兵庫県弁護士会「会長談話」2020.7.31

兵庫県弁護士会HPより引用
http://www.hyogoben.or.jp/topics/iken/pdf/200731danwa.pdf

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会 長 談 話

依頼者と共謀して故人の自筆証書遺言を偽造した有印私文書偽造,同行使の罪により,当会の寺岡良祐会員が神戸地方検察庁で取調べを受けて既にその事実を認めていることが判明しました。そこで、当会は,同会員に対し,弁護士法第56条1項の弁護士としての品位を失うべき非行があるとして,本日,当会の綱紀委員会に事案の調査を請求しました。事実の詳細については,今後の調査を待つ必要がありますが,まずは当会の会員が引き起こした非行により,本事件の関係者の方々に多大なご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします。また,本事件は,法律の専門職が自筆証書遺言の偽造に加担したというものであり,遺言制度に対する信頼を大きく損なう事態を引き起こしたことを,誠に遺憾に思います。
弁護士は,基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とするものであって,その使命に基づき誠実にその職務を行い,社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければなりません。にもかかわらず,実際には遺言が存しないことを知りながら故人の意思を実現すると称して法的手続きを無視し,自らも関与して偽造された遺言による遺産処理に及んだ行為には,何ら弁明の余地はございません。

当会では,これまでも,当会会員に対して,弁護士の使命を認識し,誠実にその職務を行うように,日頃から注意喚起しているところではありますが,この度,このような事態を引き起こしたことは,重く受け取らざるを得ません。当会会員に対しては,本事件を踏まえて,改めて,高度の職業倫理意識が求められていることを発信していくと同時に再発の防止に向けて,本事件の原因究明や効果的な対策を講じるべく,取り組んでいく所存であります。
2020年(令和2年)7月31日
兵庫県弁護士会   会長 友 廣 隆 宣