弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」2019年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告、加藤善大弁護士(埼玉)懲戒処分の変更の公告、懲戒処分の要旨

報道がありました。 5月16日 テレ玉

埼玉弁護士会 所属弁護士を業務停止2か月

埼玉弁護士会は養育費の請求など、4つの案件を放置したなどとして、所属弁護士を業務停止2カ月の懲戒処分にしました。
懲戒処分になったのは、埼玉弁護士会所属の加藤善大弁護士(44)です。
埼玉弁護士会によりますと、加藤弁護士は、2015年12月に、依頼者から元夫に対する子どもの養育費請求を日本司法支援センターの代理援助制度を利用することを前提に引き受けました。しかし、センターに手続きしなかったうえ、依頼者からの電話にも対応せず、依頼者の養育費請求の権利行使をおよそ1年間阻害するなど、あわせて4件を放置していました。
加藤弁護士は、「心身ともに疲れていた」などと話しているということです。
引用
テレ玉https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190516-00010001-teletama-l11

 

 

毎月、日弁連広報誌「自由と正義」が送られてきますが、懲戒処分公告の頁を見て、これなら戒告、これなら業務停止と判断できます。それは、処分要旨の長さです。しかしこの処分の被害者の数、処分内容で業務停止2月はあり得ません。この処分要旨の長さと内容は「除名処分」とひけを取りません。

これだけ不祥事を積み重ねても業務停止2月です。

甘い処分を出して弁護士を庇って弁護士会は良かったと思っているかもしれませんが、こういう甘い処分をして他の所属弁護士にもじわじわ影響が出てくるでしょう。これでは埼玉弁護士会の所属弁護士に事件を依頼する気にはならないでしょう。しかし弁護士会はそれでも依頼は減らない、埼玉には埼玉弁護士会しかないと思っています。

加藤善大弁護士の登録番号45584は2011年に弁護士登録、2014年12月に1人事務所を設立し2015年4月から多くの事件を受任し怠慢な事件処理で今回ようやく処分されました
多くの苦情が弁護士会に寄せられたと推測されますが処分したのは2019年5月です

 

懲 戒 処 分 の 公 告

埼玉弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規程により公告する。
              記
1処分を受けた弁護士氏名 加藤善大
登録番号 45584
事務所 埼玉県所沢市東所沢和田1-1-18栄ビル2階C 
東所沢法律事務所
2処分の内容 業務停止2月
3 処分の理由の要旨
(1)ア 被懲戒者は、懲戒請求者Aから、2015年4月30日に亡父Bの遺産に係る遺留分割事件を、同年5月27日にBに対する自殺幇助の被疑事件、同年7月28日に詐欺に係る損害賠償請求被告事件をそれぞれ受任したが、いずれも委任契約を作成しなかった。また被懲戒者は同年6月頃に懲戒請求者Aの父である懲戒請求者Cから懲戒請求者Aを被疑者とする弁護活動を受任したが、捜査段階に関する委任契約書は作成したものの、公判弁護活動に関する委任契約書を作成しなかった。

イ、被懲戒者は、上記詐欺事件、上記損害賠償請求被告事件等の各相手方との示談等に必要な金員を得る目的で懲戒請求者AからBの勤務先に対する死亡共済給付金等の至急手続を受任したが、速やかに着手せず、遅滞なく処理しなかった。

ウ、被懲戒者は上記詐欺事件について懲戒請求者Aが情状弁護を希望していたにもかかわらず、被害弁償に関する諸事情の立証その他情状に関する懲戒請求者Aとの打ち合わせ等の弁護活動に十分に取り組まなかった。

エ、被懲戒者は上記詐欺事件について一定の回数は懲戒請求者Aと接見したものの、2016年2月24日に開かれた第6回公判期日以降は、弁護人として接見が求められる時機に必要な接見を行わなかった。被懲戒者は上記期日の前日の接見時やその後の懲戒請求者Aの強い保釈希望を認識しており、また、同年3月17日に懲戒請求者Cから身柄引受書を取得していたにもかかわらず、同年5月2日までの保釈請求手続を採らなかった。

オ、被懲戒者は、懲戒請求者Cに対し、上記損害賠償請求被告事件について2016年3月17日付け請求書をもって着手金等324万円を請求したが、金額の具体的根拠、算定方法を示さなかった。

カ、被懲戒者は懲戒請求者A及びCから2016年6月4日付け文書をもって書類の返還等を求められ、その頃までに上記各委任契約が終了したにもかかわらず、起訴状等の預かり書類4点を返還しなかった。

(2)被懲戒者は懲戒請求者Dから2015年11月18日に懲戒請求者Dを相手方とする遺産分割調停事件を受任し着手金28万円のうち20万円を受領したが、上記調停事件が2016年2月頃に取り下げられてから間もなく、懲戒請求者Dから上記調停事件と被相続人及び遺産を同じくする遺産分割調停事件の申立てについて依頼を受けて了承したことについて、上記委任に基づく委任関係が継続していたにもかかわらず、同年6月頃から何度となく電話による問い合わせを受けたがこれに対応せず、調停申立ても行わなかった。

(3)被懲戒者は2015年12月頃、懲戒請求者Eから離婚した元夫に対する養育費請求事件を受任し、被懲戒者において日本司法支援センターへの代理援助申込みの手続をすること等も契約内容とする委任契約を締結したにもかかわらず、日本司法支援センター所定の手続及び養育費の支払実現に必要な法的手続をおよそ半年間行わず、懲戒請求者Eからの問い合わせ等にも対応しなかった。また、被懲戒者は懲戒請求者Eから内容証明郵便により書類の返還を求められたにもかかわらず、2016年11月に懲戒請求されるまで返還しなかった。

(4)被懲戒者は2016年9月29日、懲戒請求者Fから遺産分割事件について受任し、着手金等として27万円を受領したが遅滞なく着手せず、進捗状況の問い合せに対し多忙等を理由に説明の機会を設けなかった。また被懲戒者は所属弁護士会に対して懲戒請求者Fが申し立てた紛議調停による解決に務めなかった。

(5)被懲戒者の上記(1)アの行為は弁護士職務基本規程第30条及び弁護士の報酬に関する規程第5条第2項に同イの行為は弁護士職務基本規定第35条に同ウの行為は同規程第46条に同エの行為は同規程第47条に、同オの行為は同規程第2条に同カの行為は弁護士職務基本規程第45条に上記(2)の行為は同規程第35条、第36条に上記(3)の行為は同規程第35条、36条及び第45条に上記(4)の行為は同規程第26条、第35条及び第36条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分の効力が生じた日  2019年5月9日
2019年9月1日 日本弁護士連合会