『日弁連 懲戒履歴開示』  回答

 

 

発信 : 情報・調査室 七人の記者班

 

 

 

先般記事にて、弁護士の懲戒処分履歴を知る方法につき、当会による検索ツール 『弁護士懲戒処分検索センター』、そして日弁連による『懲戒歴の開示請求』制度の二つが存在することをお伝えしています。

 

そして、日弁連『懲戒歴の開示制度』は、そもそもの 『目的』と『期待する効果』 が如何様なものか、仕組みであるか、などを明確にするため、当会は公開質問状を送付しました。

 

記者のつぶやき  『日弁連 懲戒履歴開示』公開質問

 

 

 

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日弁連の回答

 

そして、今回の公開質問について、早々2週間で回答書が届きました。また、制度の回答戴きましたこと、この場で先ずは御礼申し上げたいと思います。
その御礼でもありませんが、当会で作成したポケットティッシュを100個程、日弁連殿に贈呈させて頂きましたので、ご笑納ください。

さて、本題に入ります。

 

国民が弁護士の利用に際してなど、予め弁護士懲戒処分履歴を知ることは、消費者(依頼者)として、当然知っておくべき事実であると考えます。それは勿論、懲戒の処分内容(戒告や業務停止など)もありますが、それ以上に 『どのような問題だったのか』 が、消費者側にとっては、最重要な要素であると考えます。

 

日弁連の回答(全3ページ)は以下のとおりです。
 

 

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目 的
日弁連回答書では、 『懲戒処分歴の開示制度(2009年1月スタート)』 弁護士の懲戒処分履歴を開示する目的について、以下のように説明(概略)しております。

 

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『(概略)市民の信頼を確保し、弁護士等に法律事務を依頼中の方や、将来依頼しようとする方に対して、その 弁護士等に関する情報を提供して適切な判断 をしてもらうこと 』

 

『市民の弁護士選択に資することにより、弁護士等・弁護士会に対する市民の信頼を確保すること 』

 

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まさしく、国民が弁護士の利用に際して等、予め、弁護士懲戒処分履歴を知ることは『選択』する自由、『信頼を付託』する方法として、必要な情報のひとつです。

 

市民が弁護士に事件を依頼する、すなわち市民は消費者な訳です。提供される商品(弁護士職務)を取捨選択するには、重要な要素のひとつでもあります。

 

では、日弁連『懲戒処分歴の開示制度』は、日弁連が回答しているような目的に達する制度・仕組みでしょうか。検証してみましょう。

 

懲戒歴の開示対象は一部であった真実

 

日弁連 『懲戒処分歴の開示制度』 で、開示通知される対象は、全てではありません。

 

懲戒処分には 『戒告・業務停止・退会・除名』 の4種類があります。

 

このうち、『戒告処分は、全て開示されない』 と言っても過言ではない、ほとんどの件数、開示されないのです。

 

 この対象箇所は公開質問 7項 にあります。

 

日弁連回答には法規定を指し示していますが、つまりは『公告された懲戒事案の中で、別途公表をしたもの』 つまりは、『報道発表されたもの』 なのです。

 

『公告と公表』 の意義を使い分ける、さすが弁護士組織です。

 

日弁連広報誌 に記載されても 公告 で、 『公表では無い』 解釈 なのです。
 

 

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『国民は、弁護士に関する法・規定を理解するのに慣れている』、大前提なのです。

 

公告と公表の違い、しかも日弁連広報誌に掲示される『公告』を『公表とはしない』ことをパッとどれだけの一般市民が理解できるのでしょうか。

 

戒告処分が懲戒処分の中で一番多い件数の事案です。それが、ほぼ全て『懲戒処分歴の開示制度』を利用しても知ることができないのです。

 

この制度に費用1000円 プラス税を支払いながら、全て知ることができないのです。
 

 

弁連は、公開質問1項で自ら回答している内容、

 

『弁護士等に法律事務を依頼中の方や、将来依頼しようとする方に対して、その 弁護士等に関する情報を提供して適切な判断 をしてもらうこと 』

 

『市民の弁護士選択に資すること 

 

へ、目的は到達するという考えなのでしょうか。

 

懲戒処分の事案のうち、相当な割合で『戒告処分』。

 

それが通知されない『懲戒処分歴の開示』で、国民は適切な判断できますか?

