弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2021年1月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・島根県弁護士会・淺田憲三弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・事件放置多数、被害多数。

淺田憲三弁護士は平成13年(2001年)島根県弁護士会長でした。そのため業務停止8月という甘い中途半端な処分になったのではと思います。7月20日処分が出て8月30日に弁護士登録取消(請求)となりました。処分中でも弁護士を辞めることは認められています。

過去、これだけの処分理由があるものは業務停止2年か除名が相当です。

個人の意見ですが、これは一つの時代の終焉ではないでしょうか、昔ながらの俺に任せておけ、君に説明しても分からんからこっちでやっておく、任したのだから俺のやり方に口出すな。というスタイルの弁護士はもう業界からオサラバしていただくという時代になったのでは。さらに元とはいえ弁護士会長は優秀な弁護士に違いないと勝手に思い込み依頼をする。全て弁護士に任せていけば安心だ、これは依頼者も考えなければなりません。

報道がありました。

出雲の弁護士を業務停止8か月に

出雲市の68歳の弁護士が、依頼された案件を10年間放置したり、依頼者に十分な説明を行わなかったりしたなどとして、県弁護士会は、この弁護士を業務停止8か月の懲戒処分にしました。

懲戒処分を受けたのは、出雲市今市町で弁護士事務所を経営している淺田憲三弁護士です。島根県弁護士会によりますと、淺田弁護士は、平成19年10月に破産や免責の申し立ての委任を受けたにもかかわらず、およそ10年間にわたって申し立てを行わず、その間、債権者から訴訟を起こされても適切な対応をとらなかったため、依頼者は敗訴し、判決が確定したということです。
また、依頼者に対して、十分な説明や協議を行わなかったり、裁判の準備をしなかったりしたなどとして、おととしから去年にかけて、あわせて5件の懲戒請求が県弁護士会に寄せられていました。
県弁護士会では、懲戒請求を受けて調査を進めていましたが、淺田弁護士が職務を適切に遂行しておらず、弁護士としての品位を失う非行にあたいするなどとして、7月20日付けで、業務停止8か月の懲戒処分にしました。
記者会見を開いた、島根県弁護士会の鳥居竜一会長は「今回のことは、被害者のみならず、県民の信頼を損ねるものだ。今後、同じことが起こらないよう、しっかり指導していきたい」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/matsue/20200727/4030005970.html

懲 戒 処 分 の 公 告

 島根県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名淺田憲三 登録番号18493

事務所 島根県出雲市今市町736-11

淺田憲三法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止8月  

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は2005年11月頃、Aから破産手続開始申立てを行う方針で債務整理を受任し、Aとの間で実費等を含む着手金を分割で支払うことを合意したが、Aがこの分割金を全く支払わなかったため、債権者である懲戒請求者B株式会社が被懲戒者に和解の連絡をしても弁護士費用の未納等を理由に事案の対応をせず、約13年間放置した。

(2)ア 被懲戒者は2007年10月頃、懲戒請求者Cから債務整理事件を受任し、破産手続開始及び免責を申立てる方針であったにもかかわらず2017年11月28日の委任契約解除に至るまで申立を行わず、債務整理事件の処理を怠った。

  イ 被懲戒者は、懲戒請求者Cが2012年にD株式会社から、2015年にE協会からそれぞれ債務の履行を求める訴訟を提起された際、これまでの事情及び事実関係並びに債務整理事件に関する手続の見通しなども含めて説明した上で、訴訟事件の受任の可否及び訴訟対応について了解を得るべきであったにもかかわらず、それをせずにいずれの訴訟事件も受任し裁判所に訴訟委任状や答弁書を提出することもせずに期日に欠席し、漫然と懲戒請求者敗訴の判決を確定させた。

 ウ 被懲戒者は2015年10月頃、懲戒請求者Cに一切の説明することなくE協会に対し、懲戒請求者C及びその妹Fの代理人としてFが懲戒請求者Cの債務の履行を引き受け、毎月4万円ずつ履行する内容の念書を提出した。

(3)被懲戒者は、2017年11月頃、Gから任意整理を内容とした債務整理事件を受任したが債権者から消滅時効期間前に時効中断手続として訴訟提起がなされた場合、それまでの間に生じた遅延損害金の負担が生じる必要があったにもかかわらずこれを怠り、またその事件につき適切な報告をしなかった。

(4)被懲戒者は2017年6月23日懲戒請求者Hから土地所有権確認等請求訴訟を受任し、着手金50万円を受領して訴訟代理人として口頭弁論に出廷する等していたが、同年9月18日に面談をした後、懲戒請求者Hと協議を行う必要が高かったにもかかわらず、約5か月間もの間、事件の経過に関する報告や説明を怠り、また協議を行わなかった。

(5)被懲戒者は懲戒請求者Iから婚姻費用分担調停申立事件等を受任したところ2018年11月12日の調停期日の後頃から、懲戒請求者Iが連絡を試みたが被懲戒者と連絡が取れず、苦情の申出を受けた所属弁護士会の市民窓口の対応者から連絡を受けた2019年1月9日以降も懲戒請求者Iに連絡をしなかった。また、被懲戒者は上記調停申立事件につき、同年1月4日付けで懲戒請求者Iが相手方に対し毎月9万円を支払うこと等を内容とする調停に代わる審判がなされ、その頃、審判書が被懲戒者に送達されたが、これを懲戒請求者Iに送付せず、その結果、懲戒請求者Iが上記審判に対する不服申立ての機会を失った。

(6)被懲戒者の上記(1)及び(2)アの行為は弁護士職務基本規程第35条に、上記(2)イの行為は同規程第29条第3項及び第36条に、上記(2)ウ、(4)及び(5)の行為は同規程第36条に上記(3)の行為は同規程第35条及び第36条違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2020年7月20日 2021年1月1日 日本弁護士連合会