弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」2017年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・処分変更の公告
東京弁護士会の大石剛一郎弁護士が2016年5月に受けた業務停止3月が
業務停止2月に変更になった要旨です。
既に業務停止3月の処分は終了しましたから。今になって停止期間が1月短くなりましたと言われても、あまり変わりがないのですが、(今回はありませんが)処分を受けた時に報道されても、後日変更になりましたと訂正記事は書いてくれません。当ブログだけが変更になった内容を公開しています。
審査請求とは所属弁護士会から業務停止を受けた弁護士が処分は不当であると日弁連に審査請求を求めて変更されたもの
2016年5月11日に告知、2017年7月14日に処分変更、
審査請求が認められるまで約1年2月要しました。
しかしこれは早い方です。
元の懲戒処分の要旨
「日弁連広報誌・自由と正義」2016年9月号
懲 戒 処 分 の 公 告
東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 大石 剛一郎
登録番号 21096
事務所 東京都中央区銀座7
木下・大石法律事務所
2 処分の内容 業務停止3月
平成29年7月14日 業務停止2月に変更
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、A株式会社の顧問弁護士であったが、A社から子会社である株式会社Bが懲戒請求者が代表を務めるC合資会社に対し割賦販売をし後契約を解除して返還を求めていた漁網の回収について相談を受け、A社の従業員が漁網回収のためにC社のもとに行くことに同意し2013年3月16日A社の従業員が予告なくC社の管理地へ無断で立ち入って下記管理地内の漁網の回収作業をするのに同行し、同日、A社の別の従業員が海上においてC社が所有するロープを切断するなどして漁網の回収するに当たり中止するよう指示できたのに指示せずA社の自力救済を荷担した。
被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規定第14条に違反し護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4 処分が効力を生じた年月日
2016年5月11日 2016年9月1日 日本弁護士連合会
裁決の公告(処分変更)
東京弁護士会が2016年5月11日に告知した同会所属弁護士 大石剛一郎会員(登録番号21096)に対する懲戒処分(業務停止3月)について同人から行政不服審査法の規程による審査請求があり本会は2017年7月11日弁護士法第59条の規程により、懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり裁決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規程により公告する。
記
1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止3月)を変更する。
(2)審査請求人の業務を2月停止する。
2 採決の理由の要旨
(1)東京弁護士会(以下「原弁護士会」という。)は被懲戒者の次の行為について弁護士職務基本規程第14条に違反するとして業務停止3月の処分に付した。
(2)被懲戒者は、A社及びその子会社であるB社の代理人として、懲戒請求者が代表を務めるC社に対して、代金不払いを理由に漁網の返還を求めていた。被懲戒者はA社の従業員十数名とともに現地に赴き、C社が陸上及び海上において占用する漁網を回収しようとし、陸上では警察官が来て管理地からの退去を求められたが、やむなく漁網の回収を中止したものの、海上では海上保安庁の係官が到着する前に、現に操業中の漁網を引き上げ回収した。
(3)原弁護士会が指摘するとおり、被懲戒者が上記の違法な自力救済に積極的に関与したものであることが認められるから、弁護士職務基本規程第14条(違法行為の助長)に違反し弁護士法第56条第1項の非行に該当する。
(4)しかし、漁網の回収行為は被懲戒者の直接の指示により行われたものでなく、陸上においては、被懲戒者がA社の責任者を説得して漁網の回収行為を中止させていること、海上が中止の判断をすれば回収行為を中止することが可能な体制になっていたというものの、被懲戒者のいないところで、現場の判断により回収行為が行われたこと、後日、B社とC社間の民事訴訟ではC社がB社に漁網を返還し、B社がC社に謝罪して解決金100万円を支払う和解が成立していること、被懲戒者は自己の対応が安易であり、間違っていたと反省していることが認められ、これらの事情を考慮すれば、被懲戒者を業務停止3月とした原弁護士会の判断は重きに失し、これを業務停止2月に変更するのが相当である。
3 採決が効力を生じた年月日 2017年7月14日
2017年9月1日 日本弁護士連合会