弁護士自治を考える会
弁護士を懲戒処分 職務中、相談者に性行為

2021年10月6日

県弁護士会は5日、相談者の女性に対し職務中に性行為を行ったとして、千葉市中央区のやすかね法律事務所の伊藤安兼弁護士(71)を業務停止3カ月の懲戒処分にしたと発表した。同会によると、同弁護士は昨年6月15日に県内で、債務整理の相談を希望した20代女性と事務所外で待ち合わせをして車に乗せ、車内で相談をしている最中に性行為を持ちかけた。同意を得てそのままホテルに行き、性行為の間に法律相談を行い、性行為の対価として3万5千円を支払った。

同会は、一連の行為が弁護士としての職務中に行われ、女性の経済的、心理的窮状に乗じたものだったとして、9月28日に処分を決定した。同弁護士は「処分を甘んじて受ける」と話したという。県弁護士会館で記者会見した同会の三浦亜紀会長は「このような事態となり申し訳ない。厳粛に受け止め、信頼を回復すべく一丸となって努力する」と述べた。

引用 産経https://www.sankei.com/article/20211006-NXTIJU55XRIHHDC3VSSWII23O4/

弁護士自治を考える会

やすかね法律事務所

伊藤安兼弁護士(71)やすかね法律事務所 登録番号 22115

千葉市中央区中央4-10-8コーケンボイス千葉中央904

この報道を見られた方はとんでもない弁護士が千葉にいるもんだ、とおもわれるでしょうが、弁護士の不祥事、懲戒処分を専門の当会の感想は少し違います。弁護士の懲戒処分には必ず懲戒請求者が必要です、弁護士会が懲戒請求者となる会請求もありますが、今回の場合は会ではなく個人の懲戒請求者でしょう。

果たして懲戒請求者は性行為をした女性でしょうか? 記事には書いてありません。女性であればどうでしょうか?過去の処分からみればこの処分は厳しすぎます。弁護士の懲戒処分は「どっちもどっち理論」があります。弁護士の行為も問題だがあなたも問題があったのではないかという理論です。今までは処分はしない、または軽いです。

過去にも、弁護士報酬等を払えなかった女性に対し、自分の法律事務所で事務員として働かせ、業務中にラブホテルで性行為をし、弁護士に支払う報酬分から1回分を差し引いていたヤメ検弁護士に懲戒の申立てがありましたが棄却でした。

今回の内容で業務停止3月はいったい千葉はどうした?何があった?よほどの懲戒請求者だったのか?となります。

また対象弁護士がどういう反論をしたのでしょうか?

先に類似の過去の懲戒処分を見てみましょう。

懲 戒 処 分 の 公 告

竹内 勧 登録番号 8692 大阪弁護士会 懲戒の種別  業務停止3月

懲戒処分の要旨 2002年8月19日被懲戒者は大阪弁護士総合法律相談センターの紹介により懲戒請求者の自己破産及び免責の申立を受任し、その後懲戒請求者との 間で着手金を30万円費用を5万円としうち着手金については毎月2万円の割賦払いにする 旨合意した。
同年9月14日被懲戒者(竹内弁護士)は懲戒請求者を事務所に呼び出し弁護士会宛の事件受任申請書及び事件不受任届出書を手渡して、いずれの書面を 提出するかは提案を受け入れるか否に掛かっている旨発言した、性的関係を求める 趣旨で「打ち合わせ後に1回、一緒に食事するか、お茶を飲むことによって」 「1回分の分割金の支払いを減らすことにしてもよい」 との提案をした。
このような被懲戒者の行為は経済的に困窮している懲戒請求者の弱みにつけこんで 性的関係を含んだ交際を求めるものでいわゆる対価型セクシュアルハラスメント に該当する言動といあわざるを得ず弁護士倫理第四条、第五条及び第八条に違反し 弁護士及び弁護士会に対する市民の信用を失墜させ、その品位を失うべき非行である ことは明らかである。処分の効力の生じた日 2005年8月30日

懲 戒 処 分 の 公 告

処分を受けた弁護士氏名 折本和司 登録番号  21350  処分の内容 業務停止2月

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は2008年以降、懲戒請求者から損害賠償請求訴訟事件等を受けていたが事件の処理中であった2013年11月から、複数回にわたり懲戒請求者に対し性的行為に及び、2014年1月懲戒請求者からメール等で上記性的行為をに困惑している旨を伝えられ、被懲戒者は上記性的行為が懲戒請求者を傷つけていたと謝罪していたにもかかわらず、その後も懲戒請求者に対し性的行為に及んだ。被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4処分が効力を生じた年月日   2016年3月14日 2016月6月1日   日本弁護士連合会