 

 

懲戒処分、相当な割合で 『戒告』 です。

 

そして『戒告処分』についてこの制度利用で開示されるのは『報道された事案』。

 

そもそも、報道いたるような重大事件で『戒告』、これ自体あるのでしょうか。

 

そもそも『戒告処分』で日弁連、単位弁護士会が報道発表するくらいならば、その事案に対する 『罪と罰』 は均衡がそもそも取れていない証明ではないのでしょうか。

 

お飾り制度

 

戒告は開示されることがほぼ無い実態であることは、回答書7-3項で明らかです。

昨年度、開示対象となる『戒告事案数』 = 0 です。

 

どれだけ戒告全事案数があったのでしょうか。にも、ゼロ。

 

なにより、『市民の信頼を確保』 が目的にあるとしながら、その市民がこの制度を知るには、たった一つ、日弁連WEBのごくホンの一部に数行、示されるだけなのです。

 

そしてこの『懲戒処分歴の開示制度』を理解するには、法や規定の解釈が存分に求められるのです。弁護士が使う制度ではない、一般市民に向けた制度でこんな実態なのです。

 

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日弁連対象URL http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/autonomy/chokai.html

 

 

これは開始(2009年)からまもなく8年を迎える制度にも、利用数が8件という、年あたり1件という数値が表していると思います。(日弁連回答 3項)

 

それとも、わざわざ 『利用しようとする人・企業が少ない?!』 として、この制度の消滅を狙っているのでしょうか?

 

消滅する理由の数値を飾りたいならば、その前に当会ツール 『弁護士懲戒処分検索センター』 の利用者数と対比してから、ご判断くださいませ。

 

 

 

また、『懲戒処分歴の開示制度』についてはこの制度発足当時、司法ジャーナリスト(元法律新聞編集長)によるこんな発信もありました。

 

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注目・活用される「懲戒処分歴」

 

 

 

 

 

『弁護士の懲戒処分歴に対して、会員弁護士の受け止め方には、やや複雑な感情があるのを見つけるときがあります。
日弁連は20097月から過去3年の懲戒歴、業務停止、退会、除名について全件、戒告については報道発表さたれた重大なものを対象に、請求があった場合、開示する制度をスタートしました。2001年の司法制度改革審議会最終意見書で、「懲戒処分の過程・結果等に関する公表の拡充」が提言されていたこともあり、日弁連は2003年から検討し、200812月の臨時総会で可決したのですが、この間、会内はこの対応に対する反対論も出されました。 
このなかで、よく聞かれた意見は、懲戒処分終了後に、さらなる不利益を被ることになる不当性でした。
本音の部分で、そこに納得いかない人がいた
のです。ただ、結果として、そうした反対・慎重論を退けて、この対応を日弁連が選択したのは、いうまでもなく、およそ依頼を目的とした市民への情報公開、懲戒制度に対する弁護士会の姿勢として、とても前記したような主張が通用しない、という認識に大方の会員が立ったということだろうと思います。 』

 

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この制度、反対する弁護士が多数いたご様子。

 

結局は、見えない非公開の場で、反対する弁護士方との妥協が齎した結果、この建前制度、お飾りが実態なのでしょう。公告(広報誌に記載)と公表 を使い分ける なんぞ、一般市民がどれだけ承服できるだろうか。

 

 

骨抜き、実も無い、単なる お飾り 『懲戒処分歴の開示制度』。

 

開示する戒告処分は『公告では無い、公表とする』、そして積極的な活用促す『広報はしない』、これで『市民の信頼を得る』 ことができるのだろうか。

 

国民が弁護士選択に際し、処分の履歴事実を知ること、それは戒告や業務停止など、処分の名称を知ることだけでは無い。懲戒処分歴の開示で、重要なことは、『どのような内容を発したのか』である。

 

企業の顧問を考えているのに 『公判に欠席・遅刻』 は、避けたいであろう。

 

過払い金など、金銭の回収に依頼を考える消費者は 『勝手に進行』 してもらっては困るであろう。

 

 私はこの懲戒処分歴について、単に『処分の種類』を知ることだけが重要と思わない。

 

そもそも、『弁護士を信頼し選択』には、懲戒事案の内容を知ることで 『依頼内容に沿うのか否か(適性)』、そして『2度と発しない対策は講じているのか?(反省)』である。

 

対策も講じていない、反省も答えられない、では、『改善の兆し』すらそこには無い。

 

当会が現在提供しているツールで、

 

弁護士懲戒処分検索センター URL http://shyster.sakura.ne.jp

 

がある。どのような事案内容だったかも一般的な市民の方が、見やすいように、検索しやすいように勤めている。まだまだ、改善の余地はあるのでこれについて、法人化した後も努めていく。

 

そして検索では知ることができない今の実態 『対象弁護士は・・懲戒処分対策を講じているのか、反省の弁は如何様か』 については、先般記事でご案内した 『当会法人化 3本柱 第1の柱 与信業務 』 で対応できるように現在検討中である。
この件は『一般的な市民、企業』『今まで弁護士に依頼したことも無い方々』に対し、最も周知が必要な内容である。別途、 HOLIDAYS(書庫) で続けて配信していきたいと思う。