東京弁護士会会報【リブラ】11月号
ネットでも会報を見ることができます。「懲戒処分の公表」は見れません。東京弁護士会の会員の処分の公表のみです。この後、日弁連広報誌「自由と正義」に懲戒処分の要旨が掲載されます。
懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので、お知らせします。
記
被懲戒者 石葉泰久
登録番号 9600
登録上の事務所 東京都千代田区有楽町1
有楽町総合法律事務所
懲戒の種類 業務停止1月
効力の生じた日 2016年10月2日
【懲戒理由の要旨】
被懲戒者はAの訴訟代理人としてAの亡母の作成した公正証書遺言の無効を主張して、遺言無効確認請求訴訟を提起したが2012年11月東京地方裁判所の判決は原告Aの請求を棄却し第2審においても控訴棄却の判決が言い渡され判決が確定した・
前記判決は「本件遺言で言及された財産の存否や帰属を検討するまでもなく、原告の主張は採用されない」と断じたが、裁判所は当該遺産が遺言者の遺産であるか否については判断しなかったものであり、このことは弁護士である被懲戒者はもとより弁護士でなくても明々白々の事実である。
しかるに被懲戒者は自己の依頼者であるAに遺産を得させるため本件遺言の受遺者らに対し、「裁判所は本件遺言の中には亡母の所有に属さない財産が含まれていることを認めている」と虚偽の事実を通知し、受遺者らが受けるべき遺贈を放棄することを求める放棄催告書を内容証明郵便をもって送付した。被懲戒者のかかる行為は、判決内容を故意に歪曲して、判決において判断していないことをあたかも判断しているかのように虚偽の事実を告げたものである。
よって被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行にあたる。
2016年10月12日
東京弁護士会会長 小林元治