弁護士の懲戒処分を公開しています
「日弁連広報誌・自由と正義」201411月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・神奈川県弁護士会・茆原洋子弁護士の懲戒処分の要旨
 
これは珍しい懲戒処分です。
横浜弁護士会が一旦懲戒しないと決定したものを懲戒請求者が異議申立てをして認められたケース。懲戒請求者は弁護士です。そして横浜弁護士会の茆原洋子弁護士、佐賀悦子弁護士、上山智之弁護士、両角幸治弁護士、出光恭介弁護士の5人が処分を受けています。
過去同じ事件を受任した弁護士2名が懲戒処分を受けたケースはあります、
刑事事件で不適切な処理をした3人の弁護士(兵庫)が懲戒処分されたのが最多人数でしたが今回の5人は過去最多同時懲戒処分人数の記録となりました。
 
簡単な処分の内容
弁護士に対する誹謗中傷
懲 戒 処 分 の 公 告
 横浜弁護士会が2013117日付でなし2013118日に効力を生じた被懲戒者を懲戒しない旨の決定について、懲戒請求者から異議の申出があった。本会は上記決定を取消して以下のとおり懲戒の処分をしたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規定により公告する
   記
1 処分を受けた弁護士
氏 名           茆原洋子
登録番号         15152
事務所         神奈川県川崎市宮前区鷲沼1
              茆原法律事務所
2 処分の内容     戒 告 
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者にかかる本件懲戒請求事件につき横浜弁護士会は被懲戒者、A弁護士、B弁護士、C弁護士及びD弁護士(以下被懲戒者らという)が弁護士である懲戒請求者の実名を挙げて「弁護士としての倫理観が欠如している」「ヒステリー気味な言動が見られる」などの記載があるE作成の報告書(以下本報告書という)を最高裁判所に送付して訴訟記録に編綴されることにより何人でも閲覧することが可能な状態に置いて懲戒請求者の社会的評価及び弁護士としての信用を低下させた行為が懲戒請求者に対する名誉毀損を構成するとともに弁護士職務基本規定第70条に違反するとしながら情状を総合考慮すると直ちに弁護士としての品位を失うべき非行であるとまでは評価できず被懲戒者を懲戒しないと決定した。
 
(2)しかしながら本件報告書はかつてEが作成した文書そのものではなく、もともとの報告書中一部の人についてはマスキングをしてコピーしたもの、手書きの同報告書を作成すると至った経過を被懲戒者において改めてまとめたものからなるものであり、これを被懲戒者らが作成したものではないと有利な情状とした横浜弁護士会の評価は妥当性を欠くというべきである。また懲戒請求者の実名が文書の成立の真正性に結び付くことを示す事情はないし、さらに仮に懲戒請求者の実名を記載することについてEから強い要請があったとしても、そのことによって懲戒請求者に対する行為の不当性が治癒されることは認められない、また判決に従って懲戒請求者に損害賠償金の支払をしたことは弁護士として当然のことでありこれを有利な情状として考慮することは相当でない。
本件は被懲戒請求者らが争点は何らの関係がないにもかかわらず弁護士たる懲戒請求者の名誉を毀損する部分を残したまま、これを含む書面を殊更提出したのであり訴訟上の権利の濫用にあたるとされる特段の事情があるというほかなく弁護士として品位を失う非行に当たるといわざるを得ない、したがって被懲戒者を懲戒しないとした横浜弁護士会の決定を取消し、被懲戒者を戒告するのが相当である。
4 処分が効力を生じた年月日 2014913日 2014111日  日本弁護士連合会