弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2020年4月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・生田康介弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・説明や委任契約書もなく報酬を預り金から差し引いた。
弁護士は依頼者から事件を受任した時に委任契約書を交わすことになっています。しかし、契約書が無くても事件処理が無事に依頼者のほぼ希望とおりであれば委任契約書が無いからと懲戒請求が出ることはないでしょう。
事件の賠償金、補償金、売買代金は弁護士の口座に振り込まれます。弁護士はそこから弁護士報酬を差引いて依頼者に送金します。先に全額を依頼者に振り込んで報酬を貰うことはしません、これは『値切られる』『頭を下げて請求しなくてはならない。』と弁護士は考え、これが嫌だから、弁護士の口座に振り込ませ後で依頼者に送金するのです。事務所の家賃や事務員の給料を払って送金するため遅れることがよくあるそうですが、これも特別に問題がある行為ではありません。
では、なぜ依頼者から懲戒を出されたか!
それは報酬が高かった。納得できない。これしかありません、事件受任時に説明して契約書にサインがあれば問題は無いというのは後の話しで、依頼者が納得できた報酬であれば契約書があろうとなかろうと、代金から差し引こうと文句は出ないはずです。
仮に宅建業者に仲介を依頼して97万7900円の手数料報酬が発生する場合は売買代金2800万円程度の物件。司法書士に取引の安全のため立会をしてもらい、売主の印鑑証明、権利証、本人確認、抵当権等抹消、住所移転等を確認した場合の報酬は高くても約10万円(登録免許税等別)までです。
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士
氏名 生田康介
登録番号 26122
事務所 東京都港区西新橋1-16-3西新橋KSビル8階
笠原総合法律事務所
2 懲戒の種別 戒告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、懲戒請求者株式会社Aの役員から、懲戒請求者A社が所有する不動産の売買契約の締結、代金の受領等を委任内容とする2015年7月16日付けの委任状の交付を受けたが委任契約書を作成せず、懲戒請求者A社との間において具体的な報酬額について協議、決定がされていなかったにもかかわらず、同年12月22日、上記不動産の買主である株式会社Bから売買契約に基づいて受領し預かった代金から、上記売買契約の代金決済や別件の訴訟の報酬の合計として、97万7900円を控除して独断的に受領した。
4処分が効力を生じた日 2019年12月5日
2020年4月1日 日本弁護士連合会
生田康介弁護士は元日弁連広報室長