弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」20192月号に掲載された弁護士の懲戒処分「裁決の公告」処分変更公告、東京弁護士会、杉山博亮弁護士の処分変更公告
これは、杉山博亮弁護士が4回目に受けた業務停止16月が不当であると日弁連に審査請求を請求し、業務停止9月に変更になった。その変更された理由を「自由と正義」に公告として掲載しています。
懲 戒 処 分 の 公 告 2018年7月号
東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名          杉山博亮         
登録番号         23069
事務所          東京都港区新橋1-18
             華鼎国際法律事務所            
2 処分の内容      業務停止16
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は2015120日一般社団法人Aとの間で、法人Aに委託する業務の内容を営業及び広報、通訳及び翻訳、書類の収集及び提出、弁護士費用等の徴収等とし、法人Aの業務遂行の対価として支払う報酬金を被懲戒者が受任した外国人事件において被懲戒者が現実に支払を受けた弁護士報酬の3分の1を原則とする旨の業務委託契約を締結し、上記契約に定める業務の対価として法人Aに対し金銭を支払った。(2)被懲戒者は20161018日から同年1117日まで所属弁護士士会から業務停止の懲戒処分を受けていたにもかかわらず、少なくとも同月3日から同月10日までの間、株式会社Bが運営しているサイトのウエブページの「C法律事務所(111日開業)の求人詳細」に業務停止期間中であること及びその期間を表示することなくC法律事務所の代表者として弁護士の肩書を付して懲戒請求者の氏名を表示した。(3)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第12条に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4 処分が効力を生じた年月日  2018314
201871日 日本弁護士連合会
 

裁 決 の 公 告(処分変更)

 東京弁護士会が2018314日に告知した同会所属弁護士杉山博亮会員(登録番号23069)に対する懲戒処分(業務停止16月)について同人から行政不服審査法の規程による審査請求があり本会は20181211日弁護士法第59条の規程により、懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり裁決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規程により公告する。             記

1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止16月)を変更する。
(2)審査請求人の業務を9月間停止する。
2 採決の理由の要旨
(1)ア 懲戒請求理由1について
審査請求人が2015120日から2018314日まで、一般社団法人A連合会(以下「連合会」という)代表者はB)との間で締結していた委託業務(以下「本件業務委託契約」という、)において業務委託の対価として弁護士が現実に支払を受けた弁護士報酬(着手金、報酬、及び手数料)の3分の1を支払うとの約定(以下「本件約定」という、)に従い業務委託料を支払っていたことは、弁護士職務基本規程(以下「基本規程」という)第12条に違反する。
イ 懲戒請求事由2について
審査請求人が業務停止1月の懲戒処分を受けていたにもかかわらず、事務員募集のWEB上に業務停止期間中であること及びその期間を表示することなく、事務所の代表者として「弁護士 杉山博亮」と自己の名を表示したのは、日本弁護士連合会の「被懲戒弁護士の業務停止期間中における業務規則等について弁護士会及び日本弁護士連合会の採るべき措置に関する基準」(以下「日弁連基準という」第二の十に違反する。
ウ 懲戒事由3について
審査請求人が20161018日から同年1117日までの間、業務停止1月懲戒処分を受けていたにもかかわらず、同年1117日にC社発行の在日華人向けフリーペーパーである「D」に「E法律事務所」の広告を掲載し、業務停止期間中であること及びその期間を表示することなく、同事務所の代表者として「弁護士杉山博亮(東京弁護士会所属)」と写真付きで表示したのは日弁連基準第二の十に違反する。
 
(2)以上の経過及び審査請求人から新たに提出された証拠も含め審査した結果、以下のとおり判断する。
ア、懲戒請求事由1について
(ア)審査請求人と連合会との本件業務委託契約の成立
審査請求人の懲戒委員会審査期日における陳述によれば2015120日における陳述によれば、2015120日から2018314日までの間(この間。20161018日から約1月間解約されている)審査請求人と連合会との間で審査請求人を委託者、連合会を受託者とし①営業及び広報②通訳及び翻訳③書類の収集及び提出④弁護士費用等の徴収⑤その他これらに付随する業務を委託業務として本件業務委託契約が締結されていた。
(イ)業務委託料の支払
本件業務委託契約締結期間中に少なくとも5件の弁護士受任事案について弁護士報酬の3分の1が業務委託料として連合会に支払われていたことは明らかであるが、審査請求人事務所案件のうち60%が外国人関係の事案であり、本件業務委託契約の締結期間も約31か月と長期であることからすると、弁護士報酬の3分の1が連合会に支払われた受任事案は5件をはるかに超えるものであったと推測される、
(ウ)基本規程12条違反(正当理由の存在)について
基本規程第12条は正当な理由がある場合を除き、弁護士がその職務に関係する報酬を弁護士又は弁護士法人でない者との間で分配してはならないとする。
これは、弁護士が弁護士以外の者との間で弁護士報酬自体を分配することになると、弁護士の独自性の保持への懸念及び非弁提携に陥 りかねないと懸念を生じるためであると考えられる。
 
