弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2019年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・神奈川県弁護士会・猪俣貞夫弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・依頼人からの預託金横領他

2019年11月26日付官報 法17条3号 弁護士登録抹消 10月19日

2回目の懲戒処分で退会命令となりました。本来1回目で厳しい処分を下しておけば被害が拡大することはありませんでした。

1回目 2015年3月 業務停止1年4月 預り金を流用

 

懲 戒 処 分 の 公 告

 神奈川県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士

氏名猪俣貞夫 

登録番号 14172

事務所 神奈川県横浜市中区常盤町1-2-1

 横浜公園前法律事務所 

2 懲戒の種別 退会命令 

 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、AからB及びCの成年後見開始申立事件を受任するに当たり、合理的な理由がないにもかかわらず委任契約書を作成しなかった。

(2)被懲戒者は2017年6月20日、上記(1)の事件の弁護士手数料として、Aから40万円を受領した後、同月30日にAに対し事件処理の方法や弁護士報酬、費用について適切に説明することなく、必要性の明らかでない100万円の追加手数料の支払を求めた。

(3)被懲戒者は、上記(1)の事件に関して実費、Bの医療費等としてAから預託金合計270万円を受領し、上記預託金はB及びCの成年後見人が専任された後に清算することになっていたところ、B及びCの成年後見が2017年9月19日に開始したにもかかわらず、上記預託金の一部を申立実費及び医療費の支払に充てた後の残金について、被懲戒者の事務所の諸経費に流用し、さらにAの子である懲戒請求者から預託金の返還について問い合せを受け、また上記成年後見人から預託金を返還するよう促されてもこれを返還せず、所属弁護士会の紛議調停手続において成立した調停条項に従って2018年5月2日に預託金の残金、申立手数料の一部の返還金等を含む合計223万円を返還するまで清算しなかった。(4)被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第30条に上記(2)の行為は同規程第24条及び第29条第1項に、上記(3)の行為は預り金等の取扱いに関する規程第2条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2019年7月16日

2019年11月1日 日本弁護士連合会

(1回目の処分)

遺産4600万円余り着服、弁護士業務停止

横浜弁護士会は9日、管理を依頼された遺産のうち4600万円余りを着服したとして、同会所属の猪俣貞夫弁護士(75)を業務停止1年4カ月の懲戒処分にした。猪俣弁護士は処分が重すぎるとして業務停止期間の短縮を求め、日弁連に審査請求する方針。

 弁護士会によると、昨年1月に死亡した女性の遺言執行者として、預貯金など約6500万円を解約。預かり金として自身の名義の口座に振り込み、同3~8月、20回以上にわたって計4600万円余りを引き出して生活費や事務所経費に流用した、としている。
 弁護士会は昨年12月、業務上横領容疑で告発。横浜地検は今年8月、全額弁済し余罪が認められないとして起訴猶予処分とした。猪俣弁護士は取材に対し「顧問を務める会社の民事再生手続きの報酬が支払われず、事務所経営が厳しかった」と事実関係を認めた一方で「示談が成立し、処分は重すぎる」と話した。
(産経)

 

猪俣貞夫会員に対する当会綱紀委員会調査請求にあたっての談話
 
 平成25年11月18日,当会は,猪俣貞夫会員について,当会綱紀委員会に対して,弁護士法58条2項に基づき事案の調査を請求いたしました。 同会員は,ある被相続人の遺言執行者に選任され,遺言の執行として,被相続人の遺産である預貯金等を解約し,換価金を受遺者らに対して送金をしなければいけませんでした。同会員は,平成25年3月から同年9月までに被相続人の遺産である預貯金等合計6538万円余りを解約しましたが,この換価金を事務所の運転資金等に流用したため,受遺者らに送金して返還をしなければならない金員が少なくとも2400万円は存し,その送金が未だなされておりません。 同会員の上記行為は,業務上横領にあたり,弁護士法56条1項の懲戒事由に該当するものと思われ,頭書の結論に至りました。
 同会員の上記行為が,懲戒に相当するか否かは,今後の当会綱紀委員会乃至懲戒委員会の判断を待つことになります。しかし,同会員が,上記換価金を事務所の運転資金等へ流用したことが明白であり,同行為が重大で,かつ,上記受遺者ら以外の者の預り金をも流用している可能性が高く,被害が拡大するおそれが明白であり,緊急の必要性があったため,弁護士及び当会に対する国民の信頼を確保し,かつ,被害の拡大を防止するために,同会員について,懲戒手続に付したことを公表した次第です。 当会会員から上記のような不祥事が発生してしまったことは誠に遺憾であるとともに,今後,不祥事の事前抑制・被害拡大の防止に,より一層努力する所存です。
2013年(平成25年)1118
横浜弁護士会
会長 仁平 信哉

 

懲 戒 処 分 の 公 告 2015年3月号
横浜弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名          猪俣貞夫
登録番号         14172
事務所          横浜市中央区日本大通55
横浜公園前法律事務所
2 処分の内容      業務停止14 
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は亡Aの遺言執行者に就任し、2013321日から同年924日までの間に遺産である預貯金等の金融資産を順次換金して合計65385726円を被懲戒者の預り金口座に入金する方法により預かった。被懲戒者は同年321日から同年823日までの間に上記預り金のうち合計46922683円を事務所経費、生活費等に流用した。被懲戒者の上記行為は弁護士法56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
被懲戒者と受遺者らとの間で示談が成立し上記預り金のうち、被懲戒者が支払うべき金員を完済していること等を考慮し業務停止14月を選択する
4処分が効力を生じた年月日 2014129
201531日  日本弁護士連合会
成年後見人処分例
https://jlfmt.com/2015/04/19/30154/