弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌2016年2月号に掲載された弁護士懲戒処分の公告
東京弁護士会・張學連弁護士の懲戒処分の要旨

本記事は2015年11月東弁会報に懲戒処分の詳細があり、当書庫『自由と正義・懲戒処分の要旨』は未掲載でしたので、あらためて掲載します。

張學連 業務停止 2018年 12月 25日 ~ 2020年 06月 24日

報道がありました。2015年11月6日

着手金未返還などで弁護士2人を懲戒処分 東京弁護士会 

東京弁護士会は6日、弁護士法の規定に反し品位を失う行為をしたとして、AITS(エイツ)新宿法律事務所の張学錬(チャン・ハンニョン)(52)と、六本木総合法律事務所の(82)の渋谷泉の両弁護士を業務停止1月の懲戒処分にしたと発表した。

 張弁護士の懲戒理由は、男性依頼者からの預かり金計45万円について、男性から報告・清算を求められたが、しなかった。また、別の依頼者から着手金50万円を受領した後で辞任し、弁護活動をしていなかったにもかかわらず返還に応じなかったなどとしている。張弁護士は「支払われなかった報酬の代わりだった」などと説明しているという。
 渋谷弁護士の懲戒理由は、女性から相続した一軒家の売却手続きなどを依頼されたが、この一軒家が女性を含む計9人の共有物であることを知りながら、9人の同意を得ないまま一軒家を解体したとしている。渋谷弁護士は「一軒家は無人で老朽化しており、火事などを防ぐための緊急的な処置だった」と説明しているという。
サンケイ
懲 戒 処 分 の 公 告

東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名        張 學 連
登録番号       27297
事務所       東京都新宿区新宿1-26-9 ビリーブ新宿3階
          AITS法律事務所    
2 処分の内容   業 務 停 止 1 月
3 処分の理由  
(1)被懲戒者は、A弁護士から懲戒請求者Bを依頼者とする訴訟事件を引き継いで受任するに当たり、弁護士報酬についての説明等をせず、2006年6月頃、A弁護士が懲戒請求者Bから預かり保管中の38万円余りを引き継ぎ、同年10月5日、懲戒請求者Bから被懲戒者の預り金口座に7万円の振込みを受けたが、7万円の趣旨及び使途を明確に示さず、懲戒請求者Bが2011年12月8日頃に被懲戒者を解任し、その後預かり金その他の金銭の使途等についって度々説明を求めても明確な説明をせず、預り金を清算しなかった。
(2)被懲戒者はCから、Cの計画する事業の資金作りや協力者集めの依頼を受け、自己が弁護人を務める刑事事件の被告人である懲戒請求者Dを紹介し、懲戒請求者Dに対し、Cへの融資について自己が保証人となることを承諾した。この結果、懲戒請求者Dは2012年8月から同年2月までの間にCに3200万円を融資した。
(3)被懲戒者は2012年12月、懲戒請求者Dから、上記(2)の刑事事件の控訴審を受任し、着手金として50万円を受領した、被懲戒者は後に、上記(2)の融資に関する懲戒請求者Dとのやり取りで信頼関係が失われたとして弁護人を辞任することを決めたが、懲戒請求者Dに弁護人を辞任する意向を直接伝えず、裁判所にも弁護人辞任届を提出しなかった。
被懲戒者は、控訴趣意書を作成せず、特段の弁護活動を行わなかったが2013年9月27日、懲戒請求者Dが上記着手金の返還を求めて紛議調停を申し立てた後も上記着手金を清算しなかった。
(4)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職基本規程第29条第1項等に、上記(2)の行為は同規程第25条に、上記(3)の行為は同規程第44条及び第45条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた日 2015年11月6日
2016年2月1日 日本弁護士連合会
(東京弁護士会会報【リブラ】に掲載された懲戒処分の公表)
 
懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので
お知らせします。
被懲戒者     張 學連 (登録番号 27297)
登録上の事務所  東京都新宿区新宿1
         AITS新宿法律事務所
懲戒の種類    業務停止1月
効力の生じた日  2015年11月6日
         懲戒理由の要旨
(1) 被懲戒者は懲戒請求者Aの損害賠償請求事件を前任の訴訟代理人から引き継いだ際、懲戒請求者Aから預り金38万円余を引き継ぎ、更に金7万円を懲戒請求者Aから受領したがその後解任されたことにより懲戒請求者Aから再三にわたり預り金について報告、清算を求められたにもかかわらず報告、清算を行わなかった。
(2)被懲戒者は覚醒剤取締法違反等により起訴された懲戒請求者Bの主任弁護人となり、一審判決後引き続き控訴審の弁護人を受任し着手金として金50万円を受領したが受任後まもなく後記(2)に関するトラブルに起因して弁護人を辞任した。被懲戒者はその後懲戒請求者Bから着手金50万円の返還を求められたが控訴趣意書作成等の控訴審の弁護人としての活動は一切していなかったにもかかわらず、返還には応じなかった。

(3)被懲戒者は上記刑事事件受任後、懲戒請求者Bから多額の金員を預かり保管していたところ甲から特許権の事業化とそのための資金集めについて相談、依頼を受けた際、懲戒請求者Bに融資を依頼することを計画し甲に対する融資を懲戒請求者Bに持ちかけた。
懲戒請求者Bは被懲戒者が甲の債務を保証することを条件に融資を承認したので被懲戒者も甲の保証人になることを了承し懲戒請求者Bの預り金んの中から金3200万円を融資金として甲に交付した、

被懲戒者の前記1の行為は弁護士職務基本規定第29条第1項、同4第44条
及び45条に2(1)の行為は弁護士職務基本規定第44条第45条に2(2)の行為は弁護士職務基本規定第25条にそれぞれ違反するものであり、いずれも弁護士法第56条に定める品位を失うべき非行に該当する。
          2015年11月6日 東京弁護士会長 伊藤茂昭