弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」8月号に公告として掲載された弁護士の懲戒処分の要旨、青森県弁護士会所属 菊池至弁護士の懲戒処分の要旨
菊池至弁護士は2回目の処分となりました。同じような内容で2回とも戒告です。依頼者に被害も出ていますが青森は戒告しか出しません。
1回目の懲戒処分 2006年4月11日 戒告
【懲戒処分の要旨】
被懲戒者は2003年5月21日建物明渡等請求事件の被告である懲戒請求者から訴訟委任を受けた。当該訴訟事件については2004年3月22日懲戒請求者に対し金9147万円余の支払を命ずる仮執行宣言付の実質敗訴判決が言い渡された。
被懲戒者は懲戒請求者から同月29日控訴事件について訴訟委任を受けた。しかし当該委任契約を締結する際、被懲戒者は、仮執行宣言付原判決に基づき懲戒請求者の財産が差押えられる可能性があること、及びこれを防止するには控訴に伴い強制執行停止決定の申請をする方法があることを懲戒請求者に全く説明せず、漫然と控訴状を提出したのみであった。そのため懲戒請求者は仮執行宣言に基づき、その財産の差し押さえを受けた。懲戒請求者は当該差押えにより、事業の継続が困難な状況となったため、金9180万円を分割して支払う旨の和解をし、同年6月11日本件控訴を取り下げるのやむなきに至った。以上の被懲戒者の行為は委任業務を誠実に履行すべき弁護士の職務を怠ったものであり、弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に該当する。   2006年7月1日 日本弁護士連合会
懲 戒 処 分 の 公 告

青森県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表に関する規程第3条第1号の規程により公告する。

         記
1 処分を受けた弁護士   氏名 菊池 至
              登録番号 20857
  事務所 青森市長島2-10
      菊池法律事務所
2 処分の内容   戒 告 
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は懲戒請求者Aの代理人として2004年9月14日付けで自己破産申立てを前提とする債務整理事件を受任した旨の通知を債権者に発送し、債権調査を行ったが、遅くとも過払金返還請求に関する最高裁判所の判決が公刊された2006年6月以降は自己破産を含む債務整理事案を受任した弁護士は貸金業者に対する過払金返還請求権の有無を調査する義務を負っていたと解されるにもかかわらず上記調査を行わず結果として、元金合計623万6653円の過払金返還請求権について2011年9月の経過をもって消滅時効が完成し、回収が不能となった。
また、被懲戒者は、自己破産申立を行わないまま2013年3月に辞任したさらに被懲戒者は同年12月以後、懲戒請求者Aが債務整理事件を委任したB弁護士から複数回書面又は電話にて、過払金の回収に着手しなかった理由の説明を求められたにもかかわらず、これらに対して何の回答もしなかった。
(2)被懲戒者は2007年8月20日付けで株式会社C及びその代表者であるDから自己破産申立てを前提として債務整理事件を受任した旨の通知でを債権者である懲戒請求者E信用保証協会らに発送したものの、8年以上経過してもいまだに自己破産申立てに至っておらず、この間の事情について懲戒請求者E信用保証協会に対して何の説明も行わなかった。
(3)被懲戒者は2009年5月29日付けでF及びその妻Gの代理人として同年6月2日付で株式会社Hの代理人として、それぞれ債務整理事件について受任した旨の通知を債権者である懲戒請求者E信用保証協会に発送したが、その後Fらとの協議の結果、自己破産手続きはとらず、不動産の処理は競売手続に委ねるという方針を決定したにもかかわらず、そのことを懲戒請求者E信用保証協会らに通知せず、かつ懲戒請求者E信用保証協会から2013年10月以後、電話で2回、書面で1回進捗状況等について回答を求められたにもかかわらず、いずれに対しても何らの回答をしなかった。
(4)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第5条、第21条、第35条に及び第44条に上記(2)の行為は同規定第35条に上記(3)の行為は同規定第5条及び第35条に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日 2016年4月21日 2016年8月1日 日本弁護士連合会