ところで、審査請求人は本件業務委託契約の本件約定について審査請求人が連合会に弁護士報酬3分の1を委託料として支払うことは①通訳業務及び外国語を用いた弁護士補佐業務という委託業務を遂行する「労働」に対する「対価」として支払われているものであり②連合会の行う業務は法律事務ではなく、そのものが適法に行うことができる事務があって、非弁護士による法律事務遂行の対価ではなく③弁護士報酬3分の1を業務委託の対価とすることは合理的な金額である、との理由で正当理由があると主張する。
しかし、連合会の業務は本件業務委託契約の受託業務内容からすると弁護士の受任する個々の事案により、通訳業務のみであったり、外国語を使用した弁護士補佐業務や弁護士報酬等の請求が中心となる業務であったり、受任にいたらぬ電話による法律相談への勧誘行為など、様々であり、その業務内容及び業務量が客観的に一律に定まるものでないことは明らかであるから、その労働の対価も3分の1に該当すると解することはできない。また連合会への支払が非弁護士の法律業務の遂行に対する対価であってはならないのは当然のことである。以上からすると、本件業務委託契約の本件約定に正当理由が存在するとの客観的な事実関係は見いだせず、弁護士の独自性の保持への懸念及び非弁提携に陥りかねないという懸念を払拭するまでの理由は認められない。
 
イ 懲戒請求事由2について
審査請求人が懲戒請求事由2の行為を行った事実はあきらかである、審査請求人は懲戒請求事由2の行為は自らのチェックミスによりWeb上の求人詳細に業務停止期間中であること及びその期間を表示することなく「F法律事務所」の代表者として「弁護士 杉山博亮」と表示してしまったとのことであるが、過失にものであっても日弁連基準第二の十の違反を免れることはできない。
また、審査請求人は懲戒による業務停止期間中であっても事務員の募集自体は許されるのであるから、募集行為に業務停止中の弁護士の表示は許されるのであるから、募集行為に業務停止中の弁護士の
表示は許されると主張する、しかしたとえ業務停止期間終了後に雇用するための事務員募集行為であっても業務停止期間中の募集広告中に弁護士と表示することができないと解され、上記審査請求人の主張は独自の考えであり採用できない。
ウ 懲戒請求事由3について
懲戒請求事由3についてこれを認めることができないとした原弁護士会に誤りはない。
 
(3)量定について
原弁護士会は弁護士の統制を外れてその自由裁量で法律事務を処理させることは非弁提携として禁止されているものであり、本件にあっては、連合会の代表者であるBに中国語を話す依頼者への対応を任せきりにしている点で非弁提携と同様の評価を受ける事案であるとする、そして200件を優に超える可能性がある事案につき非弁提携の一態様である弁護士報酬分配を継続的に行っていることは看過できないとし審査請求人に対しては非弁提携類型の「周旋」事案と同程度の提携状態にある者と判断し、これと同等の裁定を前提としたとする。しかし弁護士報酬の分配がなされたこと自体が直ちに非弁提携が存在したことを立証することには」ならない、非弁提携と同様の評価を受ける事案であり、非弁提携の一態様であるとの原弁護士会の認定は、弁護士報酬の分配という事実を拡張して解釈するもので採用することはできない。本件において審査請求人と連合会ないしはBとの間に非弁提携があった。又は非弁提携類型の「周旋」事案と同程度の提携関係があったことを認定すべき客観的な証拠は見出せず、このような事実関係の存在を前提として、審査請求人を業務停止16月として原弁護士会の判断は重きに失する。
しかしながら、基本規程第12条について審査請求人の主張する理由は本件業務委託契約の本件約定に弁護士の独立性の保持への懸念及び非弁提携に陥りかねないという懸念を払拭できるような正当理由として認められない、また審査請求人は3年以上にわたり本件業務委託契約により弁護士以外の者との間で弁護士報酬の分配を行っていた、さらに審査請求人は基本規程第12条に対し独自の解釈を基に本件業務委託方式によるビシネスモデルとして主張し、本件事案の問題点を理解しようとせず、自己の独自の見解を固持している、またこれ以外に日弁連基準第二の十の違反も認められるところである。
(4)結 論
以上を総合考慮すると原弁護士会の処分を変更し、審査請求人を業務停止9月の処分とすることが相当である。
3 採決が効力を生じた日 20181212
201921日 日本弁護士連合会
 
2018314日 に所属弁護士会より業務停止16月がくだされた。20181212日 に日弁連で処分変更になった。普段よりは早い変更でした。
本来ならば20199月までは業務停止でしたが、20181213日で処分は満期となりました。
そして2019218日に戒告処分を受けます。

 

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1 処分をした弁護士会     東京弁護士会
2 処分を受けた弁護士
  氏 名           杉 山 博 亮
  登録番号          23069
  事 務 所         東京都港区新橋1
                明宏ビル別館3階     
                華鼎国際法律事務所
3 処分の内容         戒 告
4 処分が効力を生じた年月日  平成31218日
5  平成31221日     日本弁護士連合会