『医療過誤事件』での懲戒処分例
過去に弁護士が受けた懲戒処分を内容別にご紹介をしています。
この書庫は『医療過誤事件を受任した弁護士が受けた懲戒処分』についてまとめています。医療過誤事件についての処分例は少なく、また処分についても【事件放置】がほとんどです。
なぜ受任した事件を放置したのかの理由はありません。当初から無理なものを受任したのか、弁護士に病院・医者を相手に医療過誤の裁判などできる能力があったのかなかったかまで書いてありません。参考にならないかもしれませんが参考にしてください。
懲戒処分の要旨が必要な方はご連絡ください。
(この書庫は書きかけです。新たな処分が出れば追加します)
① 久保哲夫 18369 京都 戒告 自由と正義 2002年6月
医療過誤事件 着手金預かりながら長期間放置
② 大賀浩一 23767 札幌 戒告 自由と正義 2003年6月
医療過誤事件の放置
③ 行木武利 18697 第一東京 業務停止2月 2004年10月
医療過誤事件 3000万円の賠償訴訟を1022万円で依頼者の了解なく
提起した。
④ 佐木さくら 29120 福岡 戒告 自由と正義 2005年3月
医療過誤事件・事件処理の遅れと報告等の怠慢
⑤ 久保昭人 18799 大阪 業務停止3月 2005年11月
医療過誤事件放置で損害賠償請求の時効
⑥ 長谷川彰 18533 京都 戒告 2012年8月
医療過誤事件 事件放置
⑦ 杉山博亮 23069 東京 戒告 2015年2月
医療過誤事件 委任契約ナシ 報告ナシ 専門的助言ナシ
⑧ 保田行雄 17663 東京 業務停止6月 2018年6月
事件放置 賠償請求権の消滅時効を完成、虚偽説明
⑨ 山下陽 32047 千葉 戒告 2019年10月
事件放置
https://jlfmt.com/2019/10/25/40254/
懲戒処分例をご紹介します。
【懲戒処分の公告】
京都弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏名 長谷川 彰 登録番号 18533 京都弁護士会 事務所 京都市中京区烏丸御池
御池総合法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2001年7月2日懲戒請求者及びその息子Aから、Aが入院先の医療過誤により1997年7月頃、後遺障害を負ったとする損害賠償請求事件を受任した。被懲戒者は診療録を入手するために証拠保全の申立てを行い、複数の医師に対して意見書作成を依頼するなどしたものの、受任から6年半以上経過した2008年4月10日までの訴訟提起をしなかった。この結果消滅時効を理由とする請求権棄却の判決がなされ懲戒請求者らの訴額2億3000万円を超える損害賠償請求権は実体審理を受ける機会がなくなった。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第35条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力を生じた年月日 2012年5月15日
2012年8月1日 日本弁護士連合会
懲戒処分の公告
東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士氏名 杉山博亮
登録番号 23069
事務所 東京都千代田区神田神保町2 専修大学8号館1階
今村記念法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
1被懲戒者は2009年3月22日懲戒請求者らから、その亡父Aに係る社会福祉法人等を相手方とする医療過誤による損害賠償請求事件を受任したが、受任に際し、受任内容について十分に説明せず、委任契約書を作成しなかった。
2被懲戒者は医学データの検討及び専門家医師の意見聴取をせず、その他合理的な理由がないにもかかわらず、2009年3月24日付け通知書による最初の受任等の通知から約4か月間示談交渉の申し入れをせず、同年9月13日頃に調停申立ての方針が決まってから約5か月半調停の申立てをせず2010年7月1日頃訴訟提起の方針が決まってから約5か月半訴訟提起をしなかった。
3・また被懲戒者は2009年11月15日に懲戒請求者らから調停申立ての進捗状況につき報告を求められたが2010年1月31日まで報告をせず、さらに同年9月6日に進捗状況の定期的な報告を求められたが同年11月20日まで報告をしなかった。
4被懲戒者は2010年2月24日頃、懲戒請求者らから医療過誤事件に精通した他の弁護士の紹介を求められ、また同年9月23日にも医療過誤事件に精通した弁護士と共同受任するよう求められたところ自ら事件を遅滞なく処理できる状態になく、他の担当の勤務弁護士にも医療過誤事件の患者側弁護士に期待される善管注意義務を尽くして延滞なく適切に事件処理できるだけの時間と経験がなかったにもかかわらず、医療過誤事件に精通し、又は医療過誤事件に相当経験のある弁護士を懲戒請求者らに紹介し、当該弁護士と共同受任するよう努力しなかった。
