなくなった」とこの事件の影響の大きさを語った。
2007年3月から2008年5月までの間、国選弁護人となった7件接見回数をごまかして不正請求し報酬を受領した
  事件         接見回数  虚偽報告   実質金額     不正報酬
①強盗未遂事件      2回    7回     4万4000円         12万円
②強盗銃刀法違反事件 4回    7回     8万4000円         12万円
③放火事件         7回     8回     13万7100円       14万6800円
④強盗致傷        2回     6回     4万4000円        11万4000円
⑤強盗致傷        3回     5回     6万4000円        10万4000円
⑥強盗致傷        4回      6回    10万4000円      13万4000円
⑦強制わいせつ     2回     8回     4万4000円       12万4000円
取扱国選弁護事件7件
実質接見回数24回 虚偽接見報告47回 ごまかし回数23回
正規報酬    52万1100円 不正請求 86万2800円
不正報酬  34万1700円
弁護士名 黒瀬文平
登録番号 28357
所属弁護士会 岡山
法律事務所名 黒瀬法律事務所
懲戒年度 2009年12月
懲戒処分種別 業務停止2年
処分理由の要旨 国選弁護報酬不正請求
処分要旨詳細リンク https://jlfmt.com/2009/12/23/28369/