懲 戒 処 分 の 公 告

氏名 青木 勝治 14642 懲戒の種別  業務停止3月
懲戒の要旨
被懲戒者は2002年7月3日午後5時過ぎ、委任状作成のためと称して 依頼者である懲戒請求者(女性)と駅で待ち合わせ、自ら運転する自動車に同乗させて 寿司店で夕食をとったが、自らの話題ばかりに終始していたため懲戒請求者から当日の用件を切り出された。被懲戒者はこれに対し書類にサインしてくれればすぐに手続きができるので帰りの車の中でサインをすればよいから送っていくと答え、再び自動車に懲戒請求者を同乗させた。 しかしながら被懲戒者(青木)は懲戒請求者(女性)からあらかじめ告げられていた最寄りのインターチェンジを通り過ぎて走行した上、車中において、自ら(青木)の性的能力や避妊具に関する話題、相談相手と関係を持ったことなど下世話な内容のみをするようになり、懲戒請求者に不安感と不快感を抱かせ、さらに懲戒請求者(女性)に対し「この辺のモーテルは詳しいかい」と尋ねるなどした。そして、同日午後9時ごろ懲戒請求者は自動車をホテルの併設するレストランの敷地内に乗り入れたが、その際、懲戒請求者は自ら助手席のドアを開けて走り出してホテルのロビーに逃げ込みタクシーで帰宅するに至った。以上の被懲戒者の行為は不適切で不愉快な性的言辞等により依頼者にラブホテルに誘い込もうとしているのではないかとの危惧を抱かせ、不安、不快の念を持たせたものであり セクシュアルハラスメントの評価させる行為であって、弁護士としての品位を著しく欠く行為として弁護士法第56条第一項の懲戒事由に該当する。

懲 戒 処 分 の 公 告

処分の効力の生じた日 2004年6月28日  所属  宮崎県弁護士会 氏名  根井 昴 18009④ 懲戒の種別  退会命令

処分の理由の要旨  被懲戒者は1999年4月Aから離婚調停申立の依頼を受け同年5月16日(日曜日)午後零時30分ころ被懲戒者の法律事務所においてAと同事件の打ち合わせをした際、ソファーに座っていたAと性交渉をもちたいとの衝動を覚え、Aの乳房や陰部を触るなどの行為を繰り返しAが再三断ったにも関わらず委細かまわず上記行為を続けたあげく性交渉に及んだものである。処分の効力の生じた日  2002年2月19日 

弁護士が性行為に及んだ場合、その相手が児童であっても業務停止3月です。

「児童買春」
①森田龍太郎 38621 静岡 業務停止3月 2012年3月
東京のホテルで児童買春 弁護士登録抹消
②内藤政信 18549 一弁  業務停止2月 2010年9月 
未成年者買春で逮捕 一弁綱紀副委員長
③平岩篤郎 34141 札幌 業務停止3月 2017年1月
児童買春し女児児童の性器を撮影し児童ポルノ作成
2017年3月21日 業務停止6月に変更
処分を甘んじて受ける。??? 
もう一度今回の処分を検討すると
① 被害女性に労働の対価を支払った。合意があった。
② 業務中に性行為?品位を害するが業務停止3月が相当か? 合意がありレイプではない。女性の経済的、心理的窮状に乗じたものだった。
③ 性行為をしたのは事務所ではない
懲戒の処分が出て、弁護士は事実無根だ!、懲戒は不当だ、この女性はクレーマーだ!とか事実かどうかは別にしてとにかく弁明をするものです。
しかしこの弁護士は記事によれば『同弁護士は「処分を甘んじて受ける」』と述べています。
あっさり降参しています。弁護士としてあり得ません。こんな弁護士おりません。正直でいいとかという問題ではありません。
これでは弁護士業はできません。
事実であろうがなかろうが「処分は不当、日弁連に審査請求を行う」というのが弁護士の本分です。
考えられるのは、
他にかなり厳しい処分が予想される事由があった?!業務停止3月以上の内容があった、
しかし、この処分で済まして発表しておこうという千葉県弁護士会と対象弁護士が暗黙の合意をしたと??、
今回の処分が一番分かりやすい。と考えた???
買春であれば買春で処分すれば良いものを、買春と公表できない理由、女性はプロではなかった。なのに金銭を渡した。失礼な!?でしょうか
対象弁護士の弁明が、弁護士としてあり得ない稚拙なものであった。それでも弁護士を庇うのが弁護士会ですから業務停止3月にはなりません。
他に処分理由があったのではないかと考えるのが妥当だと思います。とにかく何かおかしい。何か隠していると感じます。
日弁連広報誌「自由と正義」2022年2月号あたりまで待ちましょう。