5、被懲戒者は2010年9月24日Aの全診療記録の情報開示請求をし、同年11月2日にこれを入手するまで、示談交渉申し入れ前のみならず、調停申立てをするに当たっても、Aの死亡前3か月間の診療記録を収集して分析及び検討することをせず、また因果関係が争点となることが当然予想されたにもかかわらず、上記訴訟を提起する前に専門医師等に相談して因果関係に関する医学的知見について聴取する等必要な調査及び検討をしなかった。
6、被懲戒者は訴えの提起前に懲戒請求者らに対して専門家医師から意見聴取をすることの有用性等について説明して医学的文献等の調査では因果関係の根拠となる医学的知見を獲得できていないとこと、それにもかかわらず専門家医師等から意見聴取をしない方針であること及びその理由並びにこの訴訟方針を採用した場合の不利益等の説明をせず、また訴え提起前に専門家医師等から意見聴取をしなかった。
被懲戒者は訴え提起前になすべき調査活動をしないまま訴えを提起したことにより、第1回弁論準備手続期日から辞任に至るまでの8か月、認否及び反論を準備できなかった。
7被懲戒者の上記各行為を包括的に評価すれば弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4 処分の効力を生じた年月日 2014年11月5日
2015年2月1日 日本弁護士連合会
懲戒処分の公告
1 処分を受けた弁護士 氏名 保田行雄 登録番号 17663
事務所 東京都文京区大塚5
新大塚いずみ法律事務所
2 処分の内容 業務停止6月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2002年9月頃、懲戒請求者から、同年2月16日に死亡した懲戒請求者の父の死亡に関し医療過誤に基づく損害賠償請求事件について相談を受けたが、上記相談から2006年2月5日に訴訟委任状を徴求するまでの3年余りの間、合理的理由なく訴訟提起等の法的手続きを採らず、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効を完成させ、また、上記訴訟委任状の徴求から約6年間もの時間がありながら、何ら手続を進めることなく、債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効も完成させた。被懲戒者は上記事件について消滅時効を完成させたことを認識しながら、懲戒請求者に対し一切説明せず、あたかも訴訟提起を行いそれが進行しているかのような、また調停の申立てを行ったような虚偽の事実を説明し、懲戒請求者が自ら調査した結果、訴訟などが行われていないことが2015年9月24日に発覚するまで、長期間にわたって、懲戒請求者に対し、虚偽説明を繰り返した。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第5条、第35条及び第36条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2018年3月14日
2018年6月1日 日本弁護士連合会
懲戒処分の公告
東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 石 井 麦 生
登録番号 24137
事務所 東京都文京区大塚1-5-18
すずかけ法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は2014年8月6日、懲戒請求者の妻Aに関する医療過誤調査事件を受任し、同年11月27日、懲戒請求者に対し「結論的には消極的なものでしたが、他の医師から異なった意見が聴けないか、検討してみます」と記載された書面をファクシミリで送信したが、その後、懲戒請求者に対し直接連絡をせず、病院の法的責任を問うことは困難であるとの結論に至ったことやその理由を報告せず、調査を継続するかどうかについて懲戒請求者と協議せず、調査の終了について明確に告げなかった。
(2)被懲戒者は、上記(1)の調査に当たり、懲戒請求者からB弁護士を介しコピーされたAの医療記録を受け取ったが、その後、上記(1)の事件に係る委任契約が終了したと理解し、かつB弁護士を通じて懲戒請求者から返還を求める申出があったことを認識しながら、上記医療記録を遅滞なく返還しなかった。
(3)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第36条に違反し上記(2)の行為は同規程第45条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2018年5月15日 2018年9月1日 日本弁護士